SARUKANIが手に入れた、スキルだけではない“音楽”の響かせ方 「WORLD RECORD」に込められた真意

 ビートボックスクルー・SARUKANIが、国内外のアーティストを迎えるフィーチャリングシリーズ「arigato.」第2弾として、世界的ギタリストのIchika Nito、音楽プロデューサーのRINZOとタッグを組んだ新曲「WORLD RECORD」を5月15日に配信リリースした。 2月に開催されたワンマンライブ『777 -THREE SEVEN-』で確かな手応えを掴み、“ミュージシャン”としての軸をより鮮明にしたSARUKANI。念願叶った音のプロフェッショナルとのコラボの裏側から、歌詞に込められたリアルな葛藤、そして「自分たちの記録を塗り替える」という熱き思想まで、最新曲「WORLD RECORD」の核に触れたインタビューをお届けする。(編集部)

スキル以外の、もっと広い意味の表現でもみんなが感動してくれることがわかった

ーー前回のインタビューでKAJIさんは、2月のワンマンライブ『777 -THREE SEVEN-』について、「今までの自信のない自分へのフィニッシュ」として捉え、「ここから一皮剥けようとしている、その最中の姿をファンに見てもらいたい」とお話しされていましたが、ライブを経た今、3人の中で何か変わったことがありましたか?

KAJI:もう「ミュージシャン」って名乗っていいのかもな、と思いました。

Kohey:ワンマンライブという実践を経て、自分たちのミュージシャンとしての方向性や音楽性の軸がまとまった感覚があります。自信がないと言っていた頃に比べたら、確信に近づいた。自分たちにできることがより鮮明になりました。

RUSY:これからSARUKANIがどういう道に進むのか、どんなことに挑戦しようとしているのか。それを、ご来場いただいた皆さんに伝えられる、いいきっかけになったんじゃないかなと思います。

ーーファンの反応はいかがでしたか?

KAJI:本当にすごかったです。僕らの音楽を聴いて泣いていた人がいたのが嬉しかったし、「初めてSARUKANIのライブで感動した」「涙が出ました」という声をたくさんいただきました。これまでにあった「ビートボックスで衝撃を受けた」「やばい」みたいな、内側から燃えたぎるタイプの感想とは、また少し違った反応でした。

RUSY:本当にいろんな反応をいただきましたが、「ライブに浸れた」という声が半分以上を占めていて。僕らとしても手応えがありますね。

KAJI:ダウ90000の上原佑太さんが見に来てくれて「マジで初めて見るし、何のこっちゃわからんかったけど、形容できない感動を覚えた」と言ってくれたんです。知っているものを「やっぱりすごい」と確認するんじゃなくて、知らないものに触れて「あんまりわからんけどすごいな」「やけにずっと頭の中に残っているな」と感じる。そういう、心にざっくり響くものって芸術の本来あるべき姿だと思うんです。だから、上原さんが「形容できない感動」と言ってくれたことが、僕の中ではすごく大きかった。知らないものでも人を感動させられたという事実が、自分にとっての壁をぶち破った感覚でした。

 あと、新しいファンだけでなく、僕らのビートボクサーとしてのスキルに惚れて、ずっと見に来てくれているファンが今もライブに足を運んでくれているのは嬉しいですね。今のファン層はグラデーションになっていると思います。今後は世界大会で優勝したという経歴を知らないままSARUKANIを聴いてくれる人ももっと増えていくはずですが、その人たちにとってはバトルの実績なんてどうでもいいかもしれない。でも、昔からスキル目当てで見てくれている人がいるからこそ、今があるとも思っています。

Kohey:そんな両方のファンに向けて、今回のワンマンは「これまでやってきたこと」だけじゃないものを全部詰め込んだライブでした。そこでお客さんが泣いてしまうくらい「感動した」と言ってもらえたことは、これまでの僕らのプロップスにはなかったものが受け入れてもらえたことだと思います。スキル以外の、もっと広い意味の表現でもみんなが感動してくれる。それがわかったことに、ワンマンをやる価値があったし、そこで3人全員がひとつ前進した感覚がありました。もしかしたら今回、「SARUKANIがやっていることが自分の好みと変わった」と見送った人もいるかもしれないですが、かなり面白いことをやっていると思うので、ぜひ足を運んでほしいです。

世界的ギタリストIchika Nito、音楽プロデューサーRINZOを迎えた贅沢なコラボ

ーー「arigato. 」シリーズの第2弾としてリリースされた最新曲「WORLD RECORD」は、SARUKANIがIchika Nitoさん、RINZOさんを迎えたコラボレーション作品です。このコラボレーションの経緯を教えてください。

Kohey:音楽プロデュースをやっている者同士ということもあって、RINZOさんとは元々仲良くさせていただいていたんです。それである時、RINZOさんのスタジオでセッションをしていたらRINZOさんから「世界的ビートボクサーのSARUKANIと、世界的ギタリストのIchikaくんをぶつけたらどうなるんだろう」という話が出てきて。それで「やりましょう!」とすぐにその場で話がまとまり、RINZOさんがすぐにIchikaさんに直電してくれて、僕からも「Ichikaさん、やりたいです」とお伝えしてコラボが決まりました。それが全ての始まりです。

 Ichikaさんにお声がけさせていただく前から、メンバー間でも楽器を演奏する方とのコラボレーションはずっとやってみたいと話していたんです。でも、まさか超絶スキルを持つキーボーディストでもあるRINZOさんと、世界的ギタリストのIchikaさんを一気に迎えられるとは思いませんでした。こんなにも贅沢なコラボレーションをさせてもらってありがたい限りです。

ーー今回はドラムンベースのビートが印象的な“ロックを基調にしたエネルギッシュな一曲”になっています。作曲はKoheyさんとRINZOさんが共同で手がけられていますが、楽曲制作はどのように進んでいったのでしょうか?

Kohey:それぞれ別の音楽制作ソフトを開いて作業を始め、アイデアを投げ合うところから始めました。例えば僕がAメロのトラックを作ると、RINZOさんが「じゃあBは最後にして、サビから作りますね」と返してくるといった形です。そのサビ同士をくっつけて、「Bメロはこういうのがありそうだな」と組み立てていく。これが0から1を作る工程ですね。次の段階で、Ichikaさんも加えた3人でのやりとりに移りました。「WORLD RECORD」のキーになる音はボーカルとギターなので、先にIchikaさんにギターを入れていただいてから、その上に歌を乗せていきました。

ーー今回の共同作業の中で、RINZOさんから一番刺激を受けた瞬間はありますか?

Kohey:音楽プロデューサーってそれぞれに癖があって、音楽を組み立てる順序も違うんですが、一番わかりやすいのはメロディを作る時の癖だと思っていて。僕とRINZOさんでは、歌い出しの音を決めるところから違うので、僕のアイデアにRINZOさんがハッとなる瞬間もあるし、その逆もある。同じ曲を一緒に作っているのに「こんなに違うものが出てくるのか」と思うことがありましたが、それはひとりで制作していたら絶対に感じない衝撃でした。新しい栄養をもらった感覚があります。

ーー普段、Koheyさんはどんな音からメロディを作り始めるんですか?

Kohey:僕は王道のメロディに行くまでに時間をかけるタイプなんです。一番最初の音は少しおしゃれなところから始めて、2フレーズ目あたりで王道のメロディを入れる。そこから旋律を作っていきます。これはビートボクサー時代に洋楽、特にベースミュージックやダンスミュージックを聴いていた影響だと思います。一方でRINZOさんは、最初に王道の旋律を持ってきて、途中の展開でおしゃれなメロディに転じる。本当に始まりの音選びから真逆なんですよ。

KAJI:それと曲を作る時にKoheyは僕の歌えるキーのレンジを意識してくれるんですが、RINZOさんは逆にメロディが気持ちいいところにめちゃくちゃぶっ飛ばす。Koheyが作ってくれた歌いやすいメロディが続いた中に、RINZOさんからの「ぶち上げメロディ」が入ってくる、みたいなことがありました。

Kohey:ちなみに今回の曲のBメロはRINZOさん、サビは僕。Aメロは折衷です。

KAJI:それで途中、Koheyから「メロディがちょっと高くなったんですけど、いけますか?」って言われて。「はい、OK、やろう」って、本当に限界を超えるつもりで歌いました。

Kohey:あとはやっぱりRINZOさんのアレンジが素晴らしかったです。キーボードだけじゃなくシンセだったり、いろいろな音を入れてもらいましたが、普段アニメ曲などを手がけているだけあって、これだけの引き出しがあるんだなと感心しました。

KAJI:楽器の扱い方が違うというか、ストーリーテリングになるんですよね。RINZOさんのアレンジ、本当に大好きです。

SARUKANI arigato. Ichika Nito&RINZO - WORLD RECORD

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