KIM CHAEWON、『匿名の恋人たち』主題歌がバイラル首位 LE SSERAFIMとは異なる自然な魅力
Viral Chart Focus
Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの10月22日付のTOP10は以下の通り(※1)。
1位:KIM CHAEWON「告白 (Confession) [Japanese Version]」
2位:Torbahed「YOSHO HAI MONTAGEM」
3位:JO1「Handz In My Pocket」
4位:中島健人「IDOLIC」
5位:ディアンジェロ「Untitled (How Does It Feel)」
6位:Tkandz & CXSPER「NOW OR NEVER」
7位:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
8位:米津玄師「IRIS OUT」
9位:米津玄師&宇多田ヒカル「JANE DOE」
10位:cape, JXNDRO, Sayfalse「MONTAGEM RUGADA」
LE SSERAFIMのリーダーであるKIM CHAEWONのソロ曲「告白 (Confession) [Japanese Version]」が、首位に躍り出た今週のバイラルチャート。
ドラマ『匿名の恋人たち』(Netflix)の主題歌として9月19日にデジタルリリースされた本曲は、1999年に韓国の女性シンガーであるパク・ヘギョンがリリースしたバラード「告白」に新たに日本語詞を加えた、日本語カバーバージョン。10月19日付のデイリーバイラルチャートで4位に初登場し、21日付のランキングでは1位となり、以降首位をキープ。同チャートのSouth Korea版でも最高位3位を記録している。小栗旬とハン・ヒョジュという日韓の演技派俳優が主演を務める『匿名の恋人たち』は、フランス映画『匿名レンアイ相談所』(英題:『Romantics Anonymous』)が原作のロマンティックコメディ。放送がスタートすると、日本ではNetflixで週間視聴1位を獲得。韓国やインドネシア、ブラジルなど13カ国でトップ10入りを果たしている。
「告白 (Confession) [Japanese Version]」は、打ち込みのトラックながら、生音に近い楽器の音色が使われた、あたたかなミディアムチューン。原曲の雰囲気を残した緻密な音の間合いがあり、ロマンティックなメロディを際立たせるトラックになっている。KIM CHAEWONはこのメロディを丁寧になぞった、ストレートなアプローチで歌っている。語るように歌い出す最初のパートは、息の湿度が感じられるほどのリアリティがあり、声の芯を保ちながらも揺れを残す発声と透明感ある歌声で、一気に楽曲の世界観へと誘っていく。
中盤からサビにかけ、感情を膨らませるような表現をしながらも決して力無事のない、繊細な抑揚が印象的だ。注目してほしいのは、フレーズ終わりの語尾での息遣い。母音の抜けをかすかに残る程度に抑えて歌うことで、まるで耳元で囁かれているような感覚を得る。KIM CHAEWONは、LE SSERAFIMの公式YouTubeで本曲を韓国語で歌唱しているが、そのバージョンでは語尾を吐息のようなニュアンスにし、日本語バージョンよりも少し伸ばし気味に歌っている。この語尾のアプローチの違いは、歌詞の言語の違いによるところも大きいと思うが、注目してほしいのは「告白 (Confession) [Japanese Version]」のサビだ。フレーズ終わりの母音の声音を一定に整えることで、ミディアムバラードの中に、独特のリズムを生み出している。加えて、彼女のこの発音の美しさが相乗効果となり、ピュアなメロディを一層際立たせている。
LE SSERAFIMの楽曲で見せるスタイリッシュさとは、ある意味真逆の、どこか素朴さを感じるクリアな歌声を聴かせた「告白 (Confession) [Japanese Version]」は、KIM CHAEWONの声の良さを改めて痛感する楽曲となった。母音処理の柔らかさと、フレーズに入る前の一瞬のリズムの溜めで、KIM CHAEWONは懐かしい楽曲を現代的な親密さに昇華している。
※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2025-10-22