SHINee ONEW、“分かち合いながら”咲かせた幸福の花 癒しの歌声が響いた日本武道館公演を振り返る
癒しの歌声とは、まさにこの人の声。SHINeeのリーダー・ONEWの3年ぶりの日本武道館公演は、目も耳も心も幸せで満たされるライブだった。
今回の『2025 ONEW CONCERT [ONEW THE LIVE : PERCENT (%)]』は、7月に韓国でリリースしたフルアルバム『PERCENT』を携えた、ONEWにとって初のワールドツアーの日本公演。8月のソウル公演を皮切りに、香港、バンコクを経ての日本での公演となった。日本での単独公演は、2月に横浜アリーナで行われた『2025 ONEW CONCERT ONEW THE LIVE: CONNECTION』以来。日本武道館でのライブは、初日本ソロツアー『ONEW Japan 1st Concert Tour 2022 ~Life goes on~』以来、3年ぶりとなる。本稿では3日間の武道館公演最終日、10月5日公演の模様をレポートする。
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ロックからダンスチューン、バラード、R&Bまで圧巻のステージを披露
スクリーン越しにONEWのシルエットが浮かび上がると、ライブがスタート。LEDスクリーンが開くと、現れたのは9つの部屋に仕切られた大きな正方形のボックス。四隅にギター、キーボード、ドラム、ベースのバンドメンバーが配置され、ONEWはその中央の部屋に。目を閉じて、アンニュイな表情でスローなR&B曲をセクシーに歌ったかと思うと、スタンドからマイクを外し、リズムに乗って「No Parachute」でリフトでステージフロアに降りてダンサーと一緒に踊る。「Yeowoobi」で深い歌声で会場を包み込むと、大きな声で「いらっしゃいませ~!」と声をかけて日本語曲「夜明けの世界」で笑顔を見せた。
「皆さんこんばんは、ONEWでーす! ただいまー!」と元気に挨拶すると、会場から大きな「おかえりー!」の声。その声に「テンション高いですね、嬉しい!」と上機嫌。「自分の心をちゃんと説明したくて」と、MCはほぼ日本語で。
「『CONNECTION』ライブの時、『ONEW THE LIVE』でまたすぐに会いに来ますと約束しましたが、3年ぶりの武道館で約束を守ることができました。皆さんの元気な姿が嬉しい。それを見るのが、僕の幸せなんです。皆さんの笑顔がすごくキレイで、キュンとした(笑)。今回のサブタイトルは『PERCENT(%)』。皆さんと100%以上の感情を“分かち合いながら”、最後まで一緒に全力で楽しんでください」とファンに語り掛けたが、ここで使った「分かち合いながら」は、前日のライブ中に学んだ日本語だ。ONEWはジェスチャーで単語を覚えるようで、そのジェスチャーとともに新しい言葉をさっそく使ってみせた。
「Far Away」のロックから「Conversation」へテンポを上げてダンスチューンへ。「MAESTRO」ではマイクスタンドを高く掲げて、ファンの歌声を促した。
「Winner (Stripped Ver.)」では、9部屋のセットの中で、バンドマスターを務めるジャイロ(彼自身もシンガーソングライターで、ONEWとはバラエティの音楽番組で共演して以来、公演でのバンドマスターを担当)の奏でるアコースティックギターに合わせて、軽く甘い声で歌う。サビでのファンとの掛け合いも美しい。そこから満点の星空の映像の中、MISIAのカバー「Everything」を日本語で歌い、「Epilogue」へ。こういう美しいバラードの説得力は、ONEWならではだ。そして日本でリリースしたばかりのミニアルバム『SAKU』のリード曲「花のように」は、スマホでの撮影OKに。キュートで華やかなステージは、まさに花のようだ。
前述のようなバラードも秀逸だが、実はソウル、R&Bにも深い味わいを感じさせてくれるのがONEW。中盤には、これらを固めてきた。9マスの部屋のセンターにベッドが登場し、そこに腰掛けて歌う「Silky」のファルセットの美しさたるや、圧巻。「Sunshine」からはステージの中央に降りて、リズムに乗ってダンサーと緩く踊ると、「メリョク(beat drum)」でさらにテンポを上げ、会場とのコール&レスポンスで一体に。ラストにはテンションが高まり、開脚ポーズを決めようとしてちょっと失敗してしまうかわいらしさもファンにはたまらない。
歌い終わると「もう充電ない! 皆さんの反応すごかった⌒▽⌒」と満足気。「どの曲がよかったですか?」と客席とのやりとりを楽しみながらトークを始めると、日本の新作アルバムにも言及。「忙しい中で日本のミニアルバムを準備していたのですが、その辛さも皆さんの笑顔で吹き飛びました」と会場の反応に喜ぶと、「日本のアルバムの『KIMI=HANA』がすごく楽しいので、ワールドツアーのほかの国でもやっていい?」とお伺いを立てる。ファンから快いOKの反応を受け取ると、「日本の特別な曲だからダメと言われたらどうしようかと思った。優しい!」と笑顔に。そして「たくさんの方と一緒にライブができるのが本当に嬉しいし、皆さんとすべてを“分かち合いながら”(ライブを)するのが幸せ。それだけで十分です。今、幸せは1万%以上!」と心境を伝えた。
その「海外でもやりたい!」という日本の新曲「KIMI=HANA」からは、ダンス曲でラストスパートをかける。「Caffeine」のアドリブパートでは見事なハイトーンを聴かせると、韓国アルバムのタイトル曲「ANIMALS」はダンスでも魅せる。こういうところは、さすが、SHINeeのリーダーだ。