Ken Yokoyama、初のLINE CUBE SHIBUYA公演 4人がモノにしたライブ表現と横山健のアナザーストーリー
さらに今回のスペシャル第2弾は、11月29日リリースの新曲「These Magic Words」が初披露されたことだ。当然まだ誰も知らない曲だが、先に取材をしているため内容をすでに覚え、こっそりシンガロングできる立場にあることは、申し訳ないが格別の喜びであった。また歌ってみて気づくのは、曲のサビの驚くべき簡潔さだ。〈Oh Yeah, It’s alright/It’s Gonna be OK〉。こんなに屈託のない言葉は初めてかもしれない。社会や政治、団結や愛郷心、パンクスとしての矜持。横山がこれまで伝えてきたことは多岐に渡るが、そのメッセージは今、人として一番伝えておきたい大切な勇気、のようなものになっている。
託す相手が実際にいるのだ。それがわかるのはアコースティックセットのアンコール。長男に捧げた「Father’s Arms」の前に、横山は訥々と語り出した。父親であることの歌をしばらく歌えなかった。離婚して子どもたちを傷つけた。今は再婚して幼い子どもがいる。ただ息子に対する気持ちは何も変わらない。プライベートすぎる告白は、本来ロックコンサートに不要なものかもしれないが、この曲をやるなら必然があった。背負うバンド名も関係がない、ただ個人としての言葉と歌。赤裸々すぎるのは格好いいのか悪いのかわからないが、ただまっすぐな気持ちだけが伝わってくる。私には、とても重要なシーンに見えた。
さらにアコギ1本で「Longing(A Quiet Time)」を歌い、最後にはバンドセットの「The Cost Of My Freedom」で締め。図らずしも1stアルバムに立ち返る選曲になっていたが、原点回帰ではないだろう。自分でも想像しない形でソロ活動はバンドになったし、時間と共にメンバーや家族の顔ぶれさえ変化した。帰るべき原点がどこなのか今さら明言するのも難しい。ただ、Ken Yokoyamaが今年2度目のホール会場で見せたものは、横山健のアナザーストーリーだ。20年が経とうとする今になり思い出す。どんな時も自分の判断を自分で肯定していくさまが、Ken Yokoyamaの始まりだったことを。
Ken Yokoyama オフィシャルサイト
https://kenyokoyama.com/