神が残した夢を喰う。 試行錯誤を続けて駆け抜けた日々 デビュー曲「雨」の大ヒット、自ら手繰り寄せる成功のプロセス

「雨」ヒットがもたらした恩恵と葛藤

ーーあははは。当初はバンドメンバーが揃っていなかったということですけど、今はもう固まっているんですよね。

はるくん:そうですね。1年目にはもう固定のメンバーになってました。元々、高校の同級生だったメンバーを中心に集まってもらいましたね。

ーーパーマネントなバンドという形態にもこだわりがありそうですよね。

はるくん:うん。ライブをするにあたっては、別にサポートメンバーを集めればできるわけですけど、自分としてはやっぱり同じ志を持ったメンバーと一緒に音楽をやりたいし、一丸となって上を目指したい思いが強いんです。なので昔からの仲間で、固定のメンバーでやるっていうのは当初から決めてました。

ーー約2年にわたってたくさんの楽曲をリリースしてきたわけですが、その活動を通してかみばくが描き出してきた独自のカラーってどんなものだと感じていますか?

はるくん:どうなんすかね。そこはあんまり客観的に見れてないところがあるんですよね。基本的には自分の好きなもの、作りたいものを作ってきたので、カラーって言われると難しいな。ただ、「雨」という曲がああなっちゃったことでついたカラーは間違いなくあるとは思いますけどね。

ーー「ああなっちゃった」って(笑)。要はSNSを中心に、大きくバズったっていうことですよね。

はるくん:そうですね。その結果、僕らの代表曲が「雨」になり、そのことはもちろんめちゃくちゃありがたいんですけど、そのイメージが強くなっちゃったところはやっぱりあるんですよ。ライブでも「雨」はもちろん、それに近い雰囲気のあるバラード曲とかが注目されがちっていう。だから今後はそのイメージをいい形で払拭していきたい気持ちはありますね。ライブでは楽しい曲で一緒に盛り上がるシーンも絶対必要だと思うので。今回の「幽霊になって」は、そこをけっこう意識して作ったところがありました。

ーーちなみにご自身の「好きなもの」「作りたいもの」っていうのを言語化すると、どんなものになるんでしょうね?

はるくん:キャッチーであることじゃないですかね。そこは一番大事にしてるかもしれない。自分自身、キャッチーさがない音楽は聴けないんですよ。もちろんキャッチーか、キャッチーじゃないかの判断は自分の感覚ではあるんですけど、そこの審査を通らない曲は出さないようにはしてますね。だから、かみばくの曲は全部キャッチーだと思ってます。

ーーそこは間違いなく大きなカラーになっていますよね。じゃあ言葉、歌詞に関して大事にしているところは?

はるくん:歌詞に関しては、トータル的に見れば失恋系が多いとは思いますね。そこが共感してくれる人の多い要因になっている気がします。でも、もちろんそこだけに固執してるわけじゃないんで、今後は幸せな曲も出していくつもりです。それこそ結婚式で流してもらえるような曲を作ったりもしてるんで。歌詞のモチーフに関してはいろんなことに挑戦していきたいけど、書き方としては物語や情景が浮かぶような表現を意識してますね。僕は映画を観るのがすごく好きなんで、自分の音楽を聴いた人が映画を観たような感覚になってくれたらいいなと思いながら歌詞をいつも書いてます。

ーーそういったこだわりは、はるくんにとってもかみばくにとっても最初の楽曲となった「雨」から一貫していますよね。あらためて、あの曲はご自身にとってどんなものになっていますか?

はるくん:何が合っているのかとかもわからず、本当に手探りで作った最初の曲ですからね。自分にとって大切な曲であることは間違いないです。1発目の曲がバラードっていう意味でもインパクトがあったと思うし、それがたくさんの人に聴いてもらえることになったんで、出して本当に良かったなと。曲ができたときの手応えはそれほどなかったですけどね(笑)。そもそも自分の中で比べるものがなかったんで、これを出すしかないっていう状況だったし。でも当初から周りの人はみんな「いい曲だ」とは言ってくれていて。その反応が自分にとってはデカかったかもしれないです。

ーー配信リリースから約2年が経ってますけど、今もまだたくさんの人に聴き続けられていますよね。

はるくん:そうですね。出してから1年経たないぐらいで、YouTubeで100万再生ぐらいはいってて。で、次の1年で600万回くらいに伸び、今年に入って3月くらいからは1日10万回くらい再生されてますね。その余波で今も伸び続けてるっていう。それ以降の曲はなかなか同じようにはいかないんで、「雨」はほんとに異次元のバズり方だったんだなと思います。それを越える曲を出したいという気持ちはもちろん強いんですけど、「雨」という代表曲ができたことで、ある意味、気持ち的な余裕ができたところもあって。いろんなことに挑戦しやすい土壌ができたのは嬉しいですね。

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