『呪術廻戦』『【推しの子】』『鬼滅の刃』…2023年、楽曲の妙が注目されたアニメEDテーマ

 そういった系譜を組みつつもやや異質な趣で目を引くのは、こちらも今期放送中の『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」ED、羊文学「more than words」だ。OPを飾るKing Gnu「SPECIALZ」は作り込まれた重厚な音像が評価を得ているが、作中でも屈指の激闘を彩る楽曲として、「more than words」もまた欠かせない存在である。

TVアニメ『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」ノンクレジットEDムービー/EDテーマ:羊文学「more than words」|毎週木曜夜11時56分~MBS/TBS系列全国28局にて放送中!!

 主人公・虎杖悠仁をはじめとした呪術師と、夏油傑もとい羂索率いる呪霊群の全面戦争となる渋谷事変。東京・渋谷の街を舞台とし同時並行的に各所で戦闘が勃発する中、ここまでのストーリー史上最多の犠牲を払う過酷な展開が、本エピソードでは繰り広げられる。

 恩師や同級生を喪いながらも、物語の終わりまで歩みを止めることを許されないのは虎杖の主人公たる宿命だ。そんな彼が未だ歩き続けることを証明する、足音かあるいは動き続ける心臓の鼓動か。一人の人間の生存意志を感じさせるような、ドラムのキック音から「more than words」のイントロは始まっていく。

 物語冒頭から今に至るまで、終始大きな厄災をその身に背負う主人公。第三者から見れば違いなく彼は悲劇の主役だが、一方でそれをすべて自らの意志で背負っていることを忘れてはならない。その点でも、悲壮感を慰めるのではなく、どんなに苦しく辛い運命でも前を向いて進む彼に伴走するーーそんな“寄り添い方”を選んだ羊文学の解釈にも、作品への深い愛情を窺うことができる。

 加えてバンドの音像の大きな特徴となる、生きた人間の温度を感じさせる力強いサウンドもまた、今作のEDとして非常に大きな魅力を発揮していると言っていいだろう。

 アニメ放送時に楽曲と共に放映される映像では、インスタントカメラを片手に渋谷の街を歩く主人公・虎杖らの様子が映る。郷愁を感じさせる色褪せた色彩とノイズの入った画角。どこかノスタルジックさもある羊文学の音は、彼らがカメラ越しに見た渋谷の景色ともマッチしている。都市部に住む人々にとって馴染み深い実在の地が舞台となることも相まって、人間味を伴う「more than words」のサウンドがキャラクターたちの実在性を際立たせることに一役買っているに違いない。

羊文学 - more than words (Official Music Video) [TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」エンディングテーマ]

 様々なアーティストが様々な形で、作品本編のストーリーに華を添えるアニメ主題歌。二つのカルチャーの融合地点となるここから、今後も多彩な楽曲が誕生していくことだろう。

■リリース情報
シングル『more than words』
発売中
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CD購入
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<収録曲>
1. more than words
2. more than words (Cwondo Remix)
3. more than words (Anime ver.)
4. more than words (Instrumental)

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