Djo「End of Beginning」バイラルヒット 『ストレンジャー・シングス』俳優が作る80年代の世界観
さて、「End of Beginning」に具体的に触れる前に、アルバム『DECIDE』の作品性について紹介しておきたい。ソロになったことで自由度が高まり、それが楽曲の幅、音楽性の幅の広さに繋がっている。ジャンルはシームレスだが、作品全体に漂うのがシカゴ出身のバンドのひとつの特徴でもある、薄曇りのような暗さだ。ロックダウンの影響もあるのかもしれないが、サウンドだけ聴いていても内省的な作品と言えるだろう。サイケデリックロック、アナログシンセ、ボーカルのエフェクトなど、80年代を彷彿させるファクターが随所に散りばめられている。この“80年代へのオマージュ”が、アルバムの中で、サウンド的に最もわかりやすく出ているのが「End of Beginning」だ。浮遊感あるサイケデリックなサウンド、メランコリックなメロディ、自身の音楽のルーツである“シカゴ”という街が頻繁に登場する歌詞など、いくつもの要素が重なったことも、グローバルヒットに繋がったと思うが、TikTokでの拡散のされ方を見ると、シンプルに楽曲を紹介している動画、Djoのライブ動画に曲の感想をつけた動画などが圧倒的に多く、楽曲の良さがヒットの最大の理由だと考える。
ボーカルアプローチも含め、まだまだ引き出しがありそうなDjoというアーティスト。俳優も含め“表現者”としてどう進化していくのか楽しみである。
※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2024-03-16