TOMOO、隅々まで届けた“近さ”と真摯な歌声 ホールツアーを経て、確信とともに次なる舞台・アリーナへ
「また必ず、元気に会いましょう」ーーTOMOOが語った音楽と観客を繋ぐ奇跡
続く「ナイトウォーク」も「餃子」と同様、『DEAR MYSTERIES』の中ではひときわ異彩を放つナンバーだ。空気を切り裂くようなギター、スネアのタイミングをずらした変則的なドラム、16ビートのシンコペーションで進むベースライン。それらが幾何学的に絡み合い、TOMOO流のポストロック〜ダンスミュージックとしてフロアを揺らしていく。
そこから2021年の「スーパースター」を経て、間髪入れずに「オセロ」へ。Chicagoの「Saturday in the Park」を彷彿とさせるお馴染みのピアノバッキングを、TOMOOがアップライトピアノで叩き出すと、客席から再びハンドクラップが鳴り響いた。今回の編成ではドラムとパーカッションが躍動感をいっそう際立たせ、ホーンセクションがバリバリと切り込んでくるたび胸が高鳴る。そのまま「Super Ball」とアップリフトな楽曲を立て続けに投下し、会場を大きな歓声で満たしていく。
ここでいったん熱気を覚ますように、再びピアノの弾き語りで「エンドレス」をしっとりと歌い上げた後、チェロの林田を迎えて「Cinderella」を披露。TOMOOのピアノと歌に、時に寄り添い、時にぶつかりながら、林田は歌うようにフレーズを重ねていく。長い髪を振り乱し、自由に弾きまくるその演奏には凄みがあった。時おりアイコンタクトで呼吸を合わせ、ドラマティックに駆け上がっていく終盤、オーディエンスが息を呑む気配さえ伝わってくる。
バンド編成に戻ると「Lip Noise」そして「ハックルベリー・フレンド」。幻想的で神秘的、音響的な手触りを持つ、アルバムの中でもディープで内省的な2曲を続けて演奏し、会場を深い余韻へと沈める。そこから夢の中から現実へ引き戻すように「Ginger」へ。ここで改めてバンドメンバーを紹介すると、本編最後に「Present」を届けた。モータウンビートに乗せた抑揚たっぷりのメロディを歌い切り、「このツアー、楽しかったです!」と言い残し、走るようにステージを後にした。
アンコールでは「Lullaby to my summer」と、最新曲「ソナーレ」を披露。「皆さんの心の宝箱、開きましたか?」と問いかけたあと、TOMOOはこう続けた。
「私は昔から過去を振り返って、宝物みたいに取り出して眺めるタイプで、曲もそうやって書いてきました。でも、今この瞬間も大事な“宝”だと思うんです。生きてる宝、動いてる宝というか……音楽は形として手元に残らないのに、私たちはそれを奏でながら、どこにあるのかわからない宝を探している。不思議ですよね。みんながこうしてここに来てくれることも含めて、不思議だなって。誰にも見せられない宝もあるし、人と人の間にしか生まれない宝もある。受け取ってくれて、一緒に持ってくれてありがとう。このツアーも、いつか振り返った時にきっと宝物になると思います。ありがとうございました。また必ず、元気に会いましょう」
最後に、TVアニメ『CITY THE ANIMATION』(TOKYO MXほか)のエンディング主題歌「LUCKY」を歌い、この日のライブ、そしてツアーを締めくくった。
今年11月には、自身初のアリーナツアー『TOMOO Arena Tour 2026』を開催する。ホールの隅々まで“近さ”を手渡した彼女が、次はどんなスケールでその歌を響かせるのか。次の飛躍を、この目に焼き付けたい。