真心ブラザーズ、35周年を前に絶好調 『グレート CK Jr.』ツアーファイナルで鳴らした最強ロック

 桜井の華麗なラップスティールとYO-KINGのハーモニカが映える「月面」から、もはやオリジナル曲に溶け込んで久しいエモーショナルバラード「流星」へ。桜井の原曲完コピソロは、いつだって泣ける。ゆったりじっくり聴かせるセクションを過ぎると、ライブは終盤へ向けて一気に加速。エンジン全開でぶっ飛ばす「スピード」から「アーカイビズム」へ。バンドが乗りに乗っていた1995、1996年頃の曲は、今聴いてもやはり特別な輝きがある。命が燃える音がする。「Let's 感動」の明るいダンスビートに乗って誰もが踊る。歌う。手を振る。35年前からYO-KINGの歌ってることが全然変わっていないのが凄い。感動しよう。感情に流されよう。ほかにつけ加えることは何もない。

 「ENDLESS SUMMER NUDE」からの「愛」、そして会場内があたたかい一体感にまみれた「空にまいあがれ」。踊れ、騒げ、盛り上がれと押しつけたって40代や50代の音楽ファンは動かない。日頃のストレスを忘れて、とか言っても無理だ。何も言わずとも、本物の演奏と本気の歌だけが大人の音楽ファンを動かす。YO-KINGって本当にすごい、桜井はまだギターがうまくなってる、グレートとサンコンはやっぱりスーパーだ。笑顔で聴き惚れるしかない。

 まだまだ世界は暴力にあふれ、平和ではありません。「拝啓、ジョン・レノン」は2024年の今こそ強く胸に響く曲だが、YO-KINGは桜井のギターソロの裏側でなぜか衣装のジャケットを丁寧に折りたたんで爆笑を誘っている。真面目でもジョークでもどっちでもいい、思いついたことはやらずにいられないのが自由人・YO-KINGだ。『グレート CK Jr.』ツアー最高でした。ありがとう。ラストチューン「明日はどっちだ!」の生きるエナジーに溢れた歌詞とひたすら前進するリズムに心躍る。ほぼ同年代の4人が、長い鍛錬の果てに身に着けた凄腕とパワーとセンスを最大限に発揮してステージで火花を散らす、控えめに言っても50代最強ロック。圧巻のパフォーマンスだ。

 10人編成のMB’sを率いての恒例のライブは、4月28日、LINE CUBE SHIBUYAにて。弾き語りライブツアー『真心道中歌栗毛 2024』も6月から始まる。絶好調ですいません。余韻に浸る間もなく、真心ブラザーズはもう次の場所を目指して走り出してる。

ザ・クロマニヨンズ、真心ブラザーズ、SOLEIL…… 今、モノラルミックス作品が生まれる理由

音楽作品の中には、時々「モノラル」であることをうたってリリースされるものがある。一般的な録音作品はLとRの2チャンネルを使う「ス…

真心ブラザーズ「サマーヌード」はなぜカバーされ続けるのか 歌詞とメロディから魅力を分析

今年デビュー30周年を迎える真心ブラザーズが、8月30日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)へ22年ぶりに出演し、…

関連記事