MFS「みなさんがいることが私の生きる意味」 漲るエネルギーとグッドバイブスを共有した全国4都市ツアー
MFSがツアー『MFS 1st Tour -2025』を完走した。
9月に6曲入りのEP『3』、10月17日に新曲「別に feat. Campanella, JUMADIBA」をリリース。10月18日に大阪・大阪城ホールで開催されたフェス『POP YOURS OSAKA』でも約13,000人の観客に囲まれたセンターステージで、クールなスピットをかましてラッパーとしての強度を証明したばかりのMFS。本稿では、10月22日東京・LIQUIDROOM公演を皮切りに10月31日愛知・NAGOYA JAMMIN'、11月8日大阪・Yogibo META VALLEY、11月21日福岡・BEAT STATIONを回ったツアー初日公演の模様を振り返る。
オープニングDJはバックDJも務めるMFSの相棒・RUI HAYAKAWA。ドラムンベースやレゲエ、ダブといったベースミュージックをミックスして、すさまじい低音で観客の肉体を振動させてライブへの期待を煽っていく。気がつけばLIQUIDROOMはパンパン。みんながディープなバイブスに誘われたところで、MFSがステージインした。白のクロップドタンクトップにオーバーサイズのデニム。髪はブレイズで左側だけコーンロウに編み込んである。シンプルだけどワンアイデアのスタイリッシュさが彼女らしい。音源ではMFSの豊かな音楽性を堪能できるが、ライブではそこに彼女の身体性が加わる。ラップをしながら、音にハメて振りも入れる。「IMPACT」のリリックに絡めた「今日は頭からつま先まで楽しんでいきましょう!」というシャウトの通り、彼女は全身からエネルギーを発散するパフォーマンスを見せた。
低い声を武器に、エッジィなダンストラックで、長く複雑なヴァースを一息ではっきりと蹴るのが彼女のラップスタイル。たまにリリックに詰まる。だけど笑顔。そのカラッとしたキャラクターを実感できるところもライブの醍醐味。「BINBO」のリリックに絡めると、ステージでも〈ありのままで 裸ん坊〉だ。MFSは「みなさん、楽しんでますか? もうちょっと踊ったほうがいいかもしれません」と話しかけたあと、「踊るなら踊る! 踊らないなら踊らない!」と煽りを入れた。その言葉があまりにサバサバとしていたせいか、言った後にMFS自身も笑ってしまっていた。だがそういった瞬間に彼女のグッドバイブスが観客に共有される。
東京公演にはゲストにCampanellaが登場。人気曲「I DONT KNOW (feat. MFS) 」で観客を爆発させると、JUMADIBAも加わってリズミカルでダイナミックな新曲「別に feat. Campanella, JUMADIBA」を3人でプレイ。その勢いのまま、ステージにテキーラのショットが運び込まれる。「一旦さ、みんなで酒飲んだり、踊ったりしましょうよ」とMFSはステージのCampanella、JUMADIBA、RUIに加え、前列の観客にショットを配ったあと、「みんな、お酒持ってますか?」と、陽気に「後半も楽しんでいきましょう」と乾杯した。そのパリピっぷりは観ていて笑ってしまうほど気持ちがよかった。なお、ショット後のMFSは「Don’t」でヒップシェイクを披露して観客を爆上げさせた。クライマックスにはDaichi YamamotoとUKライクなドラムンベーストラック「Central Line (feat. MFS)」も投下した。
「今日はまだツアー初日で、東京はママも来てくれてるし、お姉ちゃんも来てくれてるし、小学校、中学校からの友達も来てくれてるし、普段私に寄り添ってくれる友達もいるし、普段サポートしてくださる関係者の方も一番集まっているので、この場を借りてみなさんに感謝を伝えたいと思います」と深々と頭を下げた。またMFSは会場を見て、「ここに来てくださっているファン?……友達でいっか(笑)。友達のみなさんも本当に本当にありがとうございます。みなさんがいることが私の生きる意味であり、音楽を作る意味なんじゃないかなって昨日の夜思いました」と話して、ちょっと照れたように笑った。
「Red Bull 64 Bars」で言っているように、MFSは自由な存在であると改めて感じさせるライブだった(〈誰かがクイーン 誰かがキング 私はフリー〉)。今回のツアーでは、多くの人がMFSの高まったラップのスキル、表現力に加え、凛と輝く素の佇まいを感じることができたのではないだろうか。