THE YELLOW MONKEY『Sparkleの惑星X -ネ申-』ライブレポート:変わらぬ美学と変わることへの挑戦――最大級の愛のツアー

 今年6月13日に、THE YELLOW MONKEYの10枚目のアルバム『Sparkle X』を携えての全国ツアー『THE YELLOW MONKEY TOUR 2024/25 ~Sparkleの惑星X~』のファイナル公演がKアリーナ横浜にて行われた。その公演中、吉井和哉(Vo/Gt)が「まだツアー終わりたくないから! さらに追加してもいいですか!」と発していた。「思わずそう言ってしまうくらい充実したツアーだったんだなあ……」とその時は思っていたのだが、なんとその後『THE YELLOW MONKEY TOUR 2024/25 Sparkleの惑星X -ネ申-』として、大阪、福岡、愛知、千葉での4カ所でのセルフアンコールツアーの開催が決定した。実行力がすごい。

 筆者にとっては、先述したKアリーナ公演が人生最初のTHE YELLOW MONKEYワンマン公演を観る機会であり、その時に感じた衝撃や感動はそれはもうとてつもなく大きいものだった。2度目となる千葉・LaLa arena TOKYO-BAY公演は、その初回とはまた違う感動があった。

 開演予定時間になると、どこからともなく期待感に満ちた拍手が会場内に鳴り渡る(途中で注意事項のアナウンスが挟まるのだが、その時にはピタッと鳴り止んだのが素晴らしかった)。そして、ステージを隠していた薄い白幕にメンバーのシルエットが浮かぶと、まさに爆発と表すしかない高揚と歓声が沸き起こり、幕が落ちるとともに「マリーにくちづけ」でライブがスタート。2曲目には早々に新曲「CAT CITY」が披露され、会場全体を射すレーザーも高揚の助力となっていた。

 そして何より、サビでのオーディエンスの完璧な振り付けにまた驚いた。前回も強く感じたけれど、THE YELLOW MONKEYのライブは、オーディエンスとの一体感が別格だ。そのことは、今回のセルフアンコールツアーについて「メンバーのわがままによって追加されたこのおかわり公演、そろそろお腹がいっぱいになってまいりました」「腹八分目がいかに大切かがよくわかってきました。しかし、俺はもっとほしい。やったらやったぶんだけ腹が減る。今夜こそ最後、ひとつになりたいです!」と話したのちに吉井が言った、「最高の夜にしてください!」というひとことからも伝わってくる。今日が最高の夜になるかどうかは、ここにいる一人ひとりの意思と気持ちにかかっている――ファンと結ばれたそんな強靭な信頼が垣間見えたひとことだったし、その信用を受け取り、全身全霊で曲やパフォーマンスを楽しむオーディエンスの頼もしさは絶大だろうなと思った。

吉井和哉(Vo/Gt)

 「Sweet & Sweet」や「FINE FINE FINE」といったロックンロールチューンでは、菊地英二(Dr/以下、ANNIE)の力強いドラムに廣瀬洋一(Ba/以下、HEESEY)の極太なベースが絡み合い、菊地英昭(Gt/以下、EMMA)のギターが鮮烈に唸る。真紅のシャツに身を包んだ吉井とHEESEYとEMMAがセンターで横並びしてプレイする場面もあり、魅せ方がとにかく上手く、一挙手一投足に目が離せない求心力がある。どの場面を切り取っても、平均年齢が60歳近いとはまるで思えないパワフルなエネルギーを発していて、とにかく眩しく、艶やかで美しい。

菊地英昭(Gt)

 そんな彼らの妖艶な部分を曲として感じたのは、このあとに続いた、(吉井曰く)“エロい人”ことEMMAが作曲した「イエ・イエ・コスメティック・ラヴ」や「嘆くなり我が夜のFantasy」、「RED LIGHT」だった。センセーショナルな言葉を用い、淫靡で妖艶な世界観を構築した楽曲たち。特に「RED LIGHT」では、曲の世界観を最大限表現するための強靭でありつつもシンプルなサウンドと吉井の危うさを孕んだ歌唱に、会場の空気や匂いさえも変わった気がした。ステージ前方にあるスクリーンにもざらりとした質感の赤いエフェクトがかかり、ここまで開放的な盛り上がりを見せていたオーディエンスもグッと聴き入っていた。

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