Mrs. GREEN APPLEはマイナスを肯定する 大森元貴の歌詞にみられる“ポジティブ変換力”とは
人生の逡巡や葛藤を丁寧に綴った「Dear」では〈無気力な私を「無価値」だと思っても/立ち止まってみれば/風をまた感じられるから〉と“立ち止まること”も必要だと肯定している。そして、その後に〈気持ちは周る〉と、これ以上にないワンフレーズを持ってきている。「ネガティブな気持ちの後には、また違う気持ちが巡って来る」と示唆することで、この曲で綴られた不安や葛藤も、すべてポジティブにつながる要素に変換していると思う。
タイトルから当時の大森の人生観が感じられる「ケセラセラ」は、究極の自己肯定ソングだ。〈私を愛せるのは私だけ。/生まれ変わるなら?/「また私だね。」〉という理想を歌った後、2ブロック後の最後に〈仕方ない程 自分よがり〉と自己分析のフレーズを入れている。この客観的なフレーズがあるからこそ〈勝てなくたっていい/負けない強さを持ちたい〉という最高のパンチラインが説得力を持ち、ズバンと心のど真ん中を射抜く。そうして、“ケセラセラ”という言葉が聴き手のなかでただの呪文ではなく、自己肯定の言葉になるのだ。
どんな苦悩や葛藤があっても、それを受け入れることが経験になる。そして、その経験が自己肯定につながる。そのことを大森は身をもって知っている。だからこそ彼は、Mrs. GREEN APPLEは、日々を謳歌する喜びを音楽で体現しているのだと思う。
※1:https://realsound.jp/2024/10/post-1818726.html
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