大森靖子、“野良”として立った12年ぶりの渋谷QUATTROワンマン ギター1本で見せた圧倒的な才能
圧巻だったのは「①④才」以降の流れだ。語りを混ぜつつ、「呪いは水色」へと続き、そこに「①④才」「春の公園（調布にて）」「5000年後」を混ぜ、「呪いは水色」に戻るという離れ業を聴かせた。そう、かつてよく見た大森の弾き語りでは、人力マッシュアップのように楽曲がミックスされていたことを思いだしたのだ。そして、「流星ヘブン」は「新宿」へと続いた。
大森は「マジックミラー」でギターだけダイブさせたいと言い出し、ギターをフロアのファンに託した。本人も言っていたが、強い信頼がないとできない行動だ。かくして大森がアカペラで「マジックミラー」を歌うなか、ギターは御神体のようにファンの手でフロアを一周して、再びステージへと戻された。本編の最後を飾った「さようなら」もアカペラで歌われた。その歌詞の最後のフレーズは〈わたしはまだ歩ける〉である。
本編のMCで大森は1時間半やると言っていたが、時計を見ると開演から91分が経過していた。正確すぎる。「靖子が絶対かわいいよー！」というファンのアンコールを受けて、大森はステージに再登場した。
「絶対彼女」では、大森がファンの属性を指定すると、当該のファンが歌うというパートが定番化している。この日のトピックは、「風呂キャン」と言ったものの、歌うファンがほぼいなかったことだろう。
「これからも変わらず、みんなの心の一番大事なところを歌っていきたいと思います」と大森が語ると、「オリオン座」へ。大森のギターの伴奏で、ファンが大合唱をした。「VOID」に続いて、最後に歌われたのは、この日二度目の「ミッドナイト清純異性交遊」。この楽曲を、大森のギターの伴奏で、まずファンに歌わせるというのは、見たことのない光景だった。
こうして、インディーズに戻った大森のワンマンライブを、12年前と同じ渋谷CLUB QUATTROで見たわけだが、野良と自称していても、大森が歌でどれだけの人を救ってきたかを証明するかのようなライブだった。「エンドレスダンス」と「あまい」の間で、君を救いたいとか言うのは嫌い……というようなことを大森は言っていたが。メサイアコンプレックスのように、上から人を救おうとするのは、たしかにただの傲慢だ。他者の心につけ込むことと大差がない。ただ、大森の場合は、あらゆる人を描こうとしてきて、あくまでその結果として、人を救ってしまったというだけだ。それをギター1本でも平然と成し遂げてしまう。大森の音楽家としての類まれなる才能を改めて痛感させるライブだったし、だからこそ現場に来なければ意味がないのだと私は言い続けたい。大森の音楽の前では、インターネットに意味はないのだ。
※1 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/a1230bbae950b9a3759b391f888a47d5d6f34926
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大森靖子が12月14日開催した『THIS IS JAPANESE GIRL TOUR 2024』豊洲PIT公演レポート。
■ライブ情報
大森靖子 × sugarbeans × 千ヶ崎学『自由字架 2025』
【ビルボードライブ東京】（1日2回公演）
2025年5月9日（金）
1stステージ 開場16:30 開演17:30 / 2ndステージ 開場19:.30 開演20:30
【ビルボードライブ大阪】（1日2回公演）
2025年5月14日（水）
1stステージ 開場16:30 開演17:30 / 2ndステージ 開場19:30 開演20:30
＜チケット＞
東京
https://www.billboard-live.com/tokyo/show?event_id=ev-20548
大阪
https://www.billboard-live.com/osaka/show?event_id=ev-20550
