[Alexandros]、レア曲連発のツアー『ACCESS ALL AREA』完遂! 証明されたファンとの強く美しい信頼関係
[Alexandros]が、ファンクラブ会員限定ツアー『FC TOUR "ACCESS ALL AREA"』を開催した。今回のツアーで彼らが会場に選んだのは、観客との距離が近いライブハウスであり、全国9カ所に集う観客はみな[Alexandros]のコアファンだ。東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)公演で川上洋平(Vo/Gt)がファンクラブ会員を「身内みたいなもん」と表現したように、ステージとフロアのあいだに信頼関係が最初から成立しているツアーである。
観客を信頼しているからこそ、[Alexandros]はレア曲満載のセットリストを用意した。1曲目に選ばれたのは、昨年末に開催された『[Alexandros] 15th Anniversary VIP PARTY '25』でも披露された「Dance With the Alien」。ファン感謝祭と銘打ったあのライブにもレア曲ゾーンは存在していたが、そこに並んでいた一曲が開幕の狼煙として鳴らされた瞬間、「『VIP PARTY '25』は序の口だったのか!」という衝撃が走った。磯部寛之(Ba/Cho)のベースラインが印象的なこの曲を、まさかこんなに早く聴けるとは。オーディエンスは興奮のまま、ワンコーラスが終わるとすぐさま歓声を上げる。
最初のMCでは、川上が「盛り上がってるところ申し訳ありませんが、今日は追いかけて届きません!」と、今日は“あの曲”をやらないことを宣言。しかし、このツアーのオーディエンスは「全部マイナーな曲ですが、よろしいでしょうか!?」という発言にむしろ高ぶる人たちばかりで、白井眞輝(Gt)の奏でるユニークなリフから次なるレア曲が始まると、フロアに歓喜が広がった。ライブで披露されるのは数年ぶりのシングルカップリング曲「Paint Your Socks Into Pink」である。右手でシェイカーを振り、左手でスネアを叩くリアド偉武(Dr)の珍しい姿を見て、一瞬「そんな始まり方をする曲ってあったっけ?」と思うが、直後に入ってきたリフでようやく気づく。1stアルバム『Where's My Potato?』収録の「Da la la la」だ。
ほかにもさまざまなレア曲が登場したが、さすがのファンクラブ会員、バンドの演奏へ大音量のシンガロングを返していく。たとえば、「Shake Shake Shake」の冒頭では、川上のボーカルと観客の合唱が掛け合い、抜群のコンビネーションを見せた。川上が「ENDROLL」をふっと歌い始めると、観客も自然と(しかし、歌詞は完璧に覚えた状態で)声を重ね、歌声が広がっていったシーンも美しかった。
演奏を重ねながら、川上は「やってて思ったけど、真剣に作ってたなって」と振り返り、磯部も「真剣だったし、楽しんでたよね。とにかく普通に終わる曲がないし(笑)」と笑った。「Ho!」と叫びながら2ビートで駆け抜けたかと思えば、ラストは謎のしっとりコーラスへと着地する「Ho!」。重苦しいサウンドでありながら、なぜかギリギリまでバスドラ一本で進む構成が面白い「spit!」。クライマックスが押し寄せ続ける「Mosquito Bite」。たしかに磯部の言う通り、“普通に終わらない”曲ばかりであり、観客はそれが最高なんだと言わんばかりに盛り上がっている。そして「For Freedom」のイントロ。テンポや拍子の概念を度外視したかのような、メンバー4人の呼吸だけを頼りに鳴らすしかないあのキメに対し、観客も、同じリズムで声を上げてばっちりついていく。そのグルーヴが、FCツアーという場の密度を物語っていた。
ライブ終盤には、川上がフロアのほうに歩み出ながら「音が鳴ってなくてもダイブしたくなる」と漏らすほど、会場の熱気は高まっていた。バンドの演奏が止むたびに、観客はメンバーの名前や賛辞、曲に対する感想などを叫ぶ。その声に川上は、「ありがとうね。でも、俺はひねくれ者だから。どうせ来週には違うバンドのTシャツ着て、同じこと言ってるんだろうなって(笑)」と彼らしい言葉を返した。そして、歌舞伎町のド真ん中に建つZepp Shinjuku(TOKYO)の立地に触れながら、「我々は彼ら(ホスト)より水商売。そっぽを向かれるタイミングはいくらでもあります。でも、ここまで続けることができて、幸せだなと思ってます。みなさんのおかげです。普通のことじゃないと思ってます」と続けた。
さらに、「コード進行とか、みなさんが喜ぶポイントも正直わかるんですよ。だけど、裏切りたくなる。新しいところに連れて行きたい。それがうちらのやり方だと、『For Freedom』を鳴らした瞬間から思ってました」とも語られた。この日のフロアの熱狂を見ていると、観客もまさにそれを求めているのだと伝わってくる。そして、このファンがいるからこそ、[Alexandros]は妥協知らずの野心家、もとい“ひねくれ者”でいられるのだろう。その姿勢は、最新曲「Hallelujah」にも色濃く表れていた。予定調和に収まるだけでは鳴らせない、疾走感も爆発力も振り切れたアンサンブル。剥き出しのまま突き進むその演奏からは、安定よりも更新を求め続けるバンドの意志が強く伝わってきた。
「普段は言わないけど、みなさんのこと、愛してます。これからもお互い老けようが、白髪増えようが、ハゲようが、気持ちだけはずっと若く、フレッシュにいましょう」という川上の言葉が、思いがけずある曲を連想させたため、フロアにどよめきが広がった。観客の様子に気づき、「……今日はその曲やらないです。(自分は)そうやってMC繋げる人じゃないじゃん(笑)」と川上。そんな切り返しに、会場の空気がまた和らぐ。その親密な熱狂は、最後の曲が鳴り終わる瞬間まで途切れることがなかった。