Uruが描き出す、決して特別ではない普遍的なメッセージ 「Never ends」と「手紙」を歌う現在地を語る

 Uruが、両A面シングル『Never ends / 手紙』をリリースした。CDとしては1年半ぶりのリリースとなる今作には、現在放送中のドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)の主題歌「Never ends」と、現在公開中の映画『雪風 YUKIKAZE』の主題歌「手紙」のほか、Mrs. GREEN APPLE「青と夏」のカバー、計3曲が収録されている。

 リアルサウンドでは、シングルを発売したUruにインタビュー。今年の上半期を振り返りながら、「Never ends」と「手紙」について、アーティストとしての創作の根源とも言えるインプットについて、そして今後について、話を聞いた。(編集部)

「Never ends」で大事にしたメッセージ――「決して特別ではない普遍的なもの」

――「春 ~Destiny~」、「フィラメント」と話題曲のリリースが続いています。まずは今年前半の活動を振り返って、どんな印象がありますか?

Uru:去年からずっと制作に精を出しているのですが、今年に入ってから土のなかでコツコツと制作してきた楽曲たちをようやくみなさんの手元に少しずつ届けられているなという実感があります。制作作業というのは一種の孤独でもあるのですが、それが誰かの元に届いた時に、ようやく形になるような感覚をあらためて感じながら過ごしていました。

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【Official】Uru 「フィラメント」 映画『おいしくて泣くとき』主題歌

――「Never ends」は、ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』の主題歌。どんな曲想のもとで制作された楽曲なのでしょうか?

Uru:ドラマ制作サイドの皆さんからいただいたリクエストや脚本を熟読させていただいた時の胸の痛みとか、どうにもならないやるせなさとかジレンマのようなものをヒントに書かせていただきました。主人公のふたりは、性格も行動も正反対のように思えるのですが、根っこの心情はきっと繋がっていて、だから互いによい距離感の関係になれているのかなと思った時に、その共通項はなんだろうというところを探しながら書いていきました。

――歌詞に登場する〈僕〉と〈君〉はドラマの主人公ふたりを想起させると同時に、友人や恋人をはじめとする“大切な人との関係”にもつながっていると思います。歌詞を書くうえで意識したことは何かありますか?

Uru:〈僕〉にとって〈君〉が原動力になっているところですかね。このドラマの登場人物たちには、すべて今その仕事に就いている理由というか背景があって、それらは自分にとってとても大切な誰かの存在であるということが、脚本を読み進めるにあたって痛いくらいに伝わってきました。想いだけではなく後悔とか、この先の不安だとか、私たちの日常のなかでも重ねることのできる、決して特別ではない普遍的なものを、聴いてくださった方にも共感してもらえたらいいなと思いながら、歌詞に落とし込んだつもりです。

――“君”に語り掛けるように始まり、壮大なスケールへとつながっていくボーカルが素晴らしいです。歌う際にイメージしていたことを教えてもらえますか?

Uru:いつも何かの作品の楽曲を歌わせていただく時は、頭のなかにそのストーリーを浮かばせながら歌うのですが、今回もすべての登場人物たちの存在を思いながら歌いました。サビに入るととても広い空間に解き放たれたような音が広がっていくのですが、それに合わせてボーカルも伸び良く広がっていけるように……というのはありますね。サビは、納得のいくまでに重ねたテイクの数がすごいです(笑)。

【Official】Uru 「Never ends」 TBS系金曜ドラマ「DOPE 麻薬取締部特捜課」主題歌

――ピアノ、ストリングスを中心としたアレンジにおいて、こだわったところは?

Uru:アレンジをしたくださったトオミ(ヨウ)さんに一任しているのですが、歌詞が明朗活発な歌詞ではなく重みのある少し憂いや後悔も含ませた歌詞になっているので、ピアノや弦もあまり軽くならないように重みと泣きのある音を、というのはスタッフさんも含め一緒に相談させてもらいました。

――ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』は、麻薬捜査官たちのを主人公にしたストーリーです。Uruさんがこの作品から受け取ったことは何だったのでしょう?

Uru:自分に特殊能力があることで受けてきた差別だとか、普通だったら経験しなくていいことを経験してきたこと、という自分の背景があるなかで、さらに家族についてもいろいろなことがあって。とても傷ついてきた主人公たちだと思うのですが、報いの有無などは関係なく、ただただ大切なものを必死で守ろうとする姿に人の愛情とか性みたいなものを感じましたし、人ってやっぱり人によって生かされているところはあるよなと、ちょっと的外れではありますがそんなことも考えたりしました。あと、美談でまとめられないような悲しいことも起きてしまうという現実の厳しさというのも、痛いくらい感じました。

――「Never Ends」には、どんな役割を果たしてほしいですか?

Uru:主人公の心の内を代弁するように誰かに伝えてくれたらいいなと思います。あとは、緊迫するシーンが続く回では、観てくださっている方の肩の力を抜いて、登場人物たちに想いを馳せる瞬間になるような曲になったら嬉しいなと思います。

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