KID PHENOMENON、7人で磨き上げた“カオス×J-POP”の表現 『音楽の日2025』ダンス企画で得た学び
LDH史上最大規模のオーディション『iCON Z ~Dreams For Children~』から誕生し、2023年8月にデビューした7人組ダンス&ボーカルグループ・KID PHENOMENON。彼らはデビュー以降、発売した全シングルがオリコンチャートでTOP5入りを果たし、2024年10月にリリースした4thシングル『Unstoppable』ではグループ史上最高の初週売上を記録するなど、毎年のように活躍の場を広げている。
そんな同グループが8月20日、5thシングル『Sparkle Summer』をリリースした。タイトル曲「Sparkle Summer」では、疾走感のある爽やかなサウンドで、夏ときらめく青春を表現。暑い夏に聴きたい、グループ初の季節ソングとなっている。
7人が5thシングルに込めた想いや意気込み、開催中の全国ツアー『KID PHENOMENON LIVE & FAN MEETING TOUR 2025 ~D7SCOVER~』の制作エピソードなど、グループの現在地と未来について、それぞれの言葉で語ってもらった。(市岡光子)
夏や青春のきらめきを描いた5thシングル『Sparkle Summer』
——5thシングル『Sparkle Summer』のコンセプトを教えてください。
遠藤翼空(以下、遠藤):今回のシングルは、青春や夏の一瞬のきらめきをコンセプトに、清涼感溢れる3曲を収録しています。
——今年1月にリリースした1stアルバム『PHENOMENON』を経て、今回のシングルで皆さんがどんなフェーズに入ったのか、実感を伺いたいです。
夫松健介(以下、夫松):アルバムを出すまでは、自分たちのキャラクターを模索していた気がします。去年10月にリリースした4thシングル『Unstoppable』でようやくKID PHENOMENONらしさを少し見つけられたのですが、そのオリジナリティを突き詰めていけたのが1stアルバムだったんです。そういうベースを経て今回のシングルをリリースしたので、僕らならではの“カオスさを含んだ表現”を磨きつつ、たくさんの方に聴いていただけるようなJ-POPテイストの作品に仕上がっています。シングルを出すごとに新たな一面をお届けしようとしているのはずっとブレない部分ですが、土台がしっかりとでき上がってきている中で新しい表現を模索できている感じがあります。
——シングルをリリースするにあたって、皆さんの中で掲げていた目標やチャレンジしたことはありますか?
佐藤峻乃介(以下、佐藤):今回の楽曲そのものが大きなチャレンジでした。僕らはこれまで季節ソングを出してこなかったんですけど、『Sparkle Summer』では初めて、夏をテーマに楽曲を作ったんです。6月22日からリリースイベント『Purple CirKID Vol.5』を開催していますが、今回は野外会場も多いので、夏っぽいシチュエーションと5枚目シングルの楽曲、僕らのパフォーマンスで、皆さんに素敵な夏の思い出を作ってもらえたら嬉しいです。とにかく夏を感じてもらえるようなシングルにできたら!
——1曲目に収録されている「Sparkle Summer」のMVで、特に注目してほしいポイントを教えてください。
岡尾琥珀(以下、岡尾):蒼真、あるんじゃない?
川口蒼真(以下、川口):どこですか?
岡尾:1サビとか。
夫松:メインだからね、1サビのところ。あの笑顔が一番いいと思う!
川口:じゃあちょっと……自分のことを話させてもらい大変申し訳ございません(笑)!「Sparkle Summer」のMVはストーリー性があって、見れば見るほどメンバー一人ひとりのおもしろい部分が見つかる、全体を通して見どころがたくさんある映像になっているんですけど、実は今回、僕が1サビのパフォーマンスでセンターを務めています。楽曲がすごく爽やかなので、センターで踊るにあたってどういう表情で、どんな風に踊ろうか、かなり考えて撮影に挑みました。今までのMVの中で一番爽やかな笑顔になっていると思います。
夫松:うん、キューティーだった(笑)。
岡尾:なんか弾けてたわ、「わぁー!」って(笑)。
川口:弾けている自分も含めて、どうやって楽曲の世界観を表現するのかを試行錯誤した結果があのMVです(笑)。
——レコーディングでは、どんなことを意識したのでしょう?
山本光汰(以下、山本):僕は楽曲の3つのサビすべてで、頭にある〈太陽が恋するほど熱い夏が〉という歌詞の部分を歌っているんですけど、やっぱり楽曲の一番の顔になる場所なので、ここに描かれている情景や伝えたい想いをしっかり想像しながら表現しました。3つとも歌詞は同じで、1サビと2サビは全く同じメロディ、最後の大サビではキーが上がって一気に感情的な雰囲気になります。それぞれで表現したいものが違うので、3回のサビで全部違うテイクを録っていて、歌い方も変えています。自分の想いや、楽曲を制作してくださった方の想いを表現できるように努力しました。
夫松:僕は普段、自分のキャラクター的に結構がなったり、ちょっとハードめな声でラップをすることが多いんですけど、「Sparkle Summer」ではボーカルの2人が本当に爽やかで、きらめいた感じの歌声で歌っているので、今回はいつもよりもトーンを明るめにしてラップをするように意識しました。2人が表現してくれた世界観をガシャンと壊さないように、スッと耳に入るような声でラップができたと思います。
遠藤翼空(以下、遠藤):歌詞から情景を具体的にイメージして歌うことですね。例えば、〈溶けかけたアイス片手〉という部分だったら、学校帰りに友達と寄り道をして、買って帰ったアイスが溶けている、みたいな。そういう景色を自分の中で想像することで、楽曲の説得力が増すというか、聴いている方にもイメージが湧きやすい表現になると実感したので、青春だったり、一瞬の楽しさ、儚さだったり、そういう楽曲のコンセプトをしっかり描けるように歌唱面で工夫しています。
——ダンスの見どころも伺いたいです。
鈴木瑠偉(以下、鈴木):エネルギッシュかつエモーショナルなダンスです。強かったり、内側に何かを秘めているような振付だったり、表現の仕方に緩急がすごくあります。振り付けはRHTokyo のAkoさんとASUPIさんに担当してもらいました。ダンスを考えることになったとき、僕たちの中でこのお二方に頼みたいという気持ちが最初からあって。僕らの意見も含めてスタッフさんと話し合った結果、お二人に依頼することが決まりました。AkoさんとASUPIさんのおかげもあって、僕たちが楽曲から得た印象がばっちり込められた、僕たちにすごく似合うような、青春感満載の素敵なパフォーマンスになっていると思います。
「Superkle Summer」が夏の思い出の一つになれば(夫松)
——カップリング曲の「Snakebite」と「Lemonade」についても、それぞれ特徴を教えてください。
岡尾:じゃあ、僕から「Snakebite」の説明していいですか? 「Snakebite」は〈右左 右左〉と印象的なフレーズが散りばめられていて、1回聴いたらもうすべて歌えるんじゃないかと思えるくらいキャッチーな楽曲です。しかも割とアップテンポで、振付自体もシンプルなので、僕らも「いろんな人に覚えてもらいやすい曲だね」と話していたんですけど、実は歌詞の内容にはしっかりと芯があって。いろんなソーシャルメディアがある中で、ちゃんと自分でいらないものをかき分けて、自分の信じた道を自信を持ってまっすぐ歩いて行こうと、前向きなメッセージを込めています。すごくキャッチーなんだけど、伝えたいことはしっかり伝えている、めちゃくちゃ強い曲です。
遠藤:「Lemonade」はタイトルの通り、爽やかで甘酸っぱい雰囲気のある楽曲です。恋愛の一瞬のきらめきのようなものを歌い上げています。誰かを思う気持ちを描いた歌詞は、今の自分たちだからこそ表現できるのかなと思っていますし、ロック調で気持ちを乗せやすいサウンドなので、自分たちもこの曲を通じて新たな挑戦ができたのかなと。KID PHENOMENONとしてこういう曲を歌って、心から納得できる表現ができたのはすごく嬉しいなと思いました。
——4thシングルでグループ史上最高の売上を達成しているからこそ、今回のシングルにかける想いも強くなるのではないかと思います。意気込みはいかがですか?
夫松:KID PHENOMENONの楽曲は尖ったものになりがちなんですけど、今回のシングルはどんな方でも聴いていただけるような曲になっているので、自分たちのことを知らない方にも気軽に聴いていただきたいです。他のメンバーも言っていたんですけど、やっぱりこの楽曲と共に夏の思い出を作ってほしいですね。シーズナルソングってやっぱり、「あの時に聴いたな」って思い出と一緒に何年も残るじゃないですか。それがきっかけでリバイバルしたりもしますし、長く愛されるシングルになったらいいなと思います。ファンの皆さんにはこの楽曲と共に素敵な思い出を作っていただいて、「Superkle Summer」自体が思い出の1つのような形で残っていけば嬉しいです。そして、この楽曲をきっかけに、KID PHENOMENONをたくさんの方に知っていただけたら。今回のシングルもいろいろな方に届けたいなと思っています。