常闇トワ、時代に迎合せずに信じるものを貫く音楽 最新作『SHIN』で向き合った“心の声”
常闇トワが2ndアルバム『SHIN』をリリース。そして、10月29日には『Tokoyami Towa 2nd Live “SHINier”』を有明アリーナにて開催する。1stソロライブ『Break your ×××』から2年ぶりとなる本公演では、より一層大きなスケールのステージを見せてくれそうだ。
同公演の核となるであろう『SHIN』は、常闇トワの音楽に対するこだわりが徹底的に詰め込まれた作品だ。時代に合わせるのではなく、自身のルーツである“ロック”を基調とし、ダークな質感がありながらも同時に希望も提示する。様々なクリエイターとのシナジーから生まれた、常闇トワが今届けたい音楽を存分に味わうことができる。
改めて、常闇トワにとって音楽活動とは、ライブとはどんな場所になっているのか。『SHIN』の制作秘話と共に、彼女の内から溢れる情熱に触れてもらいたい。(編集部)
結果として自分の好きなものが詰まったアルバムになった
ーーご自身にとって2枚目となるアルバム『SHIN』がリリースされました。10月8日付けのオリコンデイリーランキングで1位を獲得するなど、大きな反響を呼んでいますね。
常闇トワ(以下、常闇):1stアルバム(2023年リリースの『Aster』)もけっこう反響をいただいたんですけど、そこから約2年が経ったことで私の配信を見てくださる方の母数も増えてきたと言いますか。そのため、アルバムに関してSNS上でポストくださる方が多く見受けられた状況もあって。最近はCDを買う人が少なくなっていると思うんですけど、「現物買ったよ」っていう声が多くあったり、「オリコン1位というニュースを見て、私も買いました」みたいな方もいらっしゃいました。わかりやすい指標になり得る“オリコン1位”という数字が出ることは純粋に嬉しいですよね。
ーー2枚目のアルバムが出せるということに関しては、どんな思いがありましたか?
常闇:それはもちろんすごく嬉しいことではあったんですけど、内容に関してはけっこう悩みました。歌うことはそもそも好きなので、それを満たしてくれるアルバムにするという気持ちはありつつも、全体としての方向性をどうするかで悩みに悩んで。
ーー聞くところによると1年以上前から制作は始まっていたそうですね。
常闇:そうですね。いちおう1年くらい前から始めてはいたんですけど、それぞれの楽曲にいろんなこだわりを注いでいったので、結果として時間をかけてじっくり作っていく流れになりました。
ーーあらためてお聞きしますが、約2年前にリリースされた1stアルバム『Aster』はトワさんにとってどんな1枚でしたか?
常闇:1stアルバムはいろんな私を見せたいという思いを持って作っていきました。だからロックがあったり、バラードがあったり、ちょっとテクノっぽいものがあったりと、楽曲のテイストやジャンルも言っちゃえばバラバラみたいな。そんな内容のアルバムでしたね。
ーーそれを踏まえて、2ndアルバムではどんな常闇トワを見せようと思ったのでしょうか? 方向性を見定めるのに悩まれたとのことですが。
常闇:前作からの約2年で世間の流行りもけっこう変わってきたと思うんですよ。具体的に言えば、TikTokやYouTube Shortsなどを通して、ダンスが映える曲が流行り始めた2年だと私は思っていて。さらに言えば、最近は「私、可愛いでしょ」みたいなことを歌うアイドル的な楽曲が流行っているイメージもありました。そこで私も、そういったイメージを持つポップな楽曲を歌えば世間的にはウケるのかもっていう思いは若干あったんですよ。
ーーなるほど。でも、そうはなっていませんよね。
常闇:はい。「私はなんで歌うことが好きになったのかな?」とか、「どんなサウンドの音楽好きなんだっけ?」とか、そういうことをあらためて振り返ったときに、「やっぱり私はロックが好きだな」と素直に思えたんです。なので、世間の流行りを気にすることと、自分がやりたい音楽をやることの間で気持ちが揺れ動きつつも、結果として自分の好きなものが詰まったアルバムになったと思いますね。