インディーズでの活動を経て2022年に満を持してメジャーデビュー。2024年にZeppツアー『MARCH with ROGUES to BUDOKAN』、47都道府県ツアー『ASP complementation plan B』を経て、その後メジャー1stアルバムにしてグループのスタイルを一気に拡張させた野心作『Terminal disease of ASP』を世に送り出すと、同年10月には日本武道館でのワンマンライブ『We are in BUDOKAN “The floor is all ours!!”』を開催――この3年間、まさに怒涛の勢いで疾走してきたWACK所属の8人組グループ・ASP。そのアグレッシヴで大胆不敵、そして泥臭い軌跡は、群雄割拠のアイドルシーンにおいてオリジナルで強烈な光を放っている。

　そのASPが、2025年8月20日にニューシングル『BA-BY』をリリースした。5月に配信された「Get New ミライ」と8月13日に先行配信された表題曲「BA-BY」をカップリングし、初回限定盤にはWACKのイギリス公演『WACK in the U.K.』出演時のライブ映像などを収めたBlu-rayが付属する本作は、ASPにとってはアルバム以来およそ10カ月ぶりのCD作品。今年5月にイコ・ムゲンノカナタが加入してからは初めてのリリースとなる。収録されたどちらの楽曲も、ASPらしい個性を爆発させながらアルバムで手にしたスタイルをさらに鮮やかに乗りこなす、グループとしての進化をはっきりと見せつけるものとなっている。

　表題曲「BA-BY」は、鳴り響いた瞬間に魂が揺さぶられるようなヘヴィなギターリフから幕を開けるストロングスタイルのミクスチャーチューン。作詞はODD Foot WorksのPecori、作曲はDJであり兼プロデューサーのYohji IgarashとPecoriが手掛けている。PecoriとIgarashiのコンビと言えば、グループのメジャーデビュー曲となった「Hyper Cracker」を皮切りに、「Heaven's Seven」やアルバム収録の「Tokyo Sky Blues」など数々の楽曲を手掛けてきた、メジャーデビュー以降のASPの音楽的な立役者だが、この「BA-BY」でもその縦横無尽なクリエティビティが炸裂している。

　ずしりと響く低音でボディをぶん殴りつつ、切れ味鋭いギターとサビで一気にキャッチーにぶっ飛ぶメロディで顔面を往復ビンタするような――つまりリスナーに一切気を抜かせない、ASPならではの“ポップソング”となっているのだ。激しいシャウトからラップ、そしてキュートなサビまで、メンバーの声色や歌い回しの機微を的確に捉えながらそれを上回る新境地を引き出していくあたり、これまでの提供楽曲での経験値がこの曲に確実にフィードバックされていることがわかる。

　そういう意味では、Pecoriの書いた歌詞もとてもいい。〈BA-BYみたいに呑気／BA-BYみたいにカワイイ／誰も気づいてない／超BA-BYみたいに狂気〉という冒頭の4行だけで「ASPとは何か」を言い当ててしまうキレキレぶりもさることながら、華麗なフロウを駆使しながらサビに突入した途端〈あたりまえだけど／僕らは死なない／絡まったこのメロディ／一緒に踊ってくれんのかな〉と切実な内面を露わにするような二面性をもった歌詞の内容が、過激で攻撃的な見え方の裏で地道かつハードな活動を通して培ってきた彼女たちの本質を物語るようだ。そういうタイプの曲ではないのに、聴いているととてもエモーショナルな気持ちになる。

　Pecoriはこの曲に寄せて「可愛らしい見た目とは裏腹、ナメて近づいたらぶっ○しちゃうゾ？♡みたいグレムリン的な要素あるな、と思って作りました。」（※1）とコメントしているが、その裏腹さがまさにASPのひとつの魅力であり、曲の構成も含め、そこをずばっと射抜くこの「BA-BY」は、文字通りASPの新たな名刺のような曲である。先日公開されたMVも、シリアスからコミカルまでメンバーのさまざまな側面を見せるものになっているのでぜひチェックしてほしい。

「Get New ミライ」に込められたAge Factoryの思い、ASPの楽曲に宿る情熱

　エモーショナル、という点ではカップリングの「Get New ミライ」も負けていない。ステップを上がっていくようにどんどん上昇していくメロディと、足音のように続いていくビート。メンバーそれぞれの声の表情がはっきりと聴こえてくる歌割やディレクションも含めて、より剥き出しのASPが感じられる楽曲である。

　この「Get New ミライ」を提供したのは3人組ロックバンド・Age Factory。彼らの音楽を聴いたことのある人なら、この曲を聴いて「なるほど！」と納得するはずだ。それぐらい、Age Factoryとしての“直球”を投げ込んでいる。バンドのフロントパーソンでありソングライターである清水英介は昨年、ラッパー・JUBEEとのユニット・AFJBとしてASPの楽曲「Black Nails」を手掛けており、そちらも最高だったのだが、それとはまた違った詩情のようなものを強く感じさせる「Get New ミライ」には一層の彼らしさを感じる。

　この曲で清水がフォーカスするのもまた、時に苦しんだり悩んだりしながら突き進むことを選び、今も日々戦い続けているASPの姿だ。〈たまにびびったら／びびったままでいいじゃん／また負けてリベンジ勝てるまで〉というラインには、明らかにソングライターからそれを歌うメンバーたちへのメッセージが込められている。Pecori同様に清水もコメントを寄せているのだが、そこには「誰も知らない未来は自分達の中にしかなくてASPのメンバー全員が1つの生命体として新しいステージへ繋げていくエネルギーになって欲しいと思って作りました。」（※1）とある。もしかしたら彼はASPの歩みに、バンドマンとしての自身を重ねたのかもしれない。

　そうなのだ。これは今回のシングルの2曲に限らず、アルバムを聴いていても感じたことなのだが、ASPの楽曲はどれを聴いてもそれを手掛けたソングライターやクリエイターたちの強い思いが宿っているように感じるのである。「曲を作る以上当たり前だ」と思うかもしれないが、そういうレベルではないところで、このグループには同じ音楽という武器で闘うものとして感情移入させてしまう何かがあるのかもしれない。アルバムには今回のシングルに参加した面々に加えて、友成空やSATOH、鋭児といった、あまり楽曲提供のイメージがないアーティストやバンド、さらにはイギリスのレジェンド、ザ・プロディジーのマキシムまでもが参加している。彼らを呼び寄せたのも、まるでロックバンドのように地べたを這いずり回って汗をかきながらここまで来た彼女たちの物語なのかもしれない。

　このシングルのリリース直前となる8月15日には、全国ツアー『Acid Suspicious Parental Tour』のファイナル公演が東京・LINE CUBE SHIBUYAで行われ、そこで3月から体調不良で活動を休止していたメンバー、ナ前ナ以も復活。彼女が休むのと入れ替わるようにしてイコが加入したため、8人の“完全体”でのパフォーマンスがようやく実現した。当然グループはここからさらに加速していくだろうし、このシングルはその号砲となるはず。止まることなく進み続けるASPのこれからに期待したい。

※1：https://avexnet.jp/news/1025591

■リリース情報
ASP 5th シングル
『BA-BY』
2025年8月20日（水）リリース
購入リンク：https://avex.lnk.to/asp0820pkg

【初回生産限定盤】SG＋Blu-ray（スマプラ対応）＋PHOTOBOOK
・BOX仕様
・52P豪華写真集付属
品番：AVCD-61540X
価格：￥11,550（税込）

［CD収録内容］
1.BA-BY
2.Get New ミライ

［Blu-ray収録内容］
・2024.08.28 WACK in the U.K. Vol.3 - Live Video
01. 拝啓 ロックスター様
02. the MAN CALLiNG
03. TOXiC iNVASiON
04. Black Nails
05. NO REASON
06. Blueberry Gum
07. SAKEBE
08. MAKE A MOVE
09. Hyper Cracker
10. M

・2024.11.27 WACK in the U.K. Vol.4 - Live Video
01. TOXiC iNVASiON
02. Black Nails
03. the MAN CALLiNG
04. ジャ・パ・ニーズガール
05. Tokyo Sky Blues
06. Anyway
07. Hyper Cracker
08. darma
09. TOTSUGEKI!!!!!
10. MAKE A MOVE
11. 拝啓 ロックスター様

・2025.03.26 WACK in the U.K. Vol.5 - Live Video
01. Black Nails
02. MAKE A MOVE
03. BOLLOCKS
04. レリゴ
05. NO COLOR S
06. NO REASON
07. Tokyo Sky Blues
08. PLEASE!!!
09. Too young to get it, too fast to live.
10. TOXiC iNVASiON
11. 拝啓 ロックスター様

・"TOTSUGEKI!!!!!" Music Video
・Behind the Scenes of "TOTSUGEKI!!!!!" Music Video

［PHOTOBOOK］
WACK in the U.K. vol.1-5

【通常盤】SG（スマプラ対応）
品番：AVCD-61541X
価格：￥1,155（税込）

【全国CDショップ特典】
CDショップ先行特典：告知ポスター（B2）
mu-mo shopオリジナル特典：プリントチェキ（全10種）

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