乃木坂46は今、誰が“エース”なのか? 賀喜遥香、井上和、大越ひなの……『全ツ』を経て新しいフェーズへ
川﨑桜
今後エースとなり得るポテンシャルを秘めているのが、5期生の川﨑桜だろう。川﨑は、39thシングル表題曲「Same numbers」で初めてフロントを務め、前2列を担う福神メンバー常連のポジションを確立しつつある。雑誌表紙やCM出演も増え、グループの顔として広く知られるようになった。だが、彼女の真価は実績以上に、“等身大の奮闘”にあると筆者は思う。
今年の神宮公演で「裸足でSummer」でセンターに立った川﨑は、眩しい夏の光と溶け合うようなキュートなパフォーマンスを見せた。瑞々しさの中に垣間見える真剣な眼差し、そして間奏で届ける「メロメロにしちゃうぞ」という言葉と笑顔は、まさしくアイドルそのものだった。あの瞬間、彼女が自然と放つ“癒やし”だけでなく、“憧れの象徴”としての輝きも確かに観客に届いていたはずだ。『超・乃木坂スター誕生!』(日本テレビ系)で生まれたキャラクターの“さくラッキー”も、その天真爛漫さが話題を呼んだ。川﨑は癒やしのエースとして、乃木坂46の物語に欠かせない存在へと育っているはずだ。
大越ひなの
6期生の大越ひなのは、大きな実績こそまだないが、筆者は彼女の可能性に強い光を感じている。書道や和太鼓といった特技を持ち、お披露目イベント登場時から多面的な個性を示していた大越。ブログで悔しさを吐露(※1)しながらも前向きに努力を続ける姿勢には、未来を切り開く力強さがある。
初めて全国をまわった『真夏の全国ツアー2025』で、彼女は常に笑顔でステージに立ち続けた。特に6期生楽曲「なぜ僕たちは走るのか?」で見せたパフォーマンスは、初々しさと同時に真っ直ぐなエネルギーを感じさせ、各会場に新しい風を吹き込んだ。まだ未完成だからこそ、その成長過程に注目が集まる。原石にしかない輝きが確かにあり、いつ大きく花開くのか、その予感を抱かせる存在だ。現時点でエースと呼ぶのは早いかもしれない。しかし数年後、彼女の名前が乃木坂46を語る上で欠かせない存在になっているはず――。そう思わせるだけのポテンシャルを秘めている。
今の乃木坂46の“エース”は誰なのか。その問いに答えるのは容易ではない。メンバーそれぞれが自分の強みを発揮し、グループを多方向から支えている今、表現力で中心に立つ存在もいれば、外の活動を通じてグループの可能性を広げる存在もいる。飾らない佇まいで共感を呼ぶ姿や、未来を感じさせるフレッシュな姿もまた、エース像のひとつと言えるだろう。
神宮公演を経てグループは次のフェーズに入った。乃木坂46という大きな物語を形作る中でグループの顔とも言えるエースは誰になるのか。その答えは、これからの活動の中で、自然と私たちの前に浮かび上がってくるだろう。