清水美依紗、初ソロライブで示した自らのスタイル オリジナル~名曲カバーで響かせた美声
ここからは彼女が今までにカバーしてきた曲や、自身と共演経験のあるアーティストの曲を披露していくという。まずは宇多田ヒカルの「Automatic」を届け、心地よいリズムでフロアを揺らした。次に披露したのはSixTONESの「こっから」。歌唱後のMCによれば、彼女はこの曲からとてもパワーをもらっているのだという。ラップが難しすぎてリハーサル中に挫折しそうになったと語っていたが、原曲では6人が歌い繋ぐ部分を疾走感そのままに1人で歌いこなすあたりに、改めて彼女の歌唱力の高さを感じた。
続いて、メンバーのKEVINと親交があることから、BUDDiiSの「OZ」を披露。自身も体を揺らしながら楽しそうに歌声を届ける姿には、彼女の歌うことへの喜びが伝わってきた。そこからピアノの音色を合図に、MISIAの「君の願いが世界を輝かす」をしっとりと届ける。東京ディズニーシーのハーバーショー『ビリーヴ!~シー・オブ・ドリームス~』の日本語版テーマソングでもある同曲を選ぶのが、ディズニー好きの彼女らしい。終盤では、会場いっぱいに力強いロングトーンを響かせてフロアを沸かせた。
バンドメンバーが退場し、ステージに1人残った清水。ここからは再び、自身の楽曲を披露していくという。まずは10月にリリースされた新曲であり、本ライブのタイトルにもなっている「Style」。冒頭の観客との掛け声も決まり、清水はフロアに向かって「Good!」と笑みを見せた。続いて披露されたのは、自身も作詞・作曲に携わったというミドルナンバー「Wave」。まだ音源化されていない楽曲で、歌唱後に彼女は再び「……ん? 聴いたことないな?そう、新曲です!」と紹介し、フロアからはあたたかな笑いが起きた。
本編ラストは、家族の暖かさを歌ったバラード曲「Home」をピアノとボーカルのみで届ける。〈ここから始める新しいStoryを〉ーーこの歌を最後に持ってきたのは、今日を迎えられた感謝や、ここからまた一歩ずつ進んでいくという彼女の決意が込められているのかもしれない。音源よりもややゆったりと、歌詞の一言一句を丁寧に伝えるように歌い上げる姿が印象的だった。
観客の熱い手拍子に応えたアンコールでは、清水はファンからのプレゼントだというじゃがりこのTシャツとリュックを背負って登場。さらに、「20歳のお祝いして!」という観客のリクエストに応え、アカペラで「Happy birthday to you」を歌って会場を沸かせた。「美依紗―!」や「かわいいー!」といった呼びかけにも1つひとつ返事をしていて、ファンに寄り添おうとする彼女の優しさが垣間見える。
「これからも私らしく、自分のスタイルを貫いて歌を届けていこうと思います!」と宣言し、アンコール1曲目には映画『グレイテスト・ショーマン』より「This is Me」をカバー。「最後にこの曲で盛り上がって行きましょう!」と披露された「Niji」では、フロアから自然発生したクラップに「ありがとう!」と笑いかける。カラフルなライトが彩る中、清水はステージを跳びはねながらパワフルな歌声を響かせ、にぎやかにライブを締めくくった。
リリース済みの曲に加え、今までにカバーしてきた曲や未発表の新曲披露と、彼女の現時点での集大成を見せてくれた今回のライブ。終演後には、2024年5月に東京・大阪で初のソロツアーを行うことも発表された。「Starting Now ~新しい私へ」の歌詞に〈Starting now 後ろ振り向かず/一歩踏み出すの/新しい自分さがして〉とあるが、この歌詞はまさに、一歩ずつ着実に歩みを進める彼女の姿と重なる。初のソロライブを終え、これからも自分のスタイルで前に進んでいく彼女の躍進が楽しみだ。