小田和正が更新し続ける“最年長”記録　『自己ベスト-3』で再確認する言葉／メロディ／ハーモニーの黄金比

　対照的に、1曲目に収録された明治安田生命の企業CM曲「すべて去りがたき日々」や、「what’s your message?」、「その先にあるもの」といった初収録の近作はいずれも言葉の力を感じるバラード曲。とりわけ〈心込めて　ありがとう　ありがとう〉とこの上なくストレートな感謝の言葉で締め括る「すべて去りがたき日々」は、小田の紡ぐ言葉の平易さと率直さが最もよく表れているように思う。明治安田生命の企業CMに小田の楽曲が繰り返し起用される所以が感じられる（そして、1989年生まれの自分にとってみれば、小田和正といったらなによりも、テレビCMで見た「言葉にできない」なのだった）。

　一方、半世紀以上にも及ぶ小田のディスコグラフィは、本稿が暗に前提としているようなニューミュージックからJ-POPに至る“歌”としての評価だけでなく、サウンドの観点からも興味深い。そうした別角度からの再評価も今後本格化するかもしれない。そちらにも期待したい。

※1：https://www.oricon.co.jp/news/2357129/full/
※2：https://www.oricon.co.jp/news/4629/