2025.04.28 12:00

S.A.R. メジャー1st EP『202』を経て見据えるビジョン　santaとEnoが語る、音楽家としての野心

文・取材＝渡辺志保、写真＝加古伸弥

Shing02とのコラボ秘話も　S.A.R.がメジャーで音楽を発信していく意義

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ーー「New Wheels (feat. Shing02)」には、今作唯一のゲストであるShing02さんが参加しています。いうまでもなく、ベテランのMCでありミュージシャンですよね。

Eno：コラボしてくれることが決まって、3日後くらいに「もう録っちゃおう」という流れで。これは自分のエモめの話なんですけど、僕は中学2年生ぐらいから、パソコンで音楽を作り始めたんです。それで、最初に作った曲が、当時、Shing02さんがやっていたリミックスコンテストの音源なんですよ。彼がアカペラを配っていて、そこで初めてトラックを作って送ったんです。そうしたら本人からリアクションをいただいたということがあった。今回、EPを作っていく中で「誰かとコラボしよう」という流れになって「もしかしたら可能性があるのか？」と思ってShing02さんにDMを送って打診してみたんです。そうしたら打ち合わせをすることになり、すぐにレコーディングすることになり……。

santa：スタジオで一緒にレコーディングしたんですけど、マジでカッコよかったですね。どうやってレコーディングするか、という姿もちょっと垣間見ることができて、すごく勉強になりました。感謝しかないですね。

ーーこの後は、2ndアルバムの制作に向かっていくという感じですか？

Eno：はい。もう見えてます。ヤバい、最高なものになると思います。今回は実験で、いろんな手段を試すことができたんです。そのおかげで、いろんなことが分かったし、自分にとっていい糧にもなった。気合いも入ってるし、よりイケるっていう確信があります。

ーー今回はポニーキャニオン内に設立されたIRORI Recordsからのリリースですが、メジャー的なことを求められたり、それに対して葛藤が芽生えたり、というようなことはありましたか？　自分たちのユニークさをどのようにパッケージにしていくか、というか。

santa：逆に、音楽活動を続けていくうちに「社会に貢献したいな」という思いが芽生えてきたんです。これは大衆に媚びるとか、そういう意味ではなくて。単に売れるとかじゃなくて、自分の言葉で誰かの心を動かせたら嬉しいんですよね。

Eno：僕は、破壊していきたいんですよ。ただ荒らしたいっていう意味ではなくて、自分の枠を広げるというか、世界を広げたい。そこで「自分たちが本当にやりたいこと」を打ち出したいんです。僕は本当にアゲインストしたいことがあって、それをやるには、メジャーの力も借りつつ。この道を通ることは、本当にいいことだと思っています。ちょっとでも、大きな構造の向きを変えることができたらなと思うんです。僕たちがアルバムをひとつ出したくらいで大きく変わるわけではないんと思うんですけど、“音楽には社会の向きを変えられる力がある”ということを信じたい。

ーーこの後には、大阪と東京でのツアーも控えています。

Eno：ステージに立つと、自分たちがやってる音楽がどう響いてるか、すごく実感できるんですよね。ライブでは、その時の自分たちが一番かっこいいと思うことをやっているんです。ちょっとでも僕たちの音楽に興味がある人は、一度ライブに来て、観てみてほしいです。