CORTIS「REDRED」バイラルヒット 精密にコントロールされた“引き算の美学”を感じる仕上がりに
Viral Hits Focus
話題のバイラルヒット曲を毎週収録するSpotifyによる日本向けエディトリアルプレイリスト「Viral Hits Japan」(※1)。同プレイリストより、本記事ではCORTIS「REDRED」をピックアップする。
今回プレイリストインを果たした、CORTISの「REDRED」。ここで鳴らされているのは、従来のポップネスだけでは捉えきれない、極めて攻撃的なエレクトロニックサウンドだ。5月4日にリリースされたThe 2nd EP『GREENGREEN』のリリースに先駆け公開されたこの楽曲は、瞬く間に国境を越え、話題を集めた。ボーイズグループ像の王道とも異なるこの過激なトラックが、なぜ今、日本のリスナーからも注目されているのか。その背景には、現代のリスナーが求める欲求と、彼らが徹底して貫くクリエイティブクルーとしてのオーナーシップの結合がある。
CORTISは、MARTIN、JAMES、JUHOON、SEONGHYEON、KEONHOの5人からなり、BIGHIT MUSIC所属のグループとして2025年8月に1st EP『COLOR OUTSIDE THE LINES』でデビューを果たした。当初から世界中のポップスリスナーや批評家の注目を集めていたのが、既存のフォーマットから意図的に距離を取るような、HIPHOPを基軸にした音楽性である。彼らのサウンドの根底にあるのは、トラヴィス・スコットやプレイボーイ・カーティなどUS HIPHOPの潮流とも接続するトラップ、とりわけ歪んだシンセサイザーと過剰な低音を特徴とするレイジスタイルだ。
これまでのボーイズグループであれば、親しみやすいメロディや大サビでのエモーショナルなボーカルワークを用意するのが定石だと思うが、CORTISはそのセオリーからあえてずれていく。前作The 1st EP収録の「FaSHioN」や「GO!」がそうであったように、彼らの楽曲はその音が流れた瞬間に空気感そのものが変化するようなムードコンダクターとして機能する側面がある。だからこそ、ショート動画との相性もいいのだ。今回の「REDRED」は、その中毒性と実験性をさらに押し進めた一曲と言える。実際に「REDRED」は、イントロが鳴った瞬間から歪みがかけられたサブベースのうねりと、陶酔的な電子音のミニマルなループが耳に飛び込んでくる。メロディックな要素は極限まで削ぎ落とされ、同じビートとフレーズが反復される。
そして、その引き算の美学は精密にコントロールされていることが分かる。スピーカーやイヤホンを震わせる重低音でありながら、中高音域のボーカルや細かく刻まれるパーカッションとの帯域整理が巧みに行われている。そのため、過激な音像でありながら、聴き疲れしにくいバランス感覚も見えてくる。それに、フックにおける歌詞の反復は、現代人に強く作用するものでもある。意味を理解する前に、音響そのものがもたらす快感へと引き込まれていく。音が身体へ作用する感覚こそが、バイラル拡散の一因であり、CORTISの強みなのかもしれない。
しかし、この過激なサウンドスケープは単なるトレンド模倣ではない。CORTISは、メンバー自身が作詞作曲に参加し、振り付けやMV制作にも深く関与するセルフプロデュース体制を敷いている。今回の「REDRED」について、JUHOONは「『GREEN』と『RED』という色の対比を通じて僕たちが何を警戒し、何を目指すのかを語る曲」(※2)と説明している。MVなどのビジュアルでは、ポップで親しみやすいイメージも提示しているが、その裏側には、自分たちのクリエイティブな独創性を他者に侵食させないという強い意志も見えてくる。自ら音やビートをコントロールしているという強固なクリエイティブ精神があるからこそ、サウンドには切迫感と説得力が宿っているのである。
日本のリスナー、特にストリーミングやSNSを日常的に使いこなすZ世代を中心とした若い世代は、言語や国境を軽々と飛び越え、世界で最もエッジの効いた音響トレンドをダイレクトに受信している。現在の音楽シーンでも、ベースミュージックやトラップの要素をポップスへ落とし込む試みは増えつつあるが、ここまで徹底して音の攻撃性と緊迫感を研ぎ澄ました楽曲が注目を集めること自体が、市場の一つの変化と言えるのかもしれない。CORTISが提示した「REDRED」という鮮烈な一手は、現在進行形のグローバルポップシーンにおける新たな感覚と価値観を鋭く提示してみせたのである。
※1:https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DWZZbpkxU5t9L
※2:https://jj-jj.net/lifestyle/181805/