XGはさらなる未開の星へ ワールドツアー東京公演を振り返って感じる、力強い愛とエナジー
今のXGに恐れるものはない。2度目となるワールドツアー『XG WORLD TOUR: THE CORE』での日本公演を終え、7月から海外公演を控えるXGは世界基準どころか、“宇宙基準”のパフォーマンスで、多くの国のALPHAZ(ファンの呼称)を魅了している。XGはなぜここまで世界を夢中にさせているのか。筆者が観ることができた国立代々木競技場 第一体育館での4月10日公演を振り返りながら、XGの魅力を今一度紐解いていきたい。
初めてのワールドツアー『XG 1st WORLD TOUR “The first HOWL”』は、2024年からおよそ1年をかけて世界35都市47公演を巡り約40万人を動員。その間には『Coachella Valley Music and Arts Festival』への出演を果たし、昨年5月に凱旋公演となる東京ドームでツアーファイナルを迎えた。これまでの旅路を歌った「MILLION PLACES」を一つの“幕引き”と捉えるならば、今年1月にリリースされた1stフルアルバム『THE CORE - 核』、そして今回の『XG WORLD TOUR: THE CORE』はXGにとっての新章、新たな旅立ちだ。
今年2月から始まった今回のツアーの日本公演は全8都市16公演を巡り、3日間にわたって開催された代々木競技場での東京公演はツアーの追加公演という位置付けだった。「WOKE UP」「SHOOTING STAR」「NEW DANCE」「LEFT RIGHT」といったグループにとってのキラーチューンを披露しながら、セットリストの中心にあるのは『THE CORE - 核』の楽曲だ。
ツアーのコンセプトは「宇宙の旅」。液体で満たされたカプセルで眠るXGのメンバー7人が“宇宙戦士”として解き放たれ、ステージに降り立つところからライブは幕を開ける。そのオープニングを飾るナンバーは、アルバムの幕開けと同じ「XIGNAL」からの「GALA」である。
核(CORE)となる創造性や常識にとらわれない精神を表現した「Xtraordinary Genes」を表す今のXGの世界観を象徴する「GALA」。今回のツアーコンセプトともリンクする楽曲だが、ライブで観ることで改めて感じるのはメンバー一人ひとりのパフォーマンス力の高さだ。曲途中に着ていたマントを脱ぎ捨てるJURINのカリスマ性やCOCONAのダンスブレイク、HARVEYの開脚といった目を惹くポイントはあれど、瞬くようなラップリレーに、全員がステージの中心になれる主人公であることを示している。代々木公演の初日はあいにくの雨降りとなったが、本気を出す大事な日は雨が降るというXGにとっては覚悟の決まったコンディションでのステージングだったのかもしれない。
アルバムのリード曲であり、海外でヒットを記録したハウスナンバー「HYPNOTIZE」では魅惑的なステージを展開。ポップパンクに乗せて思春期の反抗をスケートボードやスプレーといったアイテムでメンバーが無邪気に表現する「O.R.B (Obviously Reads Bro)」の流れから披露されたのが「PS118」だった。JURIN ASAYA名義でリリースされたソロデビューシングル曲を、JURINに加え、HARVEY、MAYA、COCONAを迎えユニット曲として歌唱する。リフターに腰掛けた4人が本ステージへと降り立ち、グループのラップコンテンツ「XG TAPE」でも見せていたラッパーとしてのスキルを爆発させていく。トラックがフェードアウトしていく中、アカペラでラップを続けるJURINの姿に思わず心が震える。対して、XGのメインボーカルを担うCHISA、HINATA、JURIAによるユニット曲「4 SEASONS」では、温かく伸びやかな歌声が会場に響き渡った。
XGにとって初のオールラップソングでもある「WOKE UP」のスタンドマイクを使った時に危うく、妖艶さを放つステージングも素晴らしいが、特筆すべきは本編ラストを飾った「IS THIS LOVE」だろう。“愛とは何か?”を問うALPHAZに向けたラブレター。メンバー一人ひとりが一輪の花を掲げ、壮大なピアノバージョンから原曲をミックスしたアレンジへと突入していく流れは前回のワールドツアーから踏襲されているが、一気に躍動していく大サビ後のダンスブレイク“スーパーMAYAタイム”を経て、メンバー7人が背中から落ちていき消えていく(ステージ下に大量のクッションがある)という芸術的なラストでXGの形成する“宇宙空間”は一旦の幕を閉じるのだ。
XGのライブアンコールでは、遠吠えとともにALPHAZがフリップに載せてメンバーに思いを届けるのが恒例になっているが、この日驚きの歓声が上がったのが「トルコから会いに来た」というボードを持ったALPHAZがカメラにアピールしていたことだった。ライブ配信が主流となっている現代で、ましてやライブの撮影が可能となっているXGは、言ってしまえば動画サイトを通じてライブを楽しむこともできる。それでもはるばるヨーロッパから日本に来てまでXGのライブを生で楽しみたいという熱狂的なALPHAZが日本だけでなく多くの国に点在していることが想像できる。
XGはこれからツアーを再開し、アジア、北米、UK&ヨーロッパ、オーストラリア、中南米での公演を控えている。6月にはロンドンのウェンブリースタジアムで開催される『Capital's Summertime Ball 2026』に出演。日本人アーティストが出演するのはXGが初という快挙となる。そして、7月には『FUJI ROCK FESTIVAL '26』で日本に凱旋。すでに多くの注目を集めている苗場でのステージは、名実ともにそのパフォーマンスが認められる、新たなALPHAZを生む大きなきっかけになる予感がしている。
メジャーデビュー4周年を迎え、さらなる未開の星に到達しようとしているXG。コンセプチュアルなツアーの幕間映像の中で、「かつての私たちはもういない」「でも、これからの私たちは想像もできないほど強く、そして眩しく、輝いていく」というメッセージが筆者の心に強く響いた。画面越しでは伝わらない愛とエナジー、そのリアルがXGのライブにはある。XGとALPHAZを繋ぐ“HESONOO”はさらなる輪となって太く、強く。今のXGに怖いものはない。