2024.12.13 19:00

Mega Shinnosukeとは何者？　『FNS歌謡祭』でTV初披露「愛とU」に反響、“共感”を生むポップスターの歩み

文＝小川智宏

　「愛とU」も収録されているアルバム『君にモテたいっ!!』は恋愛をテーマにしているが、そこに歌われている恋愛模様や感情もまた、巷に溢れる恋愛ソングとは一線を画すものだ。恋心に振り回され右往左往する人間模様を、このアルバムはユニークな視点で切り取り描き出す。すでに世の中にある“恋愛ソング”に対する明快なアンチテーゼが、ここには色濃く滲んでいるように思える。「愛とU」は洒落たムードを醸し出すコード進行（いわゆる「丸の内サディスティック進行」）とローファイなインディロックのサウンドを組み合わせて他にないキャッチーさを生み出し、その親しみやすさで一気にバズを巻き起こした。そこで歌われる〈欲望まみれの世界に／君と生きていくのはうんざりさ／なんだか今夜は恋しいけど／アイツらみたいになれない〉というフレーズには、その親しみやすさとは裏腹の、ゲームのように恋愛に勤しむ人々へのアンチテーゼが潜んでいるように思える。

Mega Shinnosuke - 愛とU(Official Music Video)

　そのメッセージもまた、多くの人を巻き込むひとつの要因だったのかもしれない。「やりたいことをやる、やりたくないことはやらない」ーーある意味シンプルで、だからこそなかなか難しいスタンスがSNSを通じて伝わった時、そこに大きな共感の波が起きたのは、多くの人が潜在的に抱いている思いや感覚にフィットするものがあったからだろう。これまでの彼の歩みを振り返れば、「愛とU」がヒットしたからといって今後彼が同じような楽曲を作り続けていくことはありえない。次もきっとあっと驚くような音楽を彼は届けてくれるはずだ。だが、楽曲のスタイルが変わっていったとしてもその根底にある精神性は揺るがない。今回起きた共鳴は、きっとこれからも広がり続けていくに違いない。

『Mega Shinnosuke ONEMAN TOUR 「君にモテたいっ!!」』Zepp Shinjuku 公演

　12月8日のツアーファイナルで、Mega Shinnosukeは1500人のオーディエンスを前に熱量に溢れたパフォーマンスを披露した。「東京キライ☆」や「明日もこの世は回るから」のロックサウンドでブチ上がり、「18才の夏休み」や「甘ったるい呼吸」をじっくりと聴かせ、そしてもちろん「愛とU」や「アイシテル人生 feat.初音ミク」でフロアを踊らせる。オフィシャルレポート（※1）に「『愛とU』がTikTokでバズったこともあり、新しい客層にリーチしたという本ツアー。どうやらこの日は大学生が多いようだが、Mega Shinnosukeが呼びかけると高校生から社会人、そして無職と様々な客層から声が上がる」とあるとおり、幅広い層のオーディエンスが集まった会場で、Mega Shinnosukeは振り幅の大きなそのスタイルを存分に発揮してみせた。

　今後も大晦日の『COUNTDOWN JAPAN 24/25』出演で2024年を締め括り、2025年1月には早くも弾き語りツアー『MEGA 弾き語り旅 2025』が控えている。大型フェスからライブハウスでの弾き語りと、これまた振り幅の大きなライブをシームレスに行き来する感じもまた彼らしい。これからも自由奔放に、そして自分の気持ちに誠実に表現し続けていくであろうMega Shinnosukeの活躍を大いに楽しみにしていたい。

■出演情報
『2024 FNS歌謡祭』
TVer 第2夜 Part1（18時半～19時半頃放送分）
https://tver.jp/episodes/epo341kwj2