カネヨリマサルが綴る“等身大”に惹かれる理由 恋の始まりと終わりを描いた夏恋ソング2連作を紐解く

 もう一点は、カネヨリマサルのサウンド。「嫌いになっちゃうよ」は疾走感のあるバンドサウンドが印象的なナンバーで、「ゆびきりげんまん」は切なさが際立つミディアム調のナンバーだが、共通しているのはバンド以外のサウンドはあまり鳴っていないということ。ちとせの息継ぎすらも意識的に聞こえさせるような音のバランスになっており、あくまでもカネヨリマサルのシンプルで力強さのあるロックサウンドが軸になっている印象を受ける。いしはらめい(Ba/Cho)のベースは躍動感を持った動きの中で楽曲の低音をぐっと支える存在になっているし、もりもとさな(Dr/Cho)のドラムが率先して、楽曲としての展開を作り上げており、三人が役割を持ちながら過不足のない音を積み重ねるからこそ、どこまでも”刺さる”アンサンブルを作り上げていく。楽曲がドラマチックなぶん、サウンドにいくらでも足し算ができる楽曲でありながら、「嫌いになっちゃうよ」であれば、わかりやすいところでハンドクラップを入れるに留めるなど、その足し算は最小限に留めている装い。結果、それがカネヨリマサルの等身大の歌詞世界を際立たせているように思うのだ。

カネヨリマサル【ひらりとパーキー】(Official Audio)

 「ひらりとパーキー」や「もしも」の頃から変わらないカネヨリマサルの絶対な武器は、こういう真っ直ぐさや飾らなさ、そんな中で核心をついてくる解像度の高い描写力だった。バンドとしてのスケールが大きくなった今も、それは変わることなく響いていることを二作を通じて改めて感じたのだった。さらに今作は、いしわたり淳治がプロデュースに入ったことで、その魅力を濃密に作り上げた印象を受ける。今、恋愛をしている人は我ごととして、過去にそういう経験があったなーという人はその時の思い出を回想しながら、自分のとある物語と照らし合わせて楽曲世界に浸ってほしい。そんな気持ちにさせてくれる楽曲だった。だからこそ、カネヨリマサルの音楽に惹かれ続ける自分のようなリスナーがたくさんいるのだと思う。

 

■リリース情報
カネヨリマサル
「ゆびきりげんまん」
配信URL:https://jvcmusic.lnk.to/YubikiriGenman

「嫌いになっちゃうよ」
配信URL:https://jvcmusic.lnk.to/KirainiNatchauyo

■ライブ情報
『カネヨリマサル"君と私の世界を変える大阪城野音ワンマン"』
9月28日(土)大阪城音楽堂

■関連リンク
カネヨリマサル オフィシャルHP:https://kaneyorimasaru.com/
カネヨリマサル オフィシャルX(旧Twitter):https://twitter.com/kaneyorimasaru
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