2023.04.04 17:00

millennium parade × 椎名林檎、クリエイター同士の深い共振　『地獄楽』OPテーマ「W●RK」が2023年にもたらすインパクト

文＝松本侃士

　いくつかの推察を挙げていったが、一つだけ確かなことは、今回、常田と椎名のタッグによって、2023年のポップミュージックシーンを大きく揺るがし得る楽曲「W●RK」が生まれたということである。椎名は同曲について、「作品のメッセージを私なりに強調できていましたら幸いです」（※4）とコメントしており、実際に歌詞（作詞のクレジットは、椎名と常田の連名）に耳を傾けると、椎名節＆常田節が存分に炸裂した言葉たちが溢れていることに気づく。それらは、混沌とした『地獄楽』の世界に通じているもので、特に、サビで歌われる〈許してくれ賞て犯した科を裁いてくれ真新しい良し悪しで〉という一節は、もはや善悪では語ることのできない熾烈な戦いの不条理さを表しているように思う。また、その後に続く〈愛する人を介してこの世の絶景が拝みたい〉という一節は、愛する妻との再会を願う画眉丸の心情をそのままトレースしたものだろう。

millennium parade × 椎名林檎「Ｗ●ＲＫ」

　何よりも特筆すべきは、常田が手掛けたトラックが放つ壮絶な覇気である。主軸となっているのは、強烈なロックバイブスに満ちた鋭利なギターリフで、その轟音に負けじと、MELRAW（Horn Arrangement & Trumpet）が手掛けたホーンセクションが豪快に鳴り響く。さらに、宮川純（Organ & Synthesizer）と江﨑文武（Synthesizer）が極彩色の彩りを加え、King Gnuのリズム隊でもある新井和輝（Ba）と勢喜遊（Dr）が強固なビートで後方支援をする。そしてその上で、椎名と常田の熱烈なマイクリレーが展開されていく。とてつもない情報量を誇る楽曲でありながら、それらが決して散り散りになることなく、次第に昂るエモーションが極致に達するサビにおいて洗練された覚醒感が炸裂する。圧巻だ。同曲は、『地獄楽』のオープニングテーマという文脈を超越して、2023年の音楽シーンにとてつもないインパクトをもたらす楽曲になると思う。

　今回は「W●RK」についてフィーチャーしたが、先にも触れたように、5月には、もう一つのコラボ曲「2◯45」のリリースが予定されている。おそらく「W●RK」を聴いた人の多くは、常田と椎名の邂逅によって巻き起こる破格のケミストリーを同曲にも予感しているはず。そして2人は、私たちが抱くそうした期待を鮮やかに上回ってくれるに違いない。

※1：https://www.kronekodow.com/news_detail.php?id=7463&r_page=9
※2、3、4：https://www.jigokuraku.com/music/

■リリース情報
ｍillennium parade × 椎名林檎
NEW SINGLE『W●RK / 2◯45』

「W●RK」（『地獄楽』オープニングテーマ）
4月1日（土）先行配信
https://VA.lnk.to/o4qy2W

5月17日（水）発売
CD予約URL
https://VA.lnk.to/KjWvai

＜CD商品形態＞
・Blu-ray Disc付き初回生産限定盤：5,940円（税込）BVCL-1290~1291
・通常盤：1,540（税込）BVCL-1292

＜CD収録曲＞
01. W●RK
02. 2◯45

＜初回生産限定盤特典Blu-ray収録内容＞
『millennium parade Live 2021 “THE MILLENNIUM PARADE” at TOKYO GARDEN THEATER』
1.NEHAN
2.Fly with me
3.Bon Dance
4.SNIP
5.Veil
6.www
7.Stay!!!
8.Philip
9.Dark
10.Slumberland
11.Trepanation
12.plankton
13.lost and found
14.Fireworks and flying sparks
15.FAMILIA
16.U
17.matsuri no ato
18.2992
19.call me