二宮和也によるカバー、「3%」の広がり――さとう。が手にした気づきの正体 アルバム『窓越し、その目に触れて』を語る

短歌は大きな嫉妬の対象であり、歌詞を書く原動力

――物語を作る人のなかで、心の師匠っています?
さとう。:短歌がすごく好きなんです。短歌って、表現力がすごいじゃないですか。音楽の場合は「3分以内にまとめなさい」とか「この言葉を使いなさい」という制限がないから、10分の曲もあれば1分の曲もある。何でもアリだからこそ、苦しさや楽しさがあるんですけど。でも、短歌の場合は“五・七・五・七・七”で表現することが決まっていますよね。最近は現代短歌にも興味があって、X(Twitter)など一般の人でも短歌を綴っている方がたくさんいらっしゃるんですよね。そうした現代短歌を目にするたびに「決められた文字数の中にすべてが詰まっていてすごいな」と感動します。今のさとう。にとって短歌は大きな嫉妬の対象であり、歌詞を書く原動力になっています(笑)。
――面白いですね。今まで読んだなかで、胸に刺さった短歌は何でしょう?
さとう。:歌人・岡本真帆さんの「ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし」という短歌があって。「前後のストーリーが見えるし、なんて自然なんだろう」と感動したんですよ! 短歌や俳句って聞くと「季語を入れなきゃ」とか「美しい景色を見て思ったことを詠わなければ」とか、勝手な偏見を持っていたんですけど、そんな自分の価値観をぶち壊してくれたのがこの短歌なんです。「日常の風景がこんなにも美しくなるんだ!」と感じました。さとう。も日常を切り取ることを意識していて、背伸びをせず、なるべく見たことがある景色や誰かの手に届くような言葉を歌いたいなと思っているので、岡本さんの短歌を詠んだ時は、すごく衝撃を受けましたね。
――それを短い文字数で表現するのが素晴らしいですね。
さとう。:そうなんですよ! 岡本さんに限らず、短歌を詠んでいると「私が言いたかったことをこんな少ない言葉で言ってくれるな!」という嫉妬心が生まれますね(笑)。音楽は音楽で言葉の情景がより広くなったり深くなったり、音ひとつで景色が変わる面白さもある。そういう意味でも音楽が大好きな反面、短歌は別の角度から創作意欲を高めてくれる存在ですね。
――短歌以外に刺激を受けるものはあります?
さとう。:東京藝術大学の生徒さんがYouTubeに短編アニメを投稿されているんですけど、それも短歌と同じように「すべてを語らないのに、これだけ伝わるんだ」って感動します。
――1本どれくらいの尺なんですか?
さとう。:基本は3分から5分の作品が多いです。なかには言葉がないストップモーションの作品もあるんですよ。「観る側の解釈に委ねる」って言うとちょっと投げやりですけど、画面を閉じた後に思いを馳せてしまうような作品がすごく多くて。自分が作る音楽――たとえば、今回のアルバムも聴き終わってからいろんな景色がよぎってくれたらいいなって思うので。そういう余韻がある作品が好きです。
――アルバムの話題に戻すと、楽曲制作やレコーディングを通して印象に残っていることは?
さとう。:「ドーナツホール」は、歌を録り直したんです。当時はツアーをまわっていて、「喉がちょっとカスカスしてるな」と思いつつ、レコーディングをしまして。完パケした音源を聴いて、チームの方たちは「すごく切なくていいね」と言ってくれたんですけど、「もうちょっとこの曲は優しく歌いたいです」と提案しました。もう一度できあがって、「自分のなかで譲れない気持ちがあってよかったな」と思ったんです。それを言わせてもらえるチームの皆さんがいたこともすごくありがたかった。何より「みんなは『いい』って言うし、これでいいか」とならなかったことで、ちゃんとこのアルバムに向き合えていたんだなと再確認しました。慌ただしいスケジュールのなかでも、妥協せずにアルバムを作り上げられたのが嬉しかったです。
――あらためて、アルバムが完成したお気持ちを聞かせていただけますか?
さとう。:さとう。は常に窓を見ながら生活をしていて。窓の向こう側に行けないことに、もどかしさを感じたりもするんですよ。この窓の向こうにはどんな人が暮らしていて、どんな生活があって、どんな音楽を聴いてるんだろう、って。そういうことに思いを馳せつつ、そこには踏み込めないのがすごく悔しくなったりする。でも、この一枚が窓となって、リスナーの方たちとさとう。を繋げてくれるんだろうな、この楽曲たちを通して、さとう。と繋がったらいいな――そんなことを思わせてくれるアルバムになりました。
――6月からはアルバムを携えたツアーが始まりますね。バンド編成というのも非常に楽しみです。
さとう。:ありがとうございます! 去年バンド編成で初めて東名阪をまわらせていただいたので、それをよりパワーアップして、ボリュームアップしたライブをお届けしたいと思います。アルバム自体もバンドアレンジがすごく多いので、音源の温度感以上の演奏を生で体験してほしいと思っています。
■リリース情報
2nd ALBUM『窓越し、その目に触れて』
発売中
配信URL:https://lnk.to/darari_madogoshi
BZCS-1227/だらりレコーズ
3,300円(税込)
<収録曲>
01. ネバーランドより
02. 地平線
03. 逃避行ハイウェイ
04. Saturday park friend
05. ドーナツホール
06. つよがり
07. 明日
08. 胸ぐら
09. ライア
10. ダイアログ
11. 決別
12. 通過する故郷
13. 風の便り
Bonus Track [CD Only]
14. ぺちゃんこ
■ツアー情報
『さとう。FANCLUB だらり湯 LIVE ~源泉かけ流し~』
2026年3月10日(火)東京都 浅草花劇場
OPEN 18:30/START 19:00
*弾き語りワンマンライブ
<チケット>全席指定
一般:4,800円
学割:3,800円
公演詳細:https://sato-darari.jp/news/987
『LIVE TOUR「その目を心の窓と呼ぶ」』
*バンド編成ワンマンツアー
2026年6月28日(日)宮城県 仙台enn 2nd
2026年7月4日(土)愛知県 名古屋CLUB UPSET
2026年7月5日(日)福岡県 福岡Queblick
2026年7月11日(土)広島県 広島CAVE-BE
2026年7月12日(日)大阪府 心斎橋Music Club JANUS
2026年7月18日(土)東京都 渋谷WWW
<チケット>オールスタンディング
一般:5,000円(税込/ドリンク代別/整理番号付き)
学割:4,000円(税込/ドリンク代別/整理番号付き)
オフィシャル 1次先行
受付期間:3月3日(火)18:00~3月10日(火)23:59
受付URL:https://eplus.jp/sato-darari/
ツアー詳細:https://sato-darari.jp/news/1032
さとう。オフィシャルサイト:https://sato-darari.jp/
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