Hi-STANDARDはあらゆる“壁”を壊してきた 『EIGHT-JAM』出演を機に改めて考える功績と現在地
国境やジャンルの壁も壊した音楽性とカルチャーへの影響
音楽に国境はないことが自然に理解できたのもハイスタのおかげだ。NOFXをはじめとして、さまざまな来日バンドの前座を務めた彼ら。『FUJI ROCK FESTIVAL』も『SUMMER SONIC』もなかった当時は、洋楽/邦楽のあいだに大きな壁があった。それをハイスタは楽曲とパフォーマンスでぶっ壊したのだ。私の周りにもGreen Dayの初来日でハイスタを知った友人がいる。またアメリカとカナダで開催されている巡回型フェス『Vans Warped Tour』に出演して、海外においても壁をぶっ壊した。ほかにも日本から海外に飛び出した偉大なアーティストは数多くいるけれど、洋楽と邦楽をフラットに見るきっかけをくれたのはハイスタではないだろうか。
そこに大きく関わっているのが、ハイスタの音楽性の特徴である英語詞である。加えて、メロディアスかつハードかつシンプルな曲調も、世界への間口を広げた。そして、その背景には、ハイスタにポップス、ハードなロック、パンクという一直線ではないルーツがあることも、番組では解説していた。つまり、彼らはジャンルの壁も壊していったのだと思う。
さらに、ハイスタが革ジャンやスーツといった“勝負服”ではなく、ハーフパンツ&Tシャツの“普段着”でステージに上がるスタイルがいかに斬新だったかという解説も重要だった。そこから、ファッション誌をバンドマンが飾る現象や、バンドマンが関わったアパレルが誕生する流行が起きていったのだ。一方で、スケートボードやスノーボードのビデオに楽曲が使われるようになり、エクストリームスポーツともシンクロしていった。実際、私は当時スキー/スノーボード雑誌を作る会社で働いていたので、そういったビデオもよく観ていた。90年代後半、スポーツやファッションといったいわゆるストリートカルチャーと音楽が混ざり合っていく様子は、あまりにも自然に見えた。しかし振り返ってみると、革新的な潮目にいたと思う。
数々の功績の上に輝き続ける“Hi-STANDARDの今”
あまりにも“伝記のなかの蛍光ペン”ポイントが多いバンドだけに、番組が4月19日放送の後編にも続くことを知ってホッとした。そこでは『AIR JAM』や活動休止、そして復活、さらにドラマー・恒岡章との別れ、ZAX(Dr)の加入が語られると予告されている。
しかし、今回の番組はその歴史を振り返っているだけではない。バンドは前述したように現在ミニアルバム『Screaming Newborn Baby』を携え、新体制で初めての全国ツアーの真っ最中。4月19日には神奈川・Kアリーナ横浜でツアーファイナルを開催する。この公演はオンライン配信、放送、映画館、カラオケボックスでの生中継も決定。私は3月11日に開催された宮城・仙台GIGS公演を観て、ここまで書いてきた“ハイスタの功績”とともに、ZAXが新たなビートで支え、難波と横山が伸び伸びと等身大をさらけ出す“ハイスタの今”を感じた。ライブハウスが似合うハイスタが、この輝き続ける瞬間を多くの人に目撃してほしい一心でアリーナのステージに立ち、生中継を行うのだと思う。気になった人は、ぜひライブを観てほしい。矛盾するような書き方になるけれど、まだまだ伝記に収まるバンドではないから。