East Of Eden、1周年に向けて磨き上げる挑戦 『Forbidden Fruit -2nd piece-』制作を徹底的に語る
East Of Edenにとって2作目のミニアルバム『Forbidden Fruit -2nd piece-』が7月24日にリリースされた。草野華余子による書き下ろし曲「Judgement Syndrome」や、赤と黒のコントラストが映えるMVも話題の「CROSS∞ROADS」をはじめ、激しさの中にも艶やかさとそれぞれの個性がたっぷり詰まった1枚になっている。初のワンマンツアー『1st Live Tour - Forbidden Fruit -』を終えたAyasa(Vn)、湊あかね(Vo)、Yuki(Gt)、わかざえもん(Ba)、MIZUKI(Dr)の5名に、本作の制作を通して得た新たな手応えから、11月29日にLINE CUBE SHIBUYAで控えるバンド結成1周年記念スペシャルライブへの意気込みまで、たっぷり語ってもらった。(編集部)
ライブでの経験値が活かされた2作目の『Forbidden Fruit』
――2作目のミニアルバムに関して、当初どんな内容にしようと考えましたか?
Ayasa:もともと前作『Forbidden Fruit -1st piece-』と今作はセットというか、2つで1つの形にしたいという構想を、1作目を作っている時から持っていたんです。昨年10月の初ライブ『World Premiere Special Showcase 2023』のために曲をたくさん作りましたし、その中から5曲を『Forbidden Fruit -1st piece-』には収録したんですけど、ライブで披露した楽曲の中から自分たちとしても好きな楽曲、ライブで演奏してみて感触がよかった楽曲を2枚目には入れたくて。例えば、1stライブの時から「鈍色のラビリンス」に対するお客さんの反応がすごくよかった印象がありましたし、「Chasing The Moon」も最初から2枚目に入れようという話が出ていたので。ただ、既視感のある曲だけだと新鮮味が足りないのかなってことで、「Judgement Syndrome」のような新曲も取り入れようという形にシフトしていきました。
――3月の2ndライブ『- World Premiere Special Showcase - [Encore]』では会場限定CDとして「echo echo」もリリースされたので、正直こういった楽曲をまとめた作品集になるのかなと予想していたんですが、そこを超えてきたといいますか。
Ayasa:1stライブの時は本当にみんな必死で、十数曲を一気に仕上げて達成感もありましたし、お客さんとしても披露された楽曲のうち「Evolve」以外は全部新曲だったという驚きもあったとは思うんですけど、1stライブは今年3月に映像化もされましたからね。1回目のライブをやるにはあの曲数はすごくよかったんですけど、その後ライブを重ねていくと「曲がまだ全然足りないよね」って話も出てくるようになって。手元にある同じ曲だけで2回目、3回目とセットリストを作ろうとすると組み替えも難しくなってきますし、活動を続けていくなら新しい要素が必要になるのは当然のことなんですよね。
――では、まずは今作のオープニングを飾る「Judgement Syndrome」について。この曲に関しては前回のインタビュー(※1)で湊さんとAyasaさんにお話を伺っているので、今回はYukiさん、わかざえもんさん、MIZUKIさんにお話しいただけたらなと。
Yuki:このタイプの曲って、私はそんなに弾いてこなかったんですよ。なので、レコーディングする上で「どうしようかな?」っていろいろ考えたんですけど……今までの自分の歪みの音は「これ!」というものがあったんですけど、今回はそこじゃないよなとまず考えて。どちらかというとクランチサウンド(クリーンよりもわずかに歪んだサウンド)をメインにしたんですけど、弾いてこなかった分すごく難しくて。最初にいただいたデモにはギターソロも入っていたんですけど、音量的にちょっと控えめなソロだったので、あかねさんの歌と重なった時に「ちょっと鳴ってるよ」ぐらいのテンション感で味つけし直して録ってみたんです。でも、実際に完成した音源を聴いてみると、めちゃくちゃギターが聴こえるようにミックスしていただいていて、「あ、そっちでもよかったんだ」っていう意外な一面もありました。
――確かに、AメロのギターフレーズはこれまでのEast Of Edenを考えると、かなり新鮮でしたよね。
Yuki:そうですよね。カッティングで同じフレーズがずっと繰り返されるようなプレイスタイルは、実はあまり得意じゃなかったんですけど、やっていくうちにどんどん楽しくなってきて。新たな面にどんどん挑戦していきたいなって思えるようになった、最初の1曲でした。
――ベースやドラムに関してはいかがですか?
わかざえもん:今までのEdenの曲に関しては、ベースはわりと何を弾いてもいいみたいな感じが多かったんですけど、「Judgement Syndrome」の大枠は堀江さん(アレンジを手がけた堀江晶太)指定のフレーズになっていて。イントロの裏で鳴っているフレーズとかは若干自分流に変えているんですけど、基本的には自分にないアプローチだったので、弾いていて面白かったです。
MIZUKI:私はアニソン関連のサポートドラムをやらせてもらうことも多くて、(草野)華余子さんや堀江さんの曲を叩く機会もこれまであったので、比較的やりやすかったかな。ただ、1Aのドラムパターンはなかなかないパターンで、デモで聴いた時から面白いなと思ったのでそのまま活かしました。レコーディングでは華余子さんがディレクションで入ってくださったんですけど、落ちサビのところでは「シンバルを自由に入れてみてもいいよ」とか、アウトロの後半では「もう好き放題やっちゃって!」とか言ってくれて(笑)。フィルを詰め込み放題入れさせてもらったりして、すごく楽しくレコーディングした思い出があります。
――2曲目は1stライブから披露している「Chasing The Moon」。先にMVも公開されましたけど、この曲はどうでしょう。
Ayasa:サビ中でもそうなんですけど、アレンジ的にめちゃくちゃバイオリンが動いているんですよ。歌を一番聴かせたいところであそこまで動くストリングスってことで、最初に音源をもらった時は「すごくカッコいいけど、ボーカルの邪魔をしないかな?」とちょっと迷いました。でも、実際にはボーカルのメロディとの絡み方が秀逸で、バイオリンが細かく動くところでは歌が伸びているので、その押し引きのバランスがすごく綺麗に作られていました。このストリングスアレンジを担当したのがTako Yamaguchiさんという方なんですけど、サビに関してはもともとのTakoさんのアレンジをほぼそのまま弾かせていただいていて、Bメロはちょっと足したりして、レコーディングも楽しませていただきました。
湊あかね(以下、湊):ボーカルに関しては、私がこれまで歌ってきた曲に一番近いような気がしていて。East Of Edenの曲はそこまで落ちサビという落ちサビがない曲が多いから不思議だったんですけど、この曲は落ちサビがちゃんとしているというか、一番「あ、知ってる曲だ」って感じで歌えています。それもあって、今では歌っていて安心できる曲になりつつありますね。
――リズム隊はどうですか? 疾走感がありつつ重さも求められる曲かと思いますが。
わかざえもん:ベースだと5弦のローの塩梅とかでその重さを演出したりしているんですけど、意外と何かを意識しなくても、始まってしまえばそのまま流れでいけるストレートな曲かなと自分は感じています。
MIZUKI:変拍子も出てこないし、お客さんもすごくノリやすい曲だと思うんです。気持ちよくノれるように2、4のビートを意識しつつ、最後まで叩き切りました。
――ギターに関してはいかがでしょう?
Yuki:ギターソロの後半のところでAyasaさんのバイオリンが絡んでくるパートがありますが、そこはEast Of Edenらしさの1つになりつつあるのかなと思っています。この曲では7弦ギターを使っているので、ローB(7弦ギターで低音側に追加される音)が出てくる激しい1曲だと思うんですけど、ソロになるとキラキラした爽やかな部分もあるので、ヘヴィなリフといいバランスになっているかなと思います。