【EXPG STUDIO対談 Vol.04】EXILE HIRO×TETSUYA、“夢の循環”で切り拓く未来 LDHの強みを活かした育成

 GENERATIONSのメンバーをはじめとしたJr.EXILE世代のアーティストや、Girls²などのダンスボーカルグループを数多く輩出してきた総合エンタテインメントスクール・EXPG STUDIOが、2023年で20周年を迎えた。リアルサウンドでは、20周年を記念して関係者と卒業アーティストの対談を短期集中連載で展開してきた。

 最終回となる第4回では、EXILE HIROとTETSUYA(EXILE/EXILE THE SECOND)の対談をお届けする。LDH JAPANの代表取締役会長兼社長CEO兼CCOを務めるHIROと、昨年EXPG STUDIOを運営する株式会社expgの代表取締役社長兼CEOに就任したTETSUYA。それぞれの立場から、企業としての経営面における取り組みや、日頃レッスン生と接する中で感じるやりがい、多数のアーティストを輩出するLDHならではの強み、今後求められる課題など、EXPG STUDIOの意義について語ってもらった。(編集部)

EXPG STUDIO、新体制によって動き始めたストーリー

――EXPG STUDIOは2023年末に「EXPG ENTERTAIMENT ~24 EVOLUTION~」(※1)と題した24個の公約を発表しました。2024年の施策をまとめたもので、その中にはHIROさんの株式会社expg取締役会長への就任など、EXPG STUDIOの新体制に関わる発表もありました。まずは新体制となった理由を教えてください。

HIRO:2023年11月にLDHが新体制になって僕が社長に復帰し、「Circle of Dreams(夢の循環)」というテーマを掲げました。EXPG STUDIOの新体制もそれに伴うもので、株式会社expg代表取締役社長にはTETSUYAが、LDH愛夢悅(台湾支社)代表取締役にはAKIRAが就任しています。

 TETSUYAにEXPG代表取締役社長に就任してもらったのは、これまでのEXPG STUDIOの事業に対する真摯な取り組み、そして夢や想いをずっと感じていたからです。TETSUYAには、ダンスを学びながら高卒の資格を取れるEXPG高等学院の学長も務めてもらいましたが、実際に生徒の皆さんはじめ多くの方から素晴らしい反響をいただき、今後はさらに大きな役割を任せたいなと。まずは今までやってきたことを踏襲しつつ、スケール感を大きくしてもらいたいです。

TETSUYA:EXILEで学んできた自分が、次に何を軸に活動していけばいいのかと考えたときに、「健康」と「教育」というキーワードが浮かんできました。ダンスを通じて「健康」と「教育」に携わることができて、社会貢献にも繋がるということで、EXPG STUDIOの事業には力を注いできました。代表取締役社長として、今後はさらに深く携わっていければと考えています。

――所属アーティストが役員になるのは、EXILEメンバーが自ら起業するところからスタートしたLDHならではの取り組みで、独自の強みにもなっていると感じます。

HIRO:LDHではかねてより、所属アーティストのセカンドキャリアやサブキャリアを応援したいとは考えてきました。所属アーティストがさまざまな経験を積んで、その経験をもとに経営者としてのキャリアをスタートさせるのは、LDHという企業をさらに発展させる上で重要なことです。アーティストとしての経験を持つ人間が、事務所の運営側に立つことには大きな説得力がありますし、現役のアーティストにとっても、第二、第三の夢を叶えていく先輩たちの背中は、モチベーションになると思います。そういう意味でも循環のある企業にしていきたいです。

TETSUYA:個人的には、自分はまだ経営者になるには未熟だと感じる部分もあり、不安もあります。でも、人生にそれほど大きなチャンスは滅多にないことですし、何より自分が思い描いてきたEXPG STUDIOの在り方を目指すチャレンジですから、期待感の方が大きいです。アーティストとしての経験を踏まえつつも、さまざまな方にアドバイスをいただきながら、これまでとは異なる視点でLDHに貢献したいと思います。社会人としてまた一歩、ステージが上がったように感じています。

EXILE HIRO、TETSUYA

――EXPG高等学院の2代目学長には、GENERATIONSの中務裕太さんが就任されるそうですね。

TETSUYA:自分が初代学長を務めたEXPG高等学院は、2020年の開校後、すぐコロナ禍に入ってしまったんです。試行錯誤しながら授業を進める中で、裕太は毎週の定例会に参加してくれたり、特別講義やレッスンを行ってくれたりと、EXPG高等学院の運営に積極的に取り組んでくれました。その姿勢には、EXPG STUDIO卒業生として、次世代に恩返ししたいという想いを感じました。新体制を機にEXPG高等学院も心機一転できればと考えて、HIROさんにも相談して裕太を学長に推薦しました。

――先日、EXPG高等学院の2期生が卒業しましたが、生徒たちを見ていてどんなことを感じましたか。

TETSUYA:EXPG高等学院にも、少しずつストーリーが積み重なってきています。アーティスト志望で目立つ才能もあれば、トレーナーやインストラクターを目指す生徒もいるし、大学進学を目指す生徒もいて様々です。3年間という限られた期間の中で、それぞれの進むべき道、叶えたい夢を見定めたのを見ていると、EXPG高等学院に携われて本当によかったなと感じます。子どもの頃からEXPG STUDIOに通っている生徒が、EXPG高等学院に進学するケースもあり、また新たなストーリーも生まれそうだと感じています。

LDHの知見を活かして構築してきた“オリジナルな仕組み”

――EXPG STUDIOの生徒数は全国で5,000人を超えていると聞きました。ダンスのプロを目指す方から、フィットネス感覚で通う方もいらっしゃると思いますが、具体的にどんなレッスンをしているのでしょうか。

TETSUYA:「EXPG STUDIO」はダンス/アクト/ボーカルのレッスンが受けられる総合エンタテインメントスクールで、3歳から成人まで幅広い層の方が通っています。レベルもBeginner(入門)、Basic(初級)、Intermediate(中級)、Advanced(上級)と分かれており、一番上までいくと候補生やラボ生としてプロを目指すカリキュラムに入ります。オンラインで受講できる「EXPG ONLINE STUDIO」も、コロナ禍以降は需要が増しました。生徒全員が見ることができるシステムになっているので、予習/復習にも使えます。「EXPG高等学院」は高校卒業資格が取れるダンスの高校で、3年間でダンスはもちろん、エンタテインメントにまつわるビジネスの裏側についても学べます。全10校を構える「ETCダンススクール」は、近所のダンススタジオという感覚で、ビギナーが気軽に通えるのがポイントです。また、代官山にある「EXFIGHT」というスタジオは、フィットネスから本格的なトレーニングまでができるジムで、所属アーティストも格闘技のレッスンに通ったりしています。

HIRO:EXPG STUDIO全体としては、ダンス、スポーツ、そしてカルチャーを社会に推進していく企業として発展させていきたいと考えています。ゆくゆくは、TETSUYAも関心を寄せている「健康」の要素も含めて、ダンスの持つ力を多方面に発信していきたいです。

――他のダンススクールとは異なる、EXPG STUDIOならではの強みとはどんなところにありますか?

HIRO:まず挙げられるのは、20年をかけて築いてきた仕組みです。幼少期から通ってレベルを上げていって、いずれ特待生になり、オーディションを経てアーティストになるという流れを確立できていて、LDHにおける新人開発の役割を担っています。卒業生がアーティストやプロデューサーになり、現役生をステージに出して、オーディションをして、さらに次世代の夢を叶えるというサイクル、つまり「夢の循環」が可能な仕組みになっているんです。もちろん、EXPG STUDIOを始めた当初はそこまで考えてはいなかったのですが、様々な経験を積み重ねていくうちに、オリジナルな仕組みを構築することができたなと思います。

TETSUYA:先日、子どもたちのためのプロジェクト「EXILE B HAPPY」の撮影があって。GENERATIONSの(小森)隼は、子どもの頃からEXPG STUDIOに通っていて、僕はEXILEのメンバーとして当時の隼とも一緒に踊っているのですが、そんな彼が立派なアーティストになって、次世代の子どもたちと踊っていました。それを見て、なんて素敵な循環ができているのだろうと感銘を受けました。まさに「Circle of Dreams」が繋がっているのをリアルに感じられた瞬間でした。30年、40年と続けていけば、さらに可能性が広がっていくはずだと、今から期待しています。

HIRO:EXPG STUDIOの中にも出会いと別れがあって、さまざまな人間模様を描いています。芸能事務所によるアーティスト育成に特化したスクールでもなければ、学校ともまた違う独特な雰囲気の中で、縦や横の関係に揉まれながら切磋琢磨するからこそ、成長できる部分もあるのかなと思います。EXPG STUDIO出身の同級生でも、LDHの中では全然違うポジションに所属していたりして、そこが面白いところです。

――EXPG STUDIOがあることで、LDHの中にひとつの文化圏が生まれているイメージですね。

TETSUYA:そうですね。例えば、THE RAMPAGE・陣とPSYCHIC FEVER・剣は、EXPG STUDIO時代にともにEXILEのライブでの「旗振り」で存在感を示してきたメンバーで、お互いに切磋琢磨してきた間柄なんですよ。

HIRO:あの巨大な旗は誰でも簡単に振れるものではないからね。

TETSUYA:インパクトがあったので、僕もよく覚えています。

HIRO:EXPG STUDIOは夢が集まる場所でみんな気合いが入っているから、顔を出しに行くと必ず予想外のことが起きるんですよ。

TETSUYA:OBやOGの同窓会をやったら、面白い話がたくさん出てきそうです。アーティストだけじゃなく、インストラクターや社員にも出身者は多いですから。

HIRO:アーティストとして売れているメンバーも、実は社員の後輩だったりしますからね。

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