神が残した夢を喰う。 試行錯誤を続けて駆け抜けた日々 デビュー曲「雨」の大ヒット、自ら手繰り寄せる成功のプロセス
はるくんによるソロプロジェクト 神が残した夢を喰う。(かみばく)が、12月1日に新曲「幽霊になって」をリリースした。同曲は幽霊になった主人公が恋人を想うラブソングにはなっているのだが、爽やかなバンドサウンドと切ない歌詞が交差するポップソングに仕上がっている。
デビュー曲「雨」がスマッシュヒットを記録し、そこからコンスタントに楽曲をリリース。かみばくは、始動してから2年という期間の中で着実にファンの母数を増やしている。そもそも、はるくんはなぜソロプロジェクトという形で新たなスタートを切ったのか。現在までの歩みを振り返りながら、音楽にかける想いを聞いた。(編集部)【記事の最後に読者プレゼントあり】
「どれかひとつでも当たれ!」みたいな感覚
ーー神が残した夢を喰う。(かみばく)は今年の10月で始動から丸2年が経ちました。楽曲のリリースもたくさんありましたし、かなりハイペースで動き続けてきた感じですね。
はるくん:そうですね。ちょっと自分でも追いつかないぐらい充実してます。
ーーかみばくを始動させるにあたって、活動形態や方向性などは明確に定めていったんですか?
はるくん:いや、最初は手探りな感じでしたよ。当時の路上ライブはカバー中心だったし、自分では曲をほとんど作ったことがなかったので、どうしていこうかなっていう。そんな中、半年くらいかけて独学で曲作りを学んでいったんですよ。そこで最初にできたのが「雨」だったんですけど。
ーーシンガーソングライターとしてやっていくことにしたのはどうしてだったんですか?
はるくん:自分でやるしかなかったって感じですね。当初から楽曲提供をしてもらおうっていう考えは頭になかった。そこまで深く考えずに動き出したけど、なんとなく自分ならできるかなっていう思いがあったというか。
ーー今やほぼすべての曲をご自身で書かれているので、「自分ならできる」という思いはまさに現実になったわけですね。
はるくん:そうですね。とは言え、自分のデモはほんとに最低限の打ち込みで作る感じなんで、そんなに難しいことはやってないですけどね。メロと歌詞にはちゃんとこだわるけど、アレンジに関してはアレンジャーと一緒に作り上げていく感じなんで。
ーーソロとして動き出し、今までやってこなかったソングライティングにも挑戦し、ご自身としては本当に新たなスタートを切った感じだったんでしょうね。
はるくん:基本、性格が楽観的なんで、なんとかなるだろうってすぐ思っちゃう。でも、だからこその怖さはあるんですよ。実際、なんとかなっちゃってるから怖い、みたいな(笑)。
ーーでも、何もしないで「なんとかなる」と思っているわけではないはずですよね。その裏には歌への強い愛情と、それを届けるためのたゆまぬ努力があったんだろうし。
はるくん:それはもちろんそうですね。今もそうですけど、自分のことを知らない人の足をどう止めるかっていうのを考えながら路上ライブをやってますし、あとはネットでの展開もかなり考えてはいます。その時々のトレンドを受け止めながら、自分たちらしいことをTikTokやYouTube上で試していくっていう。そこに関しては本当にトライ&エラーの繰り返しですけどね。とにかくいろんなことを試して、「どれかひとつでも当たれ!」みたいな感覚でやってます。
ーー楽曲に関しても、そういう時代性みたいなものを意識する部分はあります?
はるくん:それもありますね。曲をバーッと書き溜めておくのではなく、時代性を見ながら「じゃあ次はこういう曲を作ろうか」っていう。その繰り返しでここまでやってきた感じですね。それこそ最新曲の「幽霊になって」も、リリースの2カ月くらい前にできた曲ですからね。それをすぐ出すことに意味があるというか。
ーー神が残した夢を喰う。というネーミングで、ある種、ソロプロジェクト的な動き方をしようと思ったのはどうしてだったんですか?
はるくん:今の音楽シーンのトレンドを意識したところはあったかもしれないですね。ずっと真夜中でいいのに。とかYOASOBIとか、プロジェクト名っぽく活動しているアーティストが多いじゃないですか。あと、当初はバンドにするためのメンバーが集まっていなかったんで。とりあえず1人でやっていくことにして。でも、プロジェクト名みたいにしておけば、メンバーが揃ったときにはバンドでも動きやすいだろうなっていう考えもあって。いろんな形態での活動が柔軟にしやすいように、この名前に決めました。その選択は自分でもよかったなって思ってます。
ーーネーミングにはどんな意味を込めたんですか?
はるくん:アーティスト名に動物の名前が入ってると、グッズとかめっちゃ作りやすいんですよ。で、まず思いつきで“ばく”をモチーフにすることに決めて。そこからばくを深掘っていったところ、中国とかでは幻想の動物で、夢を食べると言われていると。さらに神話では、神様がいろんな生物を作っていった後、最後に残りものを寄せ集めてできたのがばくだと言われてるんですよね。だから前と後ろで手の本数が違っていたり、カラダがパッチワークのように白黒になっていたりするっていう。そういう話がすごくおもしろかったんで、“かみばく”という略し方ができる神が残した夢を喰う。っていう名前に決めたんです。伝わりますかね(笑)?
ーーちゃんと伝わってます(笑)。僕はちょっと深読みしたところもあったんですよ。ある種、背水の陣的な感覚で、神様が残してくれた夢を喰いつくしてやるというはるくんの強い決意がそこに込められている感じがしたというか。
はるくん:いいっすね。それ。さっきも言ったけど、俺はめちゃくちゃ楽観主義なんで、あんまり深くは考えてなかったんですよ。その意味、かっこいいな。今後はそう言っていこうかな(笑)。