Guiano×理芽、音楽制作を通して築いた相思相愛な関係性 それぞれの視点から紐解く『imagine』=“想像/創造”の解釈
Guiano×理芽によるアルバム『imagine』をリリースした。2021年にGuianoが発表した「透過夏(feat. 理芽)」から「法螺話」「舞」とタッグを組んで楽曲リリースを重ねてきた中、今作はその集大成とも言える作品に仕上がっている。
Guianoは全曲の作詞・作曲・編曲はもちろん、シンガーとして理芽とデュエットも披露。想像/創造というテーマを軸に、躍動感のあるエレクトロポップと心に突き刺さるような歌詞がブレンドされた新曲8曲を収録。一方で理芽は“Guiano節”全開のサウンドとメッセージを丁寧に読み解き、パズルのピースがピタリと埋まっていくようなシンガーとしての地力の強さを感じる歌声を聴かせてくれる。
2021年の邂逅から相思相愛な関係性を築き上げてきた二人が、『imagine』に注ぎ込んだ思いとは。Guianoと理芽が紡いできた物語を辿りながら、今作の制作秘話をたっぷりと語ってもらった。(編集部)【最終ページに読者プレゼントあり】
「(理芽は)毎回同じクラスにいる子、みたいな感覚」(Guiano)
ーーまずはお二人が今回のアルバムを制作するに至るまでの流れを教えてください。音源上での最初の接点は、Guianoさんの楽曲「透過夏(feat. 理芽)」(2020年)になりますが、どのような経緯でコラボすることになったのでしょうか。
Guiano:僕は昔、人と一緒に音楽をやるなんて考えられないタイプの人間だったんですけど、僕と理芽ちゃんのマネージャーが一緒で、理芽ちゃんの歌を聴かせてもらったときにいいなあと思って、「この子となら何かいいものが作れるかも」と感じたんです。エド・シーランの「Shape of You」のカバーも良かったし、日本語の楽曲を歌うときも、発音があまり日本語的ではなくて「R」が入る感じがすごく良くて。それで「透過夏」を歌ってもらったのが最初でしたね。
ーー理芽さんはご一緒する前から、Guianoさんの音楽はご存じでしたか?
理芽:はい。デビュー前にプリプロ的なレコーディングをしたことがあるのですが、そのときにグイくん(Guiano)や(大沼)パセリくんのボカロ曲を歌う機会があって。その頃からグイくんの楽曲は自分に合いそうと感じていたので、「透過夏」のお話をもらって「おお!」と思ったのを覚えています。
Guiano:その後に理芽ちゃんのオリジナルソングとして「法螺話」(2021年)を作ったら、そのときも良い感覚があったので、月並みだけど1人では生み出せないものがあることを心から実感して。「法螺話」は、理芽ちゃんが歌うビリー・アイリッシュのカバー(「bad guy」)がすごく良かったので、そういうノリの楽曲を日本語の歌詞で歌ったらどうなるのかな、と思って作った曲でしたね。
理芽:「透過夏」は明るくて情景がパッと浮かぶ楽曲だったのに対して、「法螺話」はそのときの自分のミステリアスなキャラクターとマッチしていて、聴いた瞬間から「この曲、ヤバい!」ってなって。
Guiano:当時、理芽ちゃんから「家族がみんな歌っている」という話を聞いてすごく嬉しかった(笑)。
理芽:あたしは新曲が送られてきたら、まず家で大音量で聴くんです。そうしたら家族もみんな「かっこいいじゃん!」っていう反応で。すごくいい曲だったからこそ、自分の歌で台無しにしてはいけないという緊張と責任を感じて、たくさん練習をして、丁寧に歌いました。グイくんのセルフカバーもいいよね。
Guiano:ありがとう。でも、当時の理芽ちゃんは花譜ちゃんよりもミステリアスで、「花譜ちゃんのお姉さん」みたいな感じだったけど、最近は明るくて天真爛漫なキャラになってきたので、今だったら「法螺話」みたいな楽曲は書けないかもしれないね。
理芽:今はちょっと素が出ちゃってるから(笑)。
ーー「法螺話」のときは、理芽さんのパーソナルな部分がまだ見え切っていなかったわけですか?
Guiano:そうですね。僕もまだ東京に出てきたばかりで、いろいろ未熟な部分があったし、クソガキだったので(笑)。
理芽:その頃はまだ、今みたいにラフにしゃべることもなくて、本当に仕事だけの関係性だったんです。レコーディングでも「こういう風に歌ってほしい」「わかりました」みたいなやり取りだったし、あたしは当時、歌うことは好きだけど、自分の声が嫌いで。大人数の前で歌うのは緊張しないけど、スタジオで少人数に見られながら歌うのは緊張するタイプだったんです。なのでレコーディングのときは、ブースの中が見えないようにカーテンは閉めるし、モニターもオフにしてもらっていて。レコーディング自体にも慣れていないうえに、グイくんがいるのですごく緊張してしまって……(苦笑)。「法螺話」はそれが味になっているとは思いますけど。
Guiano:たしかに味はあるよね。今では出せない声というか。
理芽:そう、震えというか緊張感みたいなものが歌声に出ていて。その後の「舞」(2022年)の頃には、ようやくトンネルを抜けて光が見えてきた感じになりました(笑)。
ーー今はすごく打ち解けている感じですが、何かきっかけがあったのでしょうか?
Guiano:打ち解けたといっても、俺はそんなに変わった感覚はなくて。
理芽:あたしも。LINEを交換するタイミングがあって、そのときに「全然タメ口でいいから、楽曲に対するアイデアがあったら気軽に言って」って言ってくれて。そこからだんだん普通にしゃべれるようになりました。
Guiano:最初はただぎこちなかったのが、数曲を一緒に作る中で、お互いの良いところを知っていった感じで。言うなれば……。
Guiano・理芽:クラスメイトだよね。
ーー見事にハモリましたね(笑)。
Guiano:アハハ(笑)。学年が上がったけど毎回同じクラスにいる子、みたいな感覚ですね。
理芽:確かに。別に「お友達になりましょう」っていう感じだったわけでもなく、気づいたら自然と仲良くなっていました。
Guiano:今回はアルバムの作業があるからLINEのやり取りもたくさんしたけど、日頃はあまり接点はなくて。でも、ビジネスパートナーを越えた特別な感情は間違いなくあります。
理芽:うん。関係的にはビジネスパートナーなのかもしれないけど……っていうね。
ーーそのように度々一緒に楽曲を制作してきたお二人が、今回、改めてダブルネームでアルバムを作ることになった経緯は?
Guiano:僕が「作りたいです」とお願いしたからです(笑)。結構前から、自分の曲を歌っている理芽ちゃんの声をもっと聴きたい気持ちがあって、実は2年くらい前に一度作ろうという話になったんですけど、そのときは僕自身のメンタル的な問題もあってポシャってしまって(苦笑)。で、最近いい傾向になってきたので、今なら作れるんじゃないかと思って、理芽ちゃんが留学から帰国するのを見計らって声を掛けました。
理芽:日本に戻ってきてすぐのタイミングだったんですけど、あたしも今までの1曲ずつ一緒にやるのとはまた違うことができそうだから、すぐに「やりたい!」と返事をして。そこから1~2カ月くらいでバーッと録っていきました。グイくんが新曲を送ってくるスピードが鬼早くて、そこからもすごく熱量を感じました(笑)。「新曲できた!」ってLINEで送られてきた次の日にもう1曲送ってきて、その2日後にまた送ってきたりしたので、「どういうこと?」と思って。
Guiano:我ながらすごかった(笑)。しかも全部いい曲だったんですよね。1人で作っているときは、「この曲、本当にいいのかな?」と迷ってボツにすることが多いんですけど、今回は理芽ちゃんという存在がいたから迷いなく作ることができて。「理芽ちゃんが歌ったらもっと良くなる」という期待を持てた部分が大きかったです。
ーー2人でアルバムを作るにあたって、当初、どんな青写真を描いていたのでしょうか。
Guiano:まずは作ってみないとわからないことが多かったので、最初は理芽ちゃんからもアイデアをもらって1曲作ってみたんですけど、自分的にいろいろ考えた結果、結局その曲はボツにして、今回は俺が引っ張っていく形にシフトチェンジしたんです。それは理芽ちゃんの発想の問題ではなくて、2人で作る最初のアルバムになるので、2人のファンが喜んでくれそうなもの、それこそ「透過夏」など、みんなが好きなものをブラッシュアップしたような作品にしたくて。ただ、ボツにした楽曲を作ったときから、アルバムタイトルになっている『imagine』のほうの“想像”と、作る方の“創造”がテーマにあったので、それを引き継いで他の楽曲を作っていきました。