夏の甲子園を盛り上げた応援歌の新傾向 「メガロバニア」「キラメキラリ」…今年の“御利益ソング”は?

 8月23日に阪神甲子園球場(以下、甲子園)で行われた『第106回全国高校野球選手権大会』(以下、『夏の甲子園』)で、京都国際高等学校が関東第一高等学校を破り初優勝を果たした。多くの高校3年生はこの大会をもって部活を引退し、代替わりとなる。そのため、“今のチームで戦える最後の試合”に懸ける想いがぶつかり合い、今年もさまざまなドラマが生まれていた。

第106回 全国高校野球選手権大会CM

 酷暑の中で行われた『夏の甲子園』で戦っていたのは、球児だけではない。応援団やチアリーディング、ブラスバンド演奏など、アルプススタンドで応援している学生たちも、この大会を彩ったメンバーのひとりだ。甲子園から離れた地域にある学校の生徒たちは、夜行バスなどで移動をして応援に臨んでいる。新型コロナウイルスの影響で声出し応援禁止になっていた時期を経たからこそ、応援の力を再確認した人も多いのではないだろうか。野球応援に情熱を注いでいる学生たちの想いは、『青空エール』や、『20歳のソウル』などさまざまな作品で描かれており、観ると胸が熱くなる。まさに、“One for all, All for one”を体現しているのが、高校野球なのだ。

映画『20歳のソウル』劇場用本予告60秒Ver(5月27日全国ロードショー)

 そして、音楽ファンにとって楽しみなのが、『夏の甲子園』で演奏される応援曲。X JAPANの「紅」や、ピンク・レディーの「サウスポー」、山本リンダの「狙いうち」などの定番曲を聴くと夏の訪れを感じるし、その年のヒット曲を取り入れる学校も多いため、シーンのトレンドを知ることができるのも嬉しい。今年は、“キレキレダンス”で話題を集めた滋賀学園高等学校が、ゲーム『UNDERTALE』の「メガロバニア」を演奏して大きな話題に。ほかにも、岡山学芸館高等学校がゲーム『アイドルマスター』の「キラメキラリ」を使用していたりと、今年は“ゲームソング”を取り入れる学校が目立っていた。

 また、大阪桐蔭高等学校が、今年の7月8日に配信スタートしたばかりの「シカ色デイズ」を早速取り入れていたのには驚かされた。同曲は、アニメ『しかのこのこのここしたんたん』(ABEMA/TOKYO MXほか)のオープニングテーマで、TikTokでバズりまくっている1曲だ。〈しかのこのこのここしたんたん〉というフレーズを中毒性のあるリズムに乗せたこの楽曲に合わせて、ダンス動画をアップしている人が多い。

TVアニメ「しかのこのこのここしたんたん」ノンクレジットオープニング映像『シカ色デイズ』

 大阪桐蔭高等学校は、ほかにもYOASOBIの「アイドル」や、HoneyWorksの「可愛くてごめん」などのバズり曲を使用。『TikTok上半期トレンド大賞2024』で特別賞を受賞したCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」も野球応援ver.にアレンジして演奏しており、甲子園でも“Creepy Nuts旋風”を巻き起こしていた。

Bling-Bang-Bang-Born/Creepy Nuts【大阪桐蔭吹奏楽部】

 優勝校の京都国際高等学校は、映画『天気の子』(2019年)の主題歌「グランドエスケープ feat. 三浦透子」や、アニメ『進撃の巨人』(TOKYO MXほか)の初代オープニングテーマ「紅蓮の弓矢」を演奏し、チャンステーマとしてオリックス・バファローズの応援歌「BuffaYell」を使用。これらの楽曲は、優勝に導いた“御利益ソング”として、さらに話題を集めることになりそうだ。

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