『MUSIC AWARDS JAPAN』2年目で明らかになった特別感と課題 “音楽賞”として叶えるべき2つの側面
『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』の授賞式となる「Grand Ceremony」が6月13日に開催された。昨年新設された賞で、今回が2回目。舞台を京都から東京のTOYOTA ARENA TOKYOに移し、今年もNHK総合でその模様が生放送された。
『MUSIC AWARDS JAPAN』(以下、『MAJ』)は、国内最大規模の国際音楽賞。今年は、78にわたる部門/カテゴリーが設けられた。選考は音楽関係者5000人以上による投票が基本だが、一般リスナーが参加できる部門もある。
まず、“国際”と銘打っているところがやはり目を引く。おなじみの「日本レコード大賞」などは国内限定という側面が強いが、「世界とつながり、音楽の未来を灯す」というコンセプトを掲げる『MAJ』は、アジア、そして世界とのつながりを強く意識している。
たとえば、主要6部門のなかには「Best Global Hit from Japan」と「最優秀アジア楽曲賞」が含まれ、前者にはXGの「HYPNOTIZE」、後者にはHUNTR/Xの「Golden」が輝いた。テレビだけでなく、YouTube、Lemino、ABEMAを通じて授賞式のネット同時配信を行っているのもその一端だ。
各賞発表の場面は厳粛かつ緊張感にあふれるもので、プレゼンターにも松たか子、布袋寅泰、岡本多緒、戸田恵梨香、田中泯、本木雅弘、渡辺謙ら、豪華な面々が登場した。
その一方で、このセレモニーは、世界に向けた日本の音楽の発信の場にもなっている。
昨年もそうだったが、授賞式であると同時に、この日限りの映像やパフォーマンスが織り成すスペシャルなショーでもあることが『MAJ』の特色になりつつある。
オープニングムービーでは、「PLAY ME!」と記されたカセットテープをモチーフに、ひとりの少女(えび)が出演アーティストらとストーリー仕立てで絡み、最後は映像から脱け出して会場のアリーナに登場する。そして、ラジカセにカセットテープを入れて再生ボタンを押すと、サカナクション「怪獣」の生パフォーマンス、そして「Grand Ceremony」がスタート。この「怪獣」は、主要6部門のひとつである「最優秀楽曲賞」、さらに「最優秀ロック楽曲賞」、「最優秀アニメ楽曲賞」、「優秀ロックバンド/ソロアーティスト賞」、「最優秀ミュージックビデオ作品賞」を受賞した。
「Grand Ceremony」はこれに始まり、計14組によるパフォーマンスが披露された。なかにはこのために来日したサム・スミスの「My Guy」も。「最優秀アーティスト賞」を受賞したMrs. GREEN APPLEは、授賞式第2部の冒頭で「クスシキ」を披露。アイドルの新しい波を代表し、関連部門で受賞したFRUITS ZIPPERとM!LKがそれぞれの代表的ヒット曲「わたしの一番かわいいところ」と「好きすぎて滅!」を披露したのも、今回を象徴していた。
そのなかで、演出の力の入り具合という点も込みで記しておきたいパフォーマンスがいくつかある。
「最優秀ニュー・アーティスト賞」を受賞したHANAは、「NON STOP」と「ROSE」をメドレーで披露。通常とは異なるストリングスを前面に出したアレンジで、どこか演劇的でもあり、普段とはひと味もふた味も違うパフォーマンスに仕上がっていた。その後コメントを求められた星野源が、パフォーマンスの魅力に加え、カメラに映っていないところでのHANAの謙虚な姿勢を称賛したのも印象的だった。
米津玄師の「IRIS OUT」は、会場の外の空間をたっぷり使ったパフォーマンス。昨年末の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)と同じくサメの乗り物が再び登場する一方で、赤と白の衣装に身を包んだ大勢のダンサーとのコラボは華やかかつ鮮烈で、視覚的演出も含めて視聴者を大いに満足させるものだったはずだ。
そして、全曲英語詞のアルバム『Prema』で「最優秀アルバム賞」を受賞したFujii Kaze(藤井 風)は、収録曲「Prema」をトリで披露。受賞コメントでも言っていた「自分の中にいる究極の愛」(※1)を表現するパフォーマンスは管楽器やコーラス隊を加えた新しいアレンジで、ある種荘厳ささえ感じさせるようなものだった。
賞を争うライバルではあるが、ステージ前のテーブル席に座るアーティストたちがこれらのパフォーマンスに盛り上がり、時にはスタンディングオベーションをする姿も昨年に続くものだった。また、2年連続でMCを務めた菅田将暉も見事だった。安定感抜群の進行で、早くもこの「Grand Ceremony」に欠かせない存在になった印象だ。
2年目となり、賞そのものの認知度も上がったのか、今回はSNSでもさまざまな意見や感想があがっていた。
ネット時代の進展とともに、ヒット曲やアーティストの人気のあり方が根本的に変わったことは多くの人が口にするところだ。そこでは同時にグローバル化も進む。そして、そうした構造の根本的変化をストレートに反映した音楽賞が、少なくともこれまで日本になかったことは確かだ。
ただ、日本のアーティストの海外ツアーなども活発になってきたものの、まだ海外での活動が当たり前という状況にまでは至っていない。
その結果、『MAJ』自体が過去一年の実績を顕彰するものであると同時に、海外に向けたプロモーションを兼ねることにもなる。そこが賞の意義の伝わりにくさの一因でもあるだろう。この二面性にどう折り合いをつけるかが、さしあたっての課題ではないだろうか。
とはいえ、海外でのヒット、ライブスタッフ、クリエイターにまで対象を広げた賞が今必要であること、この場でしか見られないパフォーマンスのクオリティの高さなどに疑いの余地はない。まだ始まったばかり。常に自らの現在地を確認しつつ、まずは続けてみるしかないのだろう。
※1:https://realsound.jp/2026/06/post-2424622.html




























