望月彩羽インタビュー 安室奈美恵楽曲作詞や「IROHA TAROT」など経て、アーティスト活動本格化に至るまで

望月彩羽、アーティスト活動本格までの道

タロットとの運命的な出会い YouTube視聴者の声が音楽活動再開の後押しに

望月彩羽 インタビュー写真(撮影=梁瀬玉実)

――そこから時を経て、2020年にYouTubeチャンネル「IROHA TAROT」を立ち上げました。どんなきっかけから始めたんですか?

望月:2020年の元日に久しぶりに音楽業界の人たちの会に誘われて、やっぱり音楽の話は楽しいなと思ったんです。で、もう一回音楽をやりたいなと思って、知り合いの作曲家にお願いして、MYRRH(ミルラ)という名前で「By the way」という曲を作って配信しました。そのときにカメラマンの友達に簡単なMVを作ってもらったんですけど、撮影の休憩時間にその友達がタロットのYouTube動画を見せてきて「こういうの面白くない?」「当たるよ」って。それを見た瞬間に面白いと思ったのと同時に、何故か「私、これ、できる」と直感したんですね。

――それまでタロットカードを触ったことはあったんですか?

望月:なかったんですけど、何故か「できる!」と思って。家に帰ってからタロットカードや三脚をネットで調べて買って。そもそもそれまで他のYouTubeチャンネルもあまり見たことがなかったんです。だから、チャンネルの開設方法とか投稿の仕方とか動画編集をYouTubeで見漁って数時間で勉強して、その翌日に初めての動画を投稿しました。

――ずいぶん急展開ですね(笑)。

望月:タロットのことはわからなかったけど、絵柄からひらめくんです。それって、作詞のときに音から言葉が見えるのと一緒で、絵柄を見ていると頭の中に言葉が浮かんでくるから、それをそのまま喋ったんです。最初にYouTubeについて調べたときに、人気のあるテーマを投稿するとバズりやすいということだったので、タロット界で人気がある「運命の人」というテーマで初回の動画をあげたら反応が良くて、これは私に合ってるかもって。

――まさに運命だ。

望月:そこから登録者が1,000人になるまでとにかく毎日続けようと思って。それが今に繋がっています。

――今年1月にiroha名義でシンガーデビューしました。これはどんな流れから?

望月:私はサブチャンネル「イロハの宇宙部」もやっているんですが、2021年3月に、私が10年くらい前に作った「Love & Light」という曲をBGMで流しながら絵を描く動画をアップしたら、それがバズって。視聴者から「子どもの病気が治った」とか「涙が止まらない」とか、そういうコメントが来るようになったんです。そこから2、3年経ってから、そのサブチャンネルのエンディング曲として、自分で作詞作曲した「Silencia」という曲を1ヴァースくらい流し始めたんです。それも反響があって「リリースしてほしい」と言ってくださる方が多かったので、また音楽をやろうかなという気持ちになってきて。

――YouTubeの視聴者に背中を押されたわけですね。

望月:あと、去年6月に個展を開いたんです。私の今までのデモテープをいろいろと聴いてもらいながら絵を見てもらうスタイルだったんですけど、このアンケートでも「アルバムを出してほしい」とか「曲をリリースしてほしい」という声が多くて。それも励みになって、ちゃんと曲を制作していくことにしました。

――YouTubeのエンディング曲で流した「Silencia」は、今年3月にリリースしたものですか?

望月:いえ、リリースしたものはアレンジを変えています。

望月彩羽での活動は、当時やりたかったことを今やるような感覚

望月彩羽 インタビュー写真(撮影=梁瀬玉実)

――irohaの楽曲はどんな世界観・音楽性を目指しているんですか?

望月:「IROHA TAROT」は、声が好きという理由で見てくださっている方も多くて。私の声を癒やしと言ってくださる方が多いんです。で、自分の声に本当にそういう要素があるのかなと思って、声の周波数と、曲を聴く前後の脳波を専門家の先生に調べてもらったことがあるのですが、私の声の周波数がモーツァルトの音楽に多く含まれている高周波数と同じくらいの3000Hzだということがわかって。だから、聴いていて心地いいんだろうと。

――データで裏打ちされたんですね。

望月:あと、脳波の方は、8割の人が曲を聴いたあとに一瞬で脳波が整うというデータが出たんです。癒やされるとか、元気になるというのではなく、脳が一番フラットな状態、ニュートラルになれる脳波だから先生も「面白い」と言っていて(笑)。きっと私の声を聴くとニュートラルになって仕事が捗ったりするんじゃないかって。

――irohaさんのエンジェルボイスには、そんな効果があったんですね。

望月:20年前、“太古の魚たち”に私の声は「眠くなる」「インパクトに欠ける」と言われてたんですよ。だから、もっと張って歌うように歌い方も指導されたんですけど、そういう発声をすると上手く歌えなくて。私はボイトレもしたことがないし、自分なりの発声で歌ってきたんですね。それがやっと求められるときが来た! と思って。今の人たちは癒やしを求めているのかなって、そのときに気づいたんです。

――それがirohaの音楽性に繋がってるんですね。

望月:irohaの音楽は“癒やしの声”というコンセプトで作っていて。そうするとR&B系ではないし、サラ・ブライトマンのようなオーケストラを基調としたサウンドにしようと。irohaの曲を作曲してくれているジョアッキーノ・ペンサートは、イタリア人でクラシックの指揮者なんです。あと映画音楽を作っている。私も癒やし系だとしたら映画音楽みたいな曲がいいと思ったので、彼にお願いしました。

――6月22日リリースの最新シングル「Four Seasons」から、名義を望月彩羽に改めましたが、その理由は?

望月:「Four Seasons」は安室さんが歌っていたR&Bベースの曲だから、iroha名義でリリースしてきた曲とは雰囲気が違うので名前を変えようと。あと、irohaの楽曲はファンの方とか今、私をフォローしてくださっている方に届ける歌という感じなんです。私は昔ロックもやっていたりして、いろんなジャンルを歌ってきているので、irohaの世界観だけをこれから先やっていくのは違うような気がして。あと、単純に別のirohaというアーティストさんがいるんです。ファンの方から「新曲聴きました。今回違う感じですね」って言われたりするんですけど、それは違うirohaさんだからっていう(笑)。それが何度かあって混同しちゃうから、だったら名前を変えようと。

――望月彩羽という名前の由来は?

望月:望月は自分の本名の名字です。これから表に出て行くにあたりご先祖さまに守ってもらおうと。彩羽は「いろは」と読むんですけど、それはirohaに漢字を当てました。

――「Four Seasons」をセルフカバーした理由も教えてください。

望月:去年、ライブをやりたいと思ったんですけど、ライブをやるには曲をたくさん作らなきゃいけないし、みなさんが喜んでくださるような知られている曲のカバーがあってもいいんじゃないかと。「Four Seasons」は自分が書いた歌詞で思い入れもあるし、作詞家デビューの曲だったので、今度は望月彩羽としてデビューする曲にふさわしいんじゃないかと思ったんです。

望月彩羽 インタビュー写真(撮影=梁瀬玉実)

――セルフカバーするにあたり、アレンジはどんなことを意識しましたか?

望月:irohaの曲とのマッチングを考えて、安室さんのオリジナルよりテンポを落としました。さらに私は今、R&Bを歌っているわけではないから、一般の方でも聴きやすいようなポップス寄りのサウンドにしようと。

――特にサビは、原曲より四季感というか和のテイストを感じました。

望月:それはジョアッキーノが曲からインスピレーションを感じて、和の要素を入れてきたんです。あと、安室さんのオリジナルはマイナーコードを基調にしているんですけど、今回はメジャーコードに変えてもらいました。私の音楽は多幸感を大事にしたいので、みんなの心がふわっと軽くなるようなアレンジにしたいとジョアッキーノに伝えたら、彼がメジャーにしようというアイデアを出してくれたんです。最初に聴いたときはマイナーに慣れているから一瞬、違和感があったんですけど、聴けば聴くほど、こっちの方が自分的には馴染むなと思っています。

――今後は望月彩羽で活動していくんでしょうか。それともiroha名義の楽曲も並行してリリースされるんでしょうか。

望月:今後はすべて望月彩羽でやっていく予定です。今のところはあまり先々まで考えていなくて、9月のワンマンライブを楽しみたいのと、そのライブの前に私が10年くらい前に作詞作曲した楽曲を出したいと思っています。その曲は今、トラックを作り直してもらっているんですけど、「Four Seasons」よりテンポが速くてR&B調になっています。20年前に自分が作っていたような曲とかやりたかったことを、ここから望月彩羽でやっていけたらなと考えています。

――今日の撮影でも「デコ電」と呼ばれたデコったガラケーを持っていましたが、それも約20年前の流行でしたね。

望月:今、Y2Kリバイバルで90年代後半から2000年代前半の感じが注目されていますけど、私もあの時代がすごく好きで。あのときにデビューしたかったので、当時やりたかったことを今やるみたいな感覚なんです。今、韓国のアーティストが取り入れている感じじゃなくて、もろに日本のあのときのギャル文化をやりたいなと。私、何十年経っても心はギャルなので(笑)、ギャル文化を大事にしていきたいんですよ。それこそ“日本”という感じがするから。

――確かに。

望月:irohaの方はきれいでふんわりした幻想的なイメージ。「IROHA TAROT」はそのイメージでこれからも続けていくし、求められているのがそういう私だと自覚しています。だけど、いつまでもそれだけだと、本当の私がちょっと苦しくなっちゃうので、自分のパーソナリティを出せる部分を望月彩羽として一つ持っておけば、両方楽しめるんじゃないかと。そういう棲み分けをして、自分の好きなことを思い切りやっていくためのプロジェクトが望月彩羽なんです。

望月彩羽 インタビュー写真(撮影=梁瀬玉実)

――9月11日にLINE CUBE SHIBUYAで開催するワンマンライブ『The Prayer』は、どんな内容になりそうですか?

望月:今回のライブは、「IROHA TAROT」の4周年記念イベントの一つとして、ファンの方に楽しんでもらうために企画したものなんです。なので、iroha名義の楽曲をメインに歌う予定です。

――ということは、「IROHA TAROT」のオフ会みたいなことですかね。

望月:大きいオフ会みたいな感じです。ただ、望月彩羽の「Four Seasons」から入ってくださった方にも楽しんでいただけるように、望月彩羽で次にリリースする曲も披露する予定です。irohaと望月彩羽、両方の要素、二つの彩りが移り変わるところを楽しんでもらえたらなと思います。

望月彩「Four Seasons」
「Four Seasons」

■リリース情報
「Four Seasons」
6月22日(土)配信
配信URL:https://linkco.re/y3puddBy

■ライブ情報
『ワンマンライブ “The Prayer”』
会場:LINE CUBE SHIBUYA (東京都渋谷区宇田川町 1-1)
開催日時:2024年9月11日(水)15:00開場/16:00開演
チケット購入:https://t.livepocket.jp/e/zx2qy

Official HP:https://iroha.bitfan.id/

Instagram:https://www.instagram.com/mochizukiiroha/
YouTube:https://www.youtube.com/@mochizukiiroha
TikTok:https://www.tiktok.com/@mochizukiiroha

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