チョーキューメイ、斬新なポップセンスはどこから生まれる? バンド結成から革新的EP『LOVEの飽和水蒸気量』ができるまで

 2023年、最高のブレイク候補であると断言したい。

 4ピースバンド・チョーキューメイが3rd EP『LOVEの飽和水蒸気量』をリリースした。1stフルアルバム『するどいささくれ』が“タワレコメン”(タワーレコードスタッフによるレコメンド企画)に選出されるなど、徐々に注目を集めてきた4人。リード曲「故のLOVE」、ドラマ『最終列車で始まる恋』(メーテレ)主題歌「最終列車で君に会いにゆく」などを収めた本作は、このバンドの独創的なポップセンス、卓越したアレンジ力と演奏力がバランスよく共存した作品に仕上がっている。特に濃密な感情表現を携えた麗(Vo/Gt/Vn)のボーカルは、大きなインパクトとともに波及していくことになるだろう。

チョーキューメイ「LOVEの飽和水蒸気量」トレーラー

 リアルサウンドでは、メンバーの麗、空閑興一郎(Dr)、れんぴ(Key)、藤井ごん(Ba)にインタビュー。バンドの成り立ち、楽曲制作のスタイル、EP『LOVEの飽和水蒸気』の制作などについて語ってもらった。(森朋之)

「正直ジャンルとかはどうでもよかった」(麗)

チョーキューメイ

ーーチョーキューメイの結成は2020年梅雨頃。どんな経緯で集まったメンバーなんですか?

麗:2020年の春に高校を卒業して、音楽系の専門学校に行く予定だったんですけど、コロナで2カ月くらい学校がはじまらなくて。バンドかどうかはともかく、自分の音楽を作る場所が欲しいと思って、メンバーを集めたんです。

ーー麗さんと藤井ごんさんは同級生なんですよね。

藤井ごん(以下、藤井):はい。

麗:高校も専門も同じです。高校のときに一緒にバンドをやっていて、大会に出て優勝したこともあって。チョーキューメイの最初のベースは私の親友の女の子だったんですけど、彼女が辞めることになって、2021年の秋にごんを呼び戻しました。

藤井:高校の頃は音楽初心者だったので、歌が上手いことくらいしかわからなくて。最近は「すごい才能だな」と思っています。

麗:ありがと(笑)。れんぴも高校の頃から知ってて、ちょっとだけバンドをやったことがあって。

れんぴ:はい。そのときのバンドは別のリーダーがいたので、麗の曲はやってなかったんですけどね。

麗:うん。卒業してから共通の知り合いのライブでたまたま一緒になって、なぜかポケモンをやるようになって(笑)。夜な夜なポケモンをやってるときに、「バンドやらない?」って誘ったら「えーで」って。前のバンドではポテンシャルを活かせてなかったし、れんぴの本気を見たいという気持ちもありましたね。

ーードラムの空閑さんは、少し年上なんですよね。

空閑興一郎(以下、空閑):麗さんの8つ上ですね。麗さんがメンバーを探しているときに、僕が知ってるライブハウスのスタッフに相談してたみたいで。自分も前のバンドが解散したばかりだったので、紹介してもらったんですよ。それが2020年の2月かな。麗さんはまだ高校生だったから、「高校生とバンドやるかも」と周りの人に言ってました(笑)。

ーーバンド加入を決めたのはどうしてなんですか?

空閑:YouTubeにアップしていた麗さんの弾き語り音源を聴いたときに、「もっと楽器の音があったほうが映えるだろうな」と思って。しかもいろんな曲調があったので、自分のやりたいことも活かせるかなと。

ーー確かにチョーキューメイの音楽性はすごく広いですよね。みなさんのルーツはどんな感じなんですか?

れんぴ:家族が音楽好きなんですよね。父親がギター、姉がピアノをやっていたんですけど、小さい頃からフュージョンやR&Bがよく流れていて。自分でピアノを弾き始めてから、だんだん子供の頃に聴いていた音楽が耳になじんできたんですよ。

麗:私は小学生のときにボカロを聴き始めて。トーマさん、n-buna(ヨルシカ)さん、sasakure.UKさんなどの曲が好きでしたね。

ーーかなり世代が広いですね。

麗:どちらかというと、古い曲のほうが好きかもしれないです。ボカロ系はボーカロイドを使っているという共通点があるだけで、音楽性の幅は広いじゃないですか。ジャンルの垣根を超えているのもよかったんですよね。バンドだとamazarashiとか。チョーキューメイの音楽性に直接反映されているわけではないですけど、歌詞の精神性には影響を受けてると思います。

空閑:自分は中学、高校が吹奏楽で、大学も打楽器でクラシック系に進んで。ジャズ研に入るつもりだったんですけど、部室が同じだった軽音楽部に引き込まれて、ゆらゆら帝国とか、アングラ寄り、インディー寄りのバンドをコピーしていました。

麗:電グル(電気グルーヴ)も好きでしょ。

空閑:最近は生楽器が入っていない音楽を聴くことが多くて。気分によって違うんですけどね。今日はKOTORIを聴いてたし、ジャンルは決まっていないので。

藤井:私は今も昔もアニソンが好きですね。それこそいろんなジャンルがあるので。アーティストや作曲家というより、「この曲が好き」という感じで聴いています。

ーーかなりバラバラですね。

麗:そうなんですよ(笑)。れんぴもボカロ系を聴くし、ゴンと趣味が近いところもあるんですけど、それぞれ個性があるというか。バンドを作るときも、正直ジャンルとかはどうでもよくて。前提として自分と仲良くなれる人、自分の意思がありそうな人に声をかけたら、結果的にバラバラになっていました(笑)。

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