マカロニえんぴつ×ユニコーン、レアな2マン実現させたはっとりの“本物”のリスペクト 果てしなく濃密で刺激的な3時間

マカロニえんぴつ

 後攻マカロニえんぴつは、おなじみのSE(The Beatlesの「Hey Bulldog」)が、サイレン&ギターのハウリング音に変わり、ギブソン・エクスプローラーを提げたはっとりが右腕を高く挙げて叫び、「PRAY.」でライブがスタート。この曲でまずあっためる、という必要もないくらい、最初から沸点の高いオーディエンスに、曲終わりで「はいよろしく!」と挨拶したはっとり、次の「レモンパイ」では、1コーラス終わりで「いいねえ!」とフロアを称賛する。

 「眺めがいいね」を歌い終えての最初のMCでは、「ライブのキャリアは、あなたの方が上ですからね。バンドブームの時にもっとはしゃいでた自分がいるでしょう? 教えてやってくださいよ、今の若い子に!」と、ユニコーンのファンたちをあおる。

 そして「みなさんお国のため、家族のため、はたまた自分のため、日々働いている、そんな働くすべての人にねぎらいの歌を!」と「働く女」へ。言うまでもなく、ユニコーンの「働く男」をもじって生まれた曲だが、長谷川大喜のピアノが軸になった、ファンキーでアダルトな曲調で、つまり「働く男」とはまったく違う。〈出勤!〉と〈直帰!〉では、はっとりとオーディエンスの掛け合いが響いた。

 次の「MUSIC」でも、後半のブレイク(ボーカルとドラムだけになる)で、はっとりが〈朝メシ!〉と歌うと、オーディエンスが〈抜くのはダメ!〉と続く。

 シックで美しいメロディにシリアスで重いリリックが乗る「TIME.」をじっくりと聴かせ、最初にこのバンドの起爆剤になった「恋人ごっこ」でオーディエンスを酔わせてから、はっとり、メンバーを紹介。

 そして「僕がこうやってステージに立っているのは、彼らのおかげなのでございます」とユニコーンへのリスペクトを表し、「(一緒にライブをやれて)僕は今日死んでもいい、死んでもいい、と思ったんだけど、まだ死ねない、ということで」と、この日のセトリ中でもっとも新しい「リンジュー・ラヴ」へ(そう言えば、もっと新しい、まさに今テレビドラマ『波よ聞いてくれ』でオンエア中の「愛の波」は、この日はやらなかった)。続く「幸せやそれに似たもの」では、はっとりがギターソロを担う。

 そして。ユニコーンの最初期の代表曲であり、『服部』リリース以降、再始動後二度目にあたる2011年のツアーまで封印されていた、「Maybe Blue」のイントロが鳴り響く。若き日のOTのようにハンドマイクになったはっとり、イントロ→サビ→エンディングの、この曲のショートバージョンを熱唱し、ユニコーンファンを狂喜させた。

 そのままの勢いでの「洗濯機と君とラヂオ」で、今度はマカロニえんぴつファンが爆発。その熱狂っぷりにはっとり、「待ってたかい?」と問う。超高速&超ラウドな「ワンドリンク別」では、はっとりの代わりに〈ワンドリンク別!〉と叫ぶオーディエンスに負けじと、バンドの音も激しく荒々しくなる。

 カオスでサイケなイントロと、いきなりスイートになるAメロ以降のギャップが何度聴いても素敵な「星が泳ぐ」では、フロア上空のミラーボールが回った。

 「バカみたいだと思ったことから順番に、嘘みたいだと感じたことから順番に、信じてみてください。それがいちばん、あなたの憧れをかなえる道だからです」という言葉で始まり、「あなたが信じた、マカロニえんぴつという音楽でした。また会おうね」で終わったMCからの曲は「ヤングアダルト」。普段からラスト等の重要な局面で披露されることが多い、マカロニえんぴつ屈指のこのメッセージソングで、本編が締められた。

 アンコールでは、まず、各配信サイトにおける、マカロニえんぴつの不動のトップソング「なんでもないよ、」で、オーディエンスを感動の奈落に突き落とす。後半の「ラララ」のパートでは、バンドサウンドに拮抗するほどの大きなシンガロングが響いた。

 そして「僕の願いで、無理言いまして、僕らの演奏で、ユニコーンの曲をやりたい。ユニコーンのみなさんと一緒に!」とはっとりが呼び込み、ユニコーンの5人が登場。OT、「なんか、ハンドマイクをひとり一個渡されたけど、どういうことなん?」。ABEDONは「危ないよ、これ。だいぶ危ないよ」と警戒、川西は「踊りもあるの?」。曲は、はっとりのリクエストだという「開店休業」。OT→ABEDON→川西→テッシー→川西→EBI→全員(はっとり含む)と、マイクリレー方式で歌い継ぎ、後奏のあとの最後のブロックは、OTが締める。マカロニえんぴつにとっても、ユニコーンにとっても、それぞれのファンにとっても、果てしなく濃密で刺激的だった3時間が終了した。

 エンドSEの「Sea of Love」(The Honeydrippersのバージョン)が流れる中、ステージを去る前に、フロアをバックに全員で記念撮影。はっとり曰く、このツアーで記念撮影をしたのは今日だけ、とのことだった。

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