みきとP×稲葉曇『VOCALOCK MANIA』対談 互いの楽曲への印象から歌声合成ソフトのトレンドまで語り合う

必ずしもボカロを人間が歌っているものに近づけようとしているわけではない

ーー時期によって歌声合成ソフトウェアの流行がありますよね。最近のトレンドはどうでしょうか?

稲葉曇:最近はCeVIO AIの可不ですかね。みきとPさんが可不を使った「YONAKI」も、声の加減がすごく良かったです。

みきとP『 YONAKI 』MV

みきとP:あれは結構エディットしていますね。手を加えた方がより自分らしくはなるなという感触があったので。調声の面でいうとCeVIOもボカロも感覚は同じかもしれないです。

ーー人の声に近い音声と無機質な音声では、楽曲制作に与える影響は違うものですか?

みきとP:Synthesizer VやCeVIOはリアルなんですけど、僕は必ずしも人間が歌っているものに近づけようと頑張っているわけでもないんですよね。その歌声がシンプルに良いなって思うところに近づけているだけで。だから、ボカロとCeVIO、Synthesizer Vは、独立して別のものという印象がありますね。優劣はないです。

稲葉曇:僕もその感覚に近いかもしれないですね。

みきとP:最近はシンセみたいな感覚でボカロをやっている人も多いんじゃないかな。ボーカルエディターでは到底表現できないようなことをやり始めたり、すごくクリエイティブな使い方をしている人もいますし。

ーー今回お二人はボカロPをフィーチャーしたイベント『VOCALOCK MANIA』に出演されますが、このお話をもらった時、率直にどう感じましたか?

みきとP:“VOCAROCK”という括りのイベントでみきとPを誘ってくれたことがまず嬉しかったですね。僕の場合は、ロックじゃない曲もあるけど、原風景はロック少年だったんです。だから今回誘ってもらえて、“VOCAROCK”として聴いてくれていたんだなと思いました。

稲葉曇:『VOCALOCK MANIA』という名前で、しかも楽曲解説もあるとのことで、ボカロPに距離の近いイベントなのかなと思いましたね。なので、これからボカロ曲を作ってみたい、ボカロPになりたいというボカロファンにも来てほしいなって思っています。

ーー楽曲解説は特に珍しい機会になるのではと思います。

稲葉曇:そうですね。めちゃくちゃ緊張しますけど、最近、配信とかでプロジェクトファイルを開いて解説している方が結構いらっしゃって、自分もたまに見たりするので、そういう温度感でできたらなと思ってはいます。

みきとP:時間としては30分くらいだと思うので、あっという間かなという気もするんですけど。当日はプラグインとかも全部刺さっている制作データを持っていこうかなと思います。オブザーバーと言われる方たちがいらっしゃるので、その方たちの質問次第で面白くなりそうです。今回のイベントはいわゆるロック、ギター好きな人が来るであろうイベントなので、即売会も楽しみですね。

ーーでは最後に、イベントへの意気込みをお願いいたします。

稲葉曇:僕は、いい感じの規模感で、マイペースにボカロ曲を楽しめるイベントになったらいいなと思っています。これまでの即売会って全国からボカロファンが集まってくるので、たくさんの人と会えて嬉しい反面結構バタバタだったんですよ。でも、今回は後半にDJもあって、楽曲を流してもらえたりもすると思うので、そういう部分も含めて、お客さんと一緒に楽しみたいですね。

みきとP:何かの特化型イベントって、やっぱり参加する人と全員での一体感が生まれると思うんです。今回はVOCAROCKという同じ方向をみんなが向けるイベントだなと。個人的には出演者のみんなと今まで以上に仲良くなれることをちょっと期待しています。このイベントをきっかけに今後一緒に作品を作る、なんてことも期待しつつ楽しみたいです。

■イベント情報
『VOCALOCK MANIA~ver.0~』
日程:2023年1月22日(日)即売会:12:00~17:00 イベント:14:00~19:00
HP:https://www.vocalockmania.com/
会場:大手町三井ホール(東京都千代田区大手町1丁目2-1 Otemachi One 3F)

チケット3,000円(税別)発売中
※オフィシャルエコバック(非売品)付き
https://eplus.jp/vocalockmania/

稲葉曇「フロートプレイ」

■リリース情報
稲葉曇
1月13日新曲「フロートプレイ」配信リリース
https://orcd.co/floatplay

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