SPECIAL OTHERSが地元・横浜で証明した無二の胆力 未来から過去へーー名曲と共に辿る20周年記念ライブ
怒涛のキラーチューンで魅せる20年の軌跡
“演奏を切磋琢磨してきた20年”というのは4人に一致した見解のようで、満場のファンを前に20周年の初日を飾れたことに謝辞を述べた後、後半は「初期からのスペアザといえばこの曲!」というべき代表曲が、今のスキルとセンスを持って次々に演奏されていく。柳下のリフにちょっと走り気味のハンズクラップが起きた「Laurentech」。コンピレーション盤『ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2008』に収録された同曲や、フェスをきっかけにインストで踊る楽しさを知った音楽好きもきっと多いだろう。後半の盛り上がりで、思わず立ち上がる人も続々と現れる。
立て続けのキラーチューン「AIMS」は、もはやイントロのピアノリフとドラムロールで叫びに近い歓声が上がっていた。行進するような序盤から細かく拍を変えていくドラムも含め、4つの楽器すべてがメロディアスであり、上モノがリズム的でもある構成でありつつ、これほどキャッチーなのはスペアザの発明と言えるのではないか。イントロごとに爆発的なリアクションを起こすのは「IDOL」も然りで、爽快感を体現したこの曲で、瞬時に野外フェスを擬似体験している自分に気づく。何度もカタルシスを爆発させるオーディエンスも、ホール公演というシチュエーションに関係なく自由に踊っていた。
改めてファンやスタッフに感謝を伝えると、宮原が「今日のセットリスト、気付きました? 未来から過去に遡ってきたこと」と話すと、場内全体が腑に落ちた声を発する。そして、8分超えの「IDOL」をメジャーデビュー曲にしていいものか逡巡していたメンバーに「短くしてんじゃねえよ。ビビってんじゃねえよ」と発破をかけたのは当時のディレクターだったというのも、人に恵まれた彼ららしいエピソードだった。本編ラストは柔らかいアンサンブルがことさら染みた「Uncle John」。“楽器で歌う”とはまさにこういうことだなと、スペアザとファンが作る今の家族的な空気を胸いっぱいに吸い込んだのだった。
アンコール前、宮原がファンに感謝を伝え、大きな「ありがとう!」の唱和に自身も感極まる場面にはもらい泣きしそうになったが、まさかスペアザのライブでこんな気持ちになるとは、その場にいた誰もが意外だっただろう。ファンク、ソウル、ロックのラフな遊び心を満載したプレイが、アンコールらしい趣に満ちていた「BEN」を最後にこの日のライブを終了し、20周年イヤーの幕が開いた。
邦楽ロックシーンの渦中に種を蒔き、新時代のインストやジャズブームが萌芽する以前から自力で道を切り開き、自ずと無二の存在になったSPECIAL OTHERSの胆力を見た2時間半。9月からはデビュー20周年にちなみ、全国20箇所を巡るツアーもスタートする。