『THE LAST PIECE』5次審査は脱落者ゼロ “育成プログラム”としてのあり方――SKY-HIが候補生に注ぐ誠実な眼差し

 BMSGの新たなボーイズグループ結成へ向けたオーディション『THE LAST PIECE』Ep.08が、8月15日に公開された。

 現在14名に絞られた参加者たちは、7名×2グループに分かれての5次審査「疑似プロ審査」に挑戦中。前回のエピソードで密着したteam Aに続いて、今回はTAICHI、GOICHI、KEI、TAIKI、KANTA、YUTA、ADAMからなるteam Bの様子に密着する。

 team Bの課題曲は、エッジの効いたHIPHOPナンバー「Blast Off」。コレオグラファーはBE:FIRSTやHANAの振り付けも手掛けたダンサーのReiNaが担当したこともあり、振り付けはかなり高難易度かつハードだ。さらに、7人という大人数でのフォーメーションの構成も複雑で、TAIKIやYUTAなど経験豊富なメンバーも困惑。早くもプロの厳しさを目の当たりにしたteam Bだが、そんななかでもGOICHIは「置いていかれたら、つまりそういうこと」「必死に食らいついていきたい」とハングリー精神を見せた。

 チーム内で最も厳しい状況に立たされていたのは、ダンス歴わずか1年のADAM。team Bはダンス歴10年以上のメンバーも多いため、彼らと比較するとかなり厳しい状況だろう。ハードな練習が終わったのち、すでに疲労困憊のはずだが、ADAMは教室に残り、自主練習に励む。SKY-HIから4次審査での講評でダンスが課題だと指摘を受けていたこともあり、ここでなんとかほかのメンバーに追いつきたいと強く感じているようだ。

 翌日の歌唱レッスンでは、前日に覚えた振り付けをなんとか踊りながら歌うも、ADAM、そしてTAICHIはかなり苦戦している模様。その様子を見たりょんりょん先生は、ふたりに個別指導を行うことに。ADAMは「歌が一本調子になっている」という指摘を受け、柔らかさだけではなく、圧の強い歌い方なども織り交ぜながら豊かな表現を追求。様子を見にきたSKY-HIも、ADAMの成長をしっかりウォッチしている。一方TAICHIは、堂々としていない表情に関して指摘される。TAICHIは、このオーディションを通して抱いている“自信のなさ”という課題を克服できるかどうかが、運命の分かれ道になりそうだ。

 仮レコーディングでSKY-HIのディレクションが求めるレベルがかなり上がっていたが、GOICHIは的確に応えて、すぐに新しい歌い方を習得。「見せ場が少ないなかでも、自分をどう魅せるかが課題。自分自身のことをたくさん考える時間が必要」と、すでに芽生え始めているプロ意識をカメラの前で語る場面も。KANTAもフレーズの語尾の切り方のバリエーションを増やすといった、かなり細かいニュアンスの指導を受け、なんとかモノにしようと食らいつく。ノートにびっしりとメモを書きながら、深夜までひたすら自分の歌と向き合っていた。KANTAは現在高校2年生ということもあり、この『THE LAST PIECE』を自分にとって“最後”のオーディションにしようと考えているようだ。人生を懸けて挑むラストチャンス。その覚悟が彼を突き動かす。

 4次審査でMVPを獲得したTAIKIは、リズムの取り方が複雑な最難関のラップフロウにチャレンジ。SKY-HIの無茶とも取れるオーダーにも、果敢に挑んでいく。彼の意識もまたオーディションという域を超えており、“世界にも通用するパフォーマンス”を現時点から貪欲に追及。20回ものテイクを重ね、納得いく表現をつかみ取ったTAIKIの顔は、実に清々しいものだった。

 各々が着実に成長を遂げているものの、本番が近づくにつれて、疲労と焦りでチーム内は重たい雰囲気。そんな時、突如ADAMが空気を変えようとアクションを起こす。すると追い詰められていたメンバーの表情が一気に和み、爆笑の渦が巻き起こるまでに。それをきっかけに、KEIが変顔をしたり、YUTAがツッコミを入れたりと、チームは明るい雰囲気を取り戻す。チームのバイブスも揃っていき、パフォーマンスにもいい影響が広がっていく。最も苦戦していたはずなのに、チームの雰囲気作りに一役買ったADAM。チームメイトも「いてくれてよかった」「すごく大きい存在」とカメラの前で彼の稀有な存在感を褒め称える。

 そのあとも、プロのアーティストに必要なレッスンとして、フィジカルトレーニングやコンプライアンス研修などを展開。一歩一歩、着実に“プロ”への道を歩み始めていく。仮レコーディングの様子を見学しにきたMAZZELのKAIRYUとRANも、「いい意味でオーディション感がない」「想定してたより遥かにうまい」と、その完成度の高さに驚愕。審査前日のレッスンでは、居残り練習をしていたADAMとTAICHIも飛躍的に成長した姿を見せ、ボイストレーナーのなつき先生を驚かせていた。

 前日のチーム合同練習ではSKY-HIが進捗チェックを行う――はずだったのだが、ここでMAZZELのRYUKIとTAKUTOがサプライズ登場。驚きと興奮で一気に沸く参加者たち。なかでも、MAZZELの大ファンのHALは嬉しさのあまり挙動不審に。その様子を見て、RYUKIが「絶対俺推しだわ」と満足気に言うも、どのメンバーが特に好きなのかを問われたHALは、「TAKUTOさんです!」と即答。レッスン場には笑い声が響きわたり、本番前日とは思えない和やかなムードになっていく。

 そして、現段階でのteam Bのパフォーマンスを見ると、RYUKIとTAKUTOはその完成度の高さに驚き、「刺激もらいました」「自分に自信ある人がいっぱいいるのが伝わってきた。もっといい環境でのステージを見てみたい」とコメント。また、SKY-HIからは「チームワークが高くてかっこいい。なんかした?」と聞かれると、YUTAが「めちゃくちゃ笑ってチームの仲を上げました」とニヤリ。そのキーパーソンとして名前が挙がったADAMは、SKY-HI、RYUKI、TAKUTOの前でも、オリジナルのコントを披露し、笑いを取る。この胆力もまた、彼の大きな武器のひとつなのだろう。

 最後に、SKY-HIが参加者たちに向き合い、熱い思いを伝える。「ほかの人の夢が育つと自分の夢が加速することはあっても、他の人がうまくいったら自分が上手くいかなくなることはない。人生は本当にいろいろあるけど、自分の夢だけは絶対毀損されないから。明日(5次審査)は、今の段階で持ってるいちばんかっこいい自分をぶつけてください」。プロのアーティストとして、そして人生の先輩でもあるSKY-HIからのメッセージを受け取った参加者たちは、「はい!」と力強く頷く。5次審査まで上り詰めた14人のアーティスト。彼らの“プロとしての力“は、どこまで磨き上げられたのだろうか。

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