EGO-WRAPPIN’、溢れる愛を捧げた最後の中野サンプラザ公演 意欲的なライブに見た現在進行形の凄み

 異世界に飛ばされた後はグッとギアを入れるように中納のアカペラから「色彩のブルース」へ。中納の「よっしゃ、行くかー!」の一声から真船勝博(Ba)のウッドベースがリズムを刻み「Nervous Breakdown」へ。極上のスイングに乗る中納の先ほどまでの繊細な表現から一気にジャンプするパワフルな歌唱と独特なステップに釘付けになる。この日の彼女は80年代のグレイス・ジョーンズのようなパワーショルダーのトップスと鋭角的にセットしたヘアスタイルが突き抜けていて、ボーカル表現の凄さと相まり唯一無二感を増幅していたように感じる。毎回、想像の斜め上を行くビジュアルで楽しませてくれるが、そんなところも洒落者の矜持。ブラスがスリリングな「CAPTURE」は最近の楽曲の中でライブのキラーチューンになった感じだし、そのままブラスのイントロがホールに鳴り響き、この日一番の爆発力を見せた「くちばしにチェリー」はリズムこそスカだがノリはロックンロール。伊藤と真船が叩き出す耐久戦めいたビートのチェイスの上で、ステージもフロアも曲を走り抜けていく。自由に体を動かし、沸き立つオーディエンスの様子も含めて、これぞ“EGO-WRAPPIN’のライブ!”という光景がそこにあった。本編ラストは中納のおなじみ「ゴー・アクション!」の一声で、「GO ACTION」がタフに鳴らされる。結果、驚くべき音楽性の振り幅を二人は意識させることなく突き通したのだ。

 アンコールも含めて全19曲。中野サンプラザというホールへの愛が溢れると共に、現在進行形のEGO-WRAPPIN’の凄みを堪能した。それにしても“ホール・ロッタ・ラブ”(Led Zeppelin’「Whole Lotta Love」)とウィーン分離派の意匠もオマージュしたポスターなどのビジュアルも最高にお洒落だった。

■セットリスト
1.かつて..。
2.Neon Sign Stomp
3.Arab no Yuki
4.Shine Shine
5.human beat
6.on this bridge
7.a love song
8.Fall
9.Finger
10.アマイカゲ
11.admire
12.色彩のブルース
13.Nervous Breakdown
14.CAPTURE
15.くちばしにチェリー
16.GO ACTION
En1.The Hunter
En2.サニーサイドメロディー
En3.サイコアナルシス

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