モーニング娘。やAKB48を育てたダンスプロデューサー・夏まゆみが残した功績と受け継がれる伝統

 夏の功績は、モーニング娘。だけにとどまらない。前田敦子、小嶋陽菜、高橋みなみなど、卒業をした今でも高い人気を誇るメンバーを輩出してきたAKB48にも立ち上げ期から携わり、「会いたかった」や「スカート、ひらり」などの振り付けを担当。特に「会いたかった」では、登場シーンとサビの〈会いたかった〉の歌詞で、客席に向かって指を差し、おじぎをするという振り付けで、多くのファンの心をつかみ、AKB48の人気が拡大するきっかけを作った。

 さらに、エンターテインメントの最前線で活躍してきたからこその洞察力で、振り付け考案だけでなく、人材育成という点でも業界に大きな影響を与えた。たとえば、夏はAKB48で圧倒的な人気を誇った前田敦子の資質をオーディション時から見抜いていたという。

 AKB48の1期生や2期生、モーニング娘。のメンバーに対しても、オーディション時の合宿や振り付け指導の際に、厳しくも愛のある数々の言葉をかけ、まだ発展途上にあるアイドルたちの“プロのパフォーマーとしてのメンタリティ”を育てることに繋げていった。それゆえに、厳しい指導を行う振り付け師と呼ばれることもあったものの、夏を慕うアイドルはたくさんいた。訃報に際しては、石川梨華や後藤真希、高橋みなみ、小嶋陽菜など、彼女に指導を受けた多数のメンバーがSNSやブログで追悼コメントを寄せた。

 また、メディアなどで振り付け師のクレジット表記がなされる基盤を作り、振り付け師の地位向上に貢献した点も見逃せない。

 このように、日本の音楽/アイドルシーンにおいて数えきれないほどの功績を残してきた夏まゆみ。非常に惜しい人材を失ったと言わざるを得ない。あらためて、ご冥福をお祈りいたします。

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