岩田剛典、10年越しの武道館のステージ 一つの集大成迎えたソロアリーナツアーファイナル

岩田剛典、ソロ武道館公演レポ

 ダンサーの個々の魅力の詰まったダンスショーケースを経て、ライブは後半戦へ。「1曲1曲やるごとに、“あ、このパフォーマンスやることないんだな”って噛みしめながらさ」とツアーが終わることへの寂しさを滲ませつつ、武道館は人生の節目で立ってきたステージだと語った。初めて武道館に立ったのは12年前、三代目 J SOUL BROTHERSの初の単独アリーナツアーでのこと。その2年後にEXILE加入時のオーディションでも立った場所だが、どちらも必死だったため、当時の記憶がほとんどないという。

「今日までの道のりは、決して楽しい時間ばかりじゃありませんでした。生きていれば抗うことができないような不条理にも出会ってきました。でも、その度に後悔しないようにやってきて。自分はこんなもんじゃねぇと、高く飛べるはずだと奮い立たせてきた、そんな10年でした」

 そう振り返りながら、「10年越しに、ソロアーティストとして武道館のステージに帰ってくることができました!」と感謝を述べ、今日の光景を記憶に焼き付けると意気込む。そして、ツアーファイナルかつ武道館という特別なステージのために新曲「Get Down」を初パフォーマンス。嬉しいサプライズで観客を沸かせた。

 「The Way」で再びトロッコに乗った後、「Rain Drop」では通路に降り立ち、観客のすぐ近くで歌を届ける。「Night Parade」のサビでは客席からシンガロングが響きわたり、カラフルな照明やペンライトの光も相まって祝祭空間が生まれていた。

 これまで「足を止めた瞬間に記憶から消える」と危機感を抱きながら活動してきたと語った岩田。一方で、経験を積んでいくうちに、1度の失敗ですべてを失ってしまうのではないかと、挑戦するのが怖くなった時もあったそうだ。そんな時に勇気づけられたのがMATEの存在だったという。

 「こんな自分でも、皆さんという誇りに出会えました。皆さんも、身の回りの大切な人たちに誇りに思えるようなことを見つけていただきたいと思います」「後悔ないように生きてください。見てください僕、パフォーマーとしてデビューして、今歌手ソロアーティストとして武道館に立っているんですよ。何だってできるよ人生!」とエールを送り、これからも挑戦を重ねつつ、挑戦する人の背中を押せる存在でもありたいと語った。そして、14年間を振り返りながら制作したという「螺旋の奇跡」を本編最後に披露。一人ひとりに寄り添うように力強く曲を歌い上げ、ステージを後にした。

 アンコールでは1曲目に「BEARK THE LAW」を熱くパフォーマンス。2曲目は日替わりでさまざまな楽曲を届けてきたが、この日は自身初のカバー曲を披露するという。何を歌おうか悩んだという中で、選ばれたのはJung Kook feat. Lattoの「Seven」。岩田の甘い歌声がよく似合うこの曲を、リスペクトを込めて届けた。

 ラストは「Only One For Me」で、会場をあたたかい空間に包み込む。2ndアルバム『ARTLESS』の楽曲を中心に、メドレーを含む全25曲を届けたこの日のライブで、自身初のアリーナツアーは終幕となった。

 岩田は公演中、「このアリーナツアーは、ストリートダンサーから始まった僕の1つの集大成です」と語っていた。14年間支え合ったMATEとともに創り上げた武道館のステージは、岩田にとって記憶に深く刻み込まれるものになったのではないかと思う。初のソロアリーナツアーを終え、挑戦を続ける彼がこれからもどんな景色を見せてくれるのか楽しみだ。

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