Number_i×アニメの相性のよさを考える ポップスからHIPHOPまで網羅する幅広さ、タイアップへの期待
これまでに、サントリー「ビアボール」での「No-Yes」、KOSE「雪肌精」での「iLY」「ロミジュリ」といった楽曲がCMソングに起用されてきたNumber_i。ここからは想像になるのだが、もしCM以外のコンテンツでタイアップするとしたら――。そんなことを考えた時に、アニメとのタッグが生まれたら面白いのではないだろうかと強く思うのだ。
グループが海外フェスへの出演をはじめとした世界を見据えた動きを見せながらも、あくまで“日本から世界へ”を掲げてきたこと。それがNumber_iとアニメの相性のよさの理由のひとつに思う。たとえば、昨年リリースされた楽曲「BON」。海外でも人気の高い“盆栽”から着想を得て制作された「BON」は、リリックやサウンドにも“日本らしさ”が表れており、MVにも日本のカルチャーが多数盛り込まれていた。アニメという点を踏まえれば、映像内で平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太を模した人形がそれぞれ空を飛ぶシーンに『ドラゴンボール』のオマージュと思われる場面が含まれていたことも印象深い。世界的に注目を集める日本のアニメと、日本のエンタメを大切にしているNumber_iは、どこか相性がいいように感じられるのだ。
また、彼らの楽曲の特徴として、耳を引くキャッチーさが挙げられるだろう。先月リリースされたばかりの2ndフルアルバム『No.Ⅱ』を含め、これまでに発表されたNumber_iの楽曲の大半は、メンバーとPecori、MONJOE、SHUNのクリエイターチームによって手掛けられてきた。特に「BON」「INZM」「GOD_i」といったリード曲を中心に、途中でのビートの変化や音数の多さ、複雑なフロウと、一聴した限りでは「どうなっているんだ?」と首をかしげてしまうような、難解な印象を受ける楽曲が多い。一方で、膨大な情報が詰まっているなかでも、頭に残るフレーズが必ず差し込まれているのだ。たとえば、「BON」なら楽曲タイトルを繰り返す〈花咲かせろ/BON〉、「INZM」なら「ズマズマ」というフレーズが話題になった〈INZM〉の箇所が思い浮かぶだろう。CMの場合もそうだが、ドラマやアニメの主題歌にしても楽曲を流すことのできる尺は限られる。斬新さと、クセになるフレーズをコンパクトに、そして的確に表現できる。だからNumber_iの楽曲は聴く人の心を掴むのだ。
もうひとつ、音楽番組出演時にもパフォーマンスされることの多いリード曲から、Number_iのイメージというと“HIPHOP”が一般的かもしれない。しかし、決してそれだけではないのも彼らの魅力である。1stシングル『GOAT』収録の「Is it me?」や、ミニアルバム『No.O -ring-』収録の「No-Yes」「i」のように、いわゆるポップス的な楽曲も存在する。テクニカルなラップを含む楽曲ならハードな作品と似合いそうだし、爽やかで軽快な楽曲なら青春モノの作品にも馴染むのでは、と想像してしまう。楽曲ごとに異なる表情を持つNumber_iだからこそ、さまざまなジャンルの作品と響き合うイメージも浮かんでくる。
いろいろと想像を巡らせたが、2枚目のアルバムもリリースされた今、作品とのタイアップによって彼らの楽曲がより広がっていくことを願いたい。Number_iとアニメとのタッグで面白い化学反応が起きる。いつかそんな未来が実現することに期待している。