Mr.Children、大森元貴、HANA、宮本浩次、IVE、sumika……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はMr.Children「Saturday」、大森元貴「0.2mm」、HANA「ALL IN」、宮本浩次「風と私の物語」、IVE「BLACKHOLE」、sumika「赤春花 (feat.幾田りら)」の6作品をピックアップした。(編集部)
Mr.Children「Saturday」
Chicagoの名曲を想起させるイントロから始まる極上のポップチューン。しなやかなバンドサウンド、大らかに解放されるメロディが響き合い、聴く者の気分をナチュラルに上げてくれる。凝ったコード進行や洗練されたホーンセクションなど、AOR的なエッセンスが感じられるのも新鮮だ。変わり映えのしない、あまり冴えない日々を送りながら、ふとした瞬間に〈公園を散歩なんかどう?〉というちょっとしたアイデアが浮かんでくる瞬間を描いた歌詞も印象的。世界は相変わらずで、この先はまったく見通せないが、少し視点を変えることで何かが開ける――そう、Mr.Childrenはいつだってそんな音楽を私たちに届けてきたのだ。先行配信された「Again」と「Saturday」が収められたニューアルバム『産声』は3月25日リリース。(森)
大森元貴「0.2mm」
Mrs. GREEN APPLEの大森元貴のソロ活動5周年を記念したミニアルバム『OITOMA』リード曲。クラシカルな手触りのピアノとともに紡がれるのは、賛美歌とフォークが溶け合うような、美しき慈しみに溢れたメロディライン。決して大仰にならず、部屋のなかで会話するように響くボーカル/ハーモニーもじんわりと心に残る。愛を知りたい、もう少し優しくありたいと願いながら日々を過ごし、〈あなた〉へと思いを馳せる歌詞はどこまでも普遍的。どんな時期にどんな人が聴いても、大切な存在のことを思い出したり、自分自身の日常を投影することになるだろう。根底にあるのは“いつか命は終わる”という前提だが、この曲を聴き終わったときに残るのは、すべてを肯定するかのような優しさだ。(森)
HANA「ALL IN」
デビューから1年足らずでストリーミング再生回数1億回超えの楽曲を5曲放つなど、圧倒的な存在感を示し続けるHANAがついに1stアルバム『HANA』をリリース。本作に収録された新曲「ALL IN」はメンバー7人全員で作詞作曲に参加した楽曲だ。サウンドの軸は尖りまくったギターリフ。オルタナティブロックの危うさ、HIPHOPの強靭なインパクトがぶつかり合うトラックのなかで彼女たちは〈全部bet〉というフレーズをリフレインしまくる。これまでの道のりのなかで出会った人たち、別れた人たち、応援している人たちや批判している人の感情をすべて受け止め、「私たちのすべてを賭ける」と宣言するこの曲は、HANAの精神性を示すと同時に、この先のさらなる飛躍のためのガソリンになるだろう。(森)
宮本浩次「風と私の物語」
最新作品『俺と、友だち』収録曲のひとつで、昨年Adoに提供した楽曲のセルフカバーとなる。そもそも『俺と、友だち』というのは宮本がキタダマキ(Ba/syrup16g)を筆頭とする“仲間”と始めた新しいバンドプロジェクトで、音源のほとんどは気の置けないメンバーと一発録りしたもの。艶っぽいエレキギターがたっぷり鳴っていたAdoバージョンの曲が、実はこのようなアコギベースの曲だったことに驚いてしまう。シンプルにしすぎると間延びしてしまうバラードなので別アレンジのストリングスが入ってはいるが、いずれにせよ、壮大さより素朴さがストレートに表れている。タメの効いたサビ、高音域であっても、宮本の歌にはどこにも力みがない。(石井)
IVE「BLACKHOLE」
先行配信された「BANG BANG」がすでに世界的ヒットの兆しを見せているIVE、2ndアルバム『REVIVE+』からもうひとつのタイトル曲がこちら。2曲に共通するのは変化するスリリングなリズムであり、「BANG BANG」はEDMやハードハウスから派生した激しさで、この「BLACKHOLE」は威風堂々たるスケールの大きさで聴き手を魅了する。ビート以外で鳴っているのはベースとシンセくらいで、何をどう重ねるかよりも、どう鳴らさずに空間を作るか、に主眼が置かれているのだろう。かつてのスタジアムロックを換骨奪胎し、ビートを徹底的に洗練させるとこうなる、という手本のような曲でもある。世界観をそのまま映像化したMVも息を呑むほどゴージャス。(石井)
sumika「赤春花(feat.幾田りら)」
シングル『Honto』収録曲のひとつで、もともとは昨年春の「FM802×三井ショッピングパーク ららぽーと ACCESS!」キャンペーンソング。作詞作曲を手がけた片岡健太(Vo/Gt)自身のほか、FM802にゆかりのある複数のアーティストが歌い継ぐ、ラジオ局オリジナルのプロジェクトだった。新しい季節の到来を全員で喜び合うための曲なので、ポップスとしての強度は最初から文句なし。今回のバージョンはsumikaによるセルフカバーだが、ゲストボーカルに幾田りらを迎えたのは、男女の視点が混ざり合ってこそ完成する歌詞だからだろう。〈桜舞って〉から始まる内容はベタなJ-POP古典とも言えるが、片岡の甘い歌声に幾田の透明感が重なる瞬間は、わかっていても胸キュンスイッチがONになってしまう。(石井)