戦慄かなの、再始動のステージは“らしさ”溢れるものに メジャーデビューを発表した生誕祭を振り返る

 ケーキ、プレゼント、記念撮影という生誕イベントの恒例行事を経たあとは、以前からライブでは歌われてきたが、このたびついに音源としてリリースされた「Pinky Gang」を披露。我が道を進む戦慄の生き様を綴った明るくも切ないナンバーでEPの曲すべてを歌い切った。ここで戦慄は「私から告知があります」と口にすると、ステージ背後にスクリーンが登場。大きく「特報」と銘打たれ、9月18日にヤングスキニー かやゆー(Vo&Gt)の作詞作曲による新曲「悪い人」でメジャー・デビューが決定したことと、戦慄かなのの単独ライブ、femme fataleと悪魔のキッスのツーマンライブが決まったことが告げられ、その場のオーディエンスから大きな歓声が上がった。

 興奮冷めやらぬまま、「悪い人」の初披露へ。ヤングスキニーの代表曲のひとつ「ゴミ人間、俺」を相手側から見たような歌詞が綴られたミディアムナンバーで、メロディや展開含め、戦慄がこれまで歌ってこなかったような王道のポップスと言っていいだろう。既存のファンには新鮮に響くだろうし、これからの新たな層を射程に入れた意欲的な楽曲とも言える。しかもこれは活動休止期間中の「ベランダ」から繋がった縁であることは間違いないはずで、一度止まってしまったことすらも無駄ではなく、必然の時間だったのだと考えると感動的ですらある。希望に満ちた新展開を見せ、この日のイベントは幕を閉じた。

 戦慄は「アンコールはないからね」と言ってステージから去っていった。久しぶりの再会にしてはあっさりしたものだったが、それは裏を返すと、これから表舞台に立つ機会はいくらでも増えていくという自信にも見てとれた。この先、戦慄の不在の期間を寂しく感じたことが嘘のように思える日がやってくるのではないだろうか。

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