緑仙、アーティストとしての飛躍を予感させるパフォーマンス メジャーデビュー発表した初ソロライブを観て

 バーチャルライバーグループ「にじさんじ」に所属する緑仙が、初のソロライブ『緑仙 1st LIVE「Ryushen」』を6月8日に神奈川・KT Zepp Yokohamaで開催した。

 2018年にライバー(配信者)として活動をはじめ、歌ってみた動画を中心に音楽活動をスタート。5年目にして初めて実現したソロライブで緑仙は、これまでのキャリアやルーツを反映させながら、アーティストとしてのさらなる飛躍を予感させるステージを繰り広げた。

 会場に入ると、バーチャルライバーのアンジュ・カトリーナがMCをつとめる生配信の真っ最中。会場のファンにインタビューしながら、緑仙の魅力を伝えていた。そして緑仙本人の影アナによる注意事項の説明を挟み、ついに初のワンマンライブが始まった。

 オープニングは「藍ヨリ青ク」。〈正面突破/共犯外伝にて、ハッピーエンド。〉というラインから煌びやかで切ないボーカルを響かせ、緑のサイリウムを持ったオーディエンスをしっかりと惹き付ける。「紋白蝶 feat.石原慎也 (Saucy Dog)」(TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA)ではお気に入りのパンダのぬいぐるみを抱えて歌い、「ロウワー」ではヘッドセットのマイクでダンスパフォーマンスを披露。ここでステージ袖に引っ込み、この日のために新調した衣装(本人曰く「踊ることをがんばるぞ、という決意表明」の衣装)に着替えて「殺屋中毒」(緑仙)へ。冒頭の4曲で、際立ったボーカルの力と幅広いステージングをしっかりと見せつけた。バンドメンバーの奈良悠樹(Gt)、堀崎翔(Gt)、岸田勇気(Key)、ウエムラユウキ(Ba)(ポルカドットスティングレイ)、ゆーまお(Dr)(ヒトリエ)による演奏も素晴らしい。

緑仙

 「新緑の緑に、ベガルタ仙台の仙と書いて、緑仙です! あーみんなが生きてる!」と挨拶すると、フロアからは大歓声が沸き起こる。「ちょうど今日で5周年。そんな記念すべき日に、たくさんの人の前でステージに立たせていただけることを本当にうれしく思います!」「髪の毛もちょっとだけ色が変わってるんですよ。緑色の僕じゃなくても好きでいてくれますか……まあ、ほぼ緑なんですけど(笑)」「動画で歌ってる曲、こんな曲を歌ってほしいという曲も含め、みんなのためでもあり、僕のためでもある場にしたいと思います」と、初ワンマンに対する思いを口にした。

 「いつもの配信みたいに、ノンストップ、歌唱多めで最後まで走り抜けたいと思います」という言葉通り、「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」(MAISONdes)から多彩な楽曲をつないでいく。「失楽ペトリ」(ナナホシ管弦楽団)では女性ダンサー2人とともにダンサブルに魅せるパフォーマンスを披露。ネオソウル系のサウンドの「bin」(こめだわら)では心地いいグルーヴ感をたたえたボーカルを聴かせ、「エンダー」(緑仙)ではネガティブな感情をしなやかに描き出し、観客の心と身体を揺らしてみせる。これらの楽曲から伝わってきたのは、シンガーとしての奥深い表現力と個性だ。

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