Maki、Blue Mash、Chevon……地方出身バンドの故郷を彷彿とさせる楽曲 今春にメジャーデビューを果たす3組が描く風景

 ロックバンドがライブで「○○からきました」と生まれ育った街や結成した場所を、前置詞のように、もはやそれも含めてバンド名のように挨拶をする姿をよく見る。ロックバンドにとって、地元の街は切っても切り離せない存在だ。なぜなら彼らの多くは地元のライブハウスに通い、地元のライブハウスでくる日もくる日もライブをし、出会いや別れを繰り返しながら同じ街の仲間たちと切磋琢磨してきたからだ。そんな地元の風景が滲むロックバンドの楽曲はいくつもある。ここでは、2026年にメジャーデビューを果たすバンドの故郷を描いた楽曲をピックアップしてみたい。

Maki「ホームタウン」

 まずは、今年3月に日本コロムビア内のプライベートレーベル・NEVERMIND Rec.からメジャー1stフルアルバム『My favorite things』をリリースするMakiの「ホームタウン」。Makiは名古屋で結成された3人組ロックバンドで、名古屋を拠点に数々のバンドを全国に輩出してきたインディーズレーベル・TRUST RECORDSに所属し、ライブ力を高めてきた。「春と修羅」「斜陽」といった曲名からもわかるとおり、文学の影響を受けた詩的な歌詞と、情熱ほとばしるパンキッシュなサウンドが持ち味だったが、年齢やソングライターの山本響(Ba/Vo)の意識の変化に伴い、徐々に“ポケットに入れやすい感じの言葉”を選ぶようになってきているという(※1)。「ホームタウン」は、そんな変化の過程にあった2023年リリースの楽曲。〈逆さまに書いた 嫌いなあの街〉という歌詞から始まり、夢を見たり、夢があるからこそ苦しんだりする日々が山本らしい言葉選びで綴られる。そして最後は〈いつでも此処に帰ればいい/呆れる程 愛しているから〉と結ばれる。一言で「好き」や「嫌い」とは言い表せないのが、故郷や家族。それでも戻る場所、帰る場所である。そんな場所がMakiにとって“ホーム”や“ホームタウン”なのだ。

Maki【ホームタウン】Music Video

Blue Mash「泣くな東京」

 Blue Mashも、今年春にビクターエンタテインメントからのメジャーデビューが決まっている。そんな彼らがメジャーデビューを発表した東京・LIQUIDROOMでのツアー『この街を出て -大都会終結編-』ファイナル公演で初披露し、その翌日となる昨年12月17日に配信リリースされたのがインディーズラストシングル「泣くな東京」だ。〈新大阪駅のホームが最後〉から始まり〈僕は東京へ行きます〉と歌うこの曲は、歌詞の通り上京をテーマにしている。そもそもBlue Mashは大阪・寝屋川で活動を開始したバンド。ホームとしているライブハウスは寝屋川VINTAGE。メジャーデビューを発表した翌日、「泣くな東京」をリリースしたその日にバンドは、「明日、寝屋川VINTAGEでワンマンライブします」と突如発表して本当に12月18日にワンマンライブを行った。筆者が見た、初出演の『SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2025』でも彼らは寝屋川VINTAGEの名前を出し、雑多な楽屋、シミのついた壁や床について、愛おしそうに語り、一気にライブハウスの匂いを運んできたのが印象的だった。そんな彼らが、インディーズラストシングルで〈逃げ回って見つけた場所で/輝くことを覚えた/失ってたまるか/二度とやり直せないから/自分で選んだ/この人生もこの毎日も〉と歌う決意はいかほどか、想像に難くない。

泣くな東京 - Blue Mash

Chevon「さよならになりました」

 地元を彷彿とさせる楽曲と言うと、Chevonの「さよならになりました」も触れておきたい。Chevonは札幌で結成された3ピースロックバンド。予測不能なメロディラインと楽曲展開、谷絹茉優(Vo)による文学的な歌詞で、2022年にライブ活動を始動させるやいなや、あっという間にロックシーンに台頭した。今年の春、avexのcutting edgeからメジャーデビューをすることが決まっている。「さよならになりました」は、2025年3月にリリースされた楽曲。谷絹が「私のことを書いた曲です」「どうか誰かの歌になりますように」との言葉を添えてSNSに公開していたことからもわかるように(※2)、〈巡る季節を忘れるほど歌に溺れて生きるから/足りない何かを埋めるように書き続けるから〉と、谷絹の音楽に対する決意が綴られている。注目したいのはMV。バンドの故郷を思わせる雪景色から始まる映像は、雪景色と都会の景色、アニメーション映像と場面が次々と切り替わるのだが、主人公はすべて同一人物。雪の中をもがいた主人公は、東京の青空の下でも不安げ。しかし、そんな主人公の手のひらにふわりと桜の花びらが舞い降り、そのひとひらの希望を手に走り出すと、そこには満開の桜景色が広がっている。谷絹が自分のことを書いた曲に、このMVを託したということに、Chevonへの希望を感じられる。

さよならになりました/Chevon 【Lyric Video】

 偶然にもMaki、Blue Mash、Chevonの3組のメジャーデビューは、いずれも今年の春。新天地で希望の花びらを手にした彼らが、これからどのような活躍をしていくのか、楽しみしたい。

※1:https://satanic.jp/contents/991801
※2:https://www.instagram.com/reels/DHvk5c7zeh-/

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