トンボコープ、音楽の道で目指す“最強” 直近1年での飛躍を実現した強い楽曲の作り方

 2022年に活動を開始し、ここ1年はSNSでもライブハウスでも、破竹の勢いで支持を集めてきた東京発の4人組バンド、トンボコープ。雪村りん(Gt/Vo)と林龍之介(Dr)という2名のソングライターが生み出す曲の振れ幅、雪村がDAWを駆使して作り上げる緻密なアレンジ、そしてエモーショナルな演奏。実際にライブの現場で目撃する彼らのパフォーマンスはライブハウスのスケールをとっくに超えているようにも見える。4月13日にはLIQUIDROOMで初めてのワンマンライブ『BUTTERFLY EFFECT』を控え、そのスピードはますます上がっていくはずだ。

トンボコープ – 2nd mini album「ファースト・クライ・ベイビー」Trailer Movie

 そんな彼らが4月3日にリリースする2ndミニアルバム『ファースト・クライ・ベイビー』には、これまでの楽曲にはなかった鋭い視点が表現された「明日の一面」や「PARADIGM」をはじめ、既発のシングル曲やライブでの定番曲など全7曲が収録されている。音楽的にも歌詞のテーマとしても、トンボコープというバンドのさらなる可能性と、彼らの表現の根っこにあるものが滲み出るような野心作だ。今作に込めた思いを、「最強」を目指して走り続けるメンバー4人に語ってもらった。(小川智宏)

とにかくいい曲を作ろうというのが4人の中のモットー(林)

トンボコープ

ーーこの1年、側から見ていても大躍進の1年となりました。どんな気持ちで過ごしてきましたか?

雪村りん(Vo/以下、雪村):自分たち的にもかなり立場が変わった1年という印象ではあるんですけど、気持ちとしてはただがむしゃらに前に進んできたというか。行き先もわからない中、ただひたすらに上に行きたくて、その気持ちでどんどん頑張って、その結果が少しずつ出てるという感じでした。

でかそ(Ba):去年の1月の頭にレコーディングがあったんですけど、その時に4人で「躍進の1年にしよう」と言っていたんです。その目標を意識していたわけじゃないですけど、毎月くらいの感覚で自分たちのいる場所が変わっていって、気づいたら目標が達成できていたみたいな1年でした。あっという間でしたね。

林龍之介(Dr/以下、林):うん、あまり考える時間がなかった。去年の9月くらいには渋谷WWWも(クラブ)クアトロも、LIQUIDROOMもほぼ決まっていたんです。「そんな場所でやれるのか」って自分たちでも思っていましたけど、目の前のことを頑張っているうちにここまで来ました。

そらサンダー(Gt/以下、そら):1年前と比べたらすべての環境がガラッと変わりましたし、休みも全然なくて(笑)。常に何かしていないとソワソワしちゃうくらい忙しくなってきて。それがすごく嬉しいです。

ーートンボコープのどういうところが、これほどまでにいろいろな人に刺さっているんだと思います?

雪村:やっぱり、曲作りは自分たちの中でも一番大事にしています。デモの段階から高いクオリティを目指して自分たちのできることを全部詰め込んで作っていて。そこからみんなで合わせてアレンジを変えていく形で制作を進めているんですけど、そのやり方をしているバンドが周りにあまりいないんです。そういうところで差別化というか、頭が抜けて見えるのではないかと思います。

雪村りん

ーーうん。雪村さんの編曲のこだわりは間違いなくみなさんの音楽の武器ですよね。

林:スタジオに入って4人で合わせるのもすごくいいことだと思うんですけど、それをやっている時点で4人の音以上は出るはずがないというか。アイデアが頭の中にあったとしてもそれは出ないと思うんです。でもこうやってデモで上げてくれると、バンドサウンド以上の音がいろいろ詰め込める。それはうちのバンドの強みかなと。曲が本当によければライブの満足度も勝手に保証されるものだと思っているので、とにかくいい曲を作ろうというのが4人の中のモットーですね。

そら:2人の楽曲がめちゃくちゃいいので、そのよさを消さないためにもレコーディングとかでは絶対良い音で録りたいと思ってますね。妥協はしたくないので、テイクもしっかりと重ねて……そこが他のバンドとは違うかも。

でかそ:それ、他のバンドもみんなやっているんじゃない(笑)?

そら:テイクの数とかける時間と……。

ーー追い込まれ方がちょっと違うんだ(笑)。でかそさんはどうですか?

でかそ:サビ以外にもフックになるキャッチーなメロディやフレーズとか、聴けるところがあるのが強いのかなと。1曲を通してどこを聴いてもいい、みたいなことはデモの段階から思います。

ーー確かにつくりとしてすごくいいのはその通りだと思うんですけど、もうひとつ、僕はトンボコープの曲を聴いていると強い念、思いみたいなものを感じることがあって。抽象的ですけど、曲自体が「いろいろな人に聴いてほしい」ってメラメラ燃えているような感じがあるんですよ。それが聴く人にも届いているのかなと。

雪村:やっぱり歌詞を書くときは、人に言えないようなことというか、普段は人に話さないような出来事とかを歌詞にしているので。そのインパクトは強いのかもしれない。でも、人に言えないことだらけな人生でもないので、もちろんネタが尽きてくるんです。そういうときでも、どんなお題の歌詞でも大げさに書くとか、そういう部分を気にしているからこそ、言っていただいた印象につながっているのかな。

ーー林さんはどうですか?

林:たぶん、もともと思っていることがあって、それがたまたま音楽に乗ったみたいな感じなんです。意見もあるから念がこもっていると感じてもらえるのかもしれないです。思うことしか僕は書かないんで。

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